第二十三話 勉強会変更のお知らせ!?
帰り際、僕はテスト勉強が面倒臭くなった。そう、前回のテスト勉強を教えるのは誰かという事を何だか面倒な方法で決めたような気がするが、そこはまあいい。
一緒に帰るのは美羽姉と千景の二人だ。信三も家の方向は同じだが、今日は遠慮するとの事だ。先生は学園で仕事、天峰さんは美羽姉の残った書類仕事をやってから帰るとの事。そして今は両手を塞がれながら帰っている。
「あの、さ……。二人とも歩きづらいんだが……」
「いいじゃんカズ君。学園だとこんな事もあんまり出来ないんだから」
右腕の方にしがみついている美羽姉。逆の腕にしがみついている千景。
「あたしは美羽さんに対抗心を燃やしてるだけだから気にしないで」
「……そんな事に対抗心燃やさなくていいから」
二人に腕を掴まれながら帰っているが、何だか周りからの視線が刺さって痛い。そりゃ二人は確かに見た目は可愛い。それは僕のクラスの男子からもよく聞く事だ。
そういえば、まだテスト勉強の日程を決めていなかった。僕は左右にいる二人に相談してみることにした。
「テスト勉強って結局のところ……いつやるの?」
「それは明日のカズ君の発表で誰が勉強を見てあげるかが決まってから♪」
「……そっか」
「あたしはいっそのこと皆でやった方がいいと思うけど……。美羽さんはやっぱり反対かな?」
「僕もその方が皆で教えあえるし、いいと思うんだけど……」
「えー! そんなの嫌だよー。だって大人数で集まるとカズ君と二人でイチャコラ出来ないじゃん。それにチカちゃんは自分が選ばれる自信がないからそんな事言ってるんだよ」
「そ、そんな事ないです! あたしだって自分の料理に自信あります!」
二人で言い争いを始まてしまった。美羽姉はやはり、本来の目的を忘れているようだ。全く何のために料理審査をやったのやら。
「美羽姉、本来の目的を忘れないで。ほら、何のために勉強するんだっけ?」
「カズ君とラブラブするため」
「違う! 真面目にテスト勉強するためでしょ?」
「そうだけど……カズ君とイチャイチャしながら勉強したいの!」
「うん、僕は嫌だ。……それより、審査で美羽姉を選ばないけど、いい?」
「ん? エラバナイ? ナンデ?」
これは分かってない顔だ。何故選ばないのか、それはもし美羽姉と勉強することになると…………酷い結末になりそうだ。その事を直接は言えないので、別の理由を伝える。
「だって……姉だから選んだって言われそうだし……シスコン疑惑深めたくないし……」
「いいじゃん! もっと愛を深めようよ♪ カズく~ん♪」
引っ付いてくるのが、さっきとは違いかなり鬱陶しくなった。あー、腕が重い。この状況、千景は助けてくれるかな。
「美羽さん、和馬が嫌がってますよ。離れてください」
「……(いいぞ! 千景! 流石幼馴染! 僕の考えが分かってるな)」
千景が離れるように言う。けれど、美羽姉も頑固だ。千景の指摘も軽くあしらわれてしまう。
「嫌だそんなの。それにチカちゃんが離れればいいんじゃない?」
「あたしだって嫌ですよ!」
「……(いや! もういっそ二人とも離れてくれ!)」
詳しく話が出来ないまま、家に到着してしまった。
*****
「それで、あの料理勝負で勝った人が僕にマンツーマンで教えられるという事になってたけど……僕、誰を選んでもヤバい事になるんじゃないの?」
「ヤバい事? 何で?」
僕と美羽姉、千景の三人で晩御飯を食べている時に帰りに出来なかった勉強の事を相談することにしたが、その時に考えて分かってしまったことを話した。美羽姉はポカンとしているし、千景は特に興味なさそう。
「だ、だって! もし美羽姉を選ぶとするよ。そうするとさ、……岡野先輩に始末されない?」
千景は心配してくれるのか興味を示し、話に加わってきた。
「あたしは編入してからそんなに喋った事ないからよく分かんない。美羽さんは?」
「私はよくあの子に仕事やら手伝ってもらうし、カズ君が入学する前はよくご飯も一緒に食べてたよ。後は私の親衛隊として何かと邪魔者を排除してたくらいかな? まあ大丈夫だよ」
「いや、今の発言自体危ない感じしかしないんだけど!? 聞きたくはないけど……排除ってどんな人を?」
「んと、確か……私に近づく愚か者の排除って聞いてるけど。カズ君が来てから、排除するターゲットは一人に絞りましたって聞いたけど、誰だろうね?」
そんな事聞いたら絶対僕だって分かるでしょ!? 何故か美羽姉は気づかない様子だが、千景は察したのか僕の方を向いた。
何で長くそばにいる美羽姉は気づかなくて、幼馴染の千景だけ分かるのかが不思議だ。話を戻すとするかな。
「美羽姉。だから、ここは皆の料理は全部良かったからって事でさ、皆で勉強しようよ。千景もそれでいいよね?」
「あたしはいいけどさ、美羽さんのあれは大丈夫?」
千景が隣の座っている美羽姉を見る。いつもなら嫌だと言いそうだが、何故か今はーー。
「ぐすっ……。ひっく……。カズくーん、そんなに私の料理不味かったの?」
ーー何でか泣いている。てか、どこに泣く要素があった? ひとまず聞いてみないと分からない。僕は優しく話しかける。
「あ、あのさ、美羽姉。どうしてそんなに泣いてるの?」
「だって、ぐすっ……。カズ君があんな料理と私の料理が同じとか言うんだもん」
そういう事か、美羽姉はいつも唐突すぎて理解できないから少し困ったが、何で泣いているか分かって良かった。
「美羽姉、別に美羽姉の料理が不味かったわけじゃないから気にしないで。ただ、皆と勉強するんだったら仮にも理由が必要でしょ? だからそんなに気にすることもないから」
「ほんと? 本当に?」
「うん、そうそう。千景も美羽姉の料理不味くないって、そう思うよな」
「え!? ああ、うん。あたしもそう思うよ美羽さん。あんな料理とは心外だけど……」
千景も肯定してくれたおかげで何とか泣き止んでくれそうだ。美羽姉の許可で皆との勉強会に変更となった。
今夜はこのくらいにして明日に備えるとするかな。ご飯をパパッとかきこんで、二人より先に片付けた。美羽姉にご馳走様と言ってリビングを後にした。
*****
昨日の事もあり、僕達は放課後、生徒会室にまた集合していた。皆にはまだ勉強会変更の事は話してないので集まってもらった。
審査については電話で信三に連絡し、全員同率一位という事でもいいかお願いしたら、それでも良いと返事をしてくれたので問題ない。
「美羽様。昨日の審査の発表をするのですか?」
「そうよ、岡野さん。でも少し内容が違うけどね……」
美羽姉が岡野先輩と会話を終わらせ、生徒会長席に着き、皆に昨日の事を話した。
「昨日のカズ君と信三が審査した結果、同率一位という事になりました。よって勉強会は私の家で皆でしたいと思います」
「「「えぇーーーっ!?」」」
息ピッタリに声を上げる人達。昨日の事を知っているのは僕と美羽姉、千景、信三の四人。つまり残りの三人はかなり驚いている事だろう。
「美羽様! 何故ですか!? 同率一位は納得出来ません! 私が一位じゃないのは可笑しいでしょ? だってーー」
「岡野さん。私が教えてあげるから黙りなさい……」
「ーー分かりました! ありがとうございます!」
岡野先輩、敬礼しながら顔がにやけて凄く嬉しそう。美羽姉が全体を見まわし、確認を取る。
「他の人も皆で勉強という事に依存はありませんね?」
「生徒会長、私は大丈夫です」
「分かった杏ちゃん。原野先生は大丈夫?」
「私は仕事を片付けてから参りますので、先に初めてもらっても構いません」
「分かった。それなら皆さん、今度の土曜日に直接家に来てください。時間は好きな時刻に。以上解散!」
美羽姉が皆に勉強会の場所と時間を伝えて生徒会室から解散させる。僕も今日はすぐに家に帰ろうかな。今のうちに部屋にある聖書(エロ本)の場所を変えなくては……。その日はいつもより部屋を綺麗にできた気がした。
今日は一時間早く投稿します。内容もいつもと同じくらいに調整しました。さて、ようやく勉強会が出来そうですね。だが! このメンバーでまともな勉強が出来るのか…………次回が楽しみです! 読者様、最近寒いので風邪などを引かないように暖かくしてくださいね。
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