第十九話 勝負その一
原野先生に担がれたまま授業をボイコットした僕は、美羽姉と千景、それと天峰さんと生徒会室に向かっていた。
「あの、美羽姉。もう逃げないからさ、このロープ外してくれない?」
「もう少し我慢してね。そしたらお姉ちゃんがペロペロしてクンカクンカしてあげるから」
「いやいやいやいや! 今外さないと、僕の身が危ないから! はーなーせー!」
どうやら、きつく身体を拘束されているので動かそうとしても全くロープは緩まない。持ち上げていた先生が重たそうにしたため僕も抵抗を止めた。
「和馬様。何かされそうでしたら、私が守りますからご安心を」
「だけどさ、先生でも美羽姉を押さえつけることなんて出来ないでしょ? ましてや雇い主なんだから……」
「大丈夫です。契約書上、私が護衛するのは和馬様でその次に美羽様となっていますので、優先順位で確実に和馬様が優先となります。ですから、何かあれば美羽様を縛り上げることが可能です」
「縛り上げるって……」
「何? カズ君が私を縛ってくれるって? それも亀甲縛りで!!」
「そんなこと一言も言ってないから! そして何で懐から荒縄出してくるの!?」
「それは勿論、カズ君に縛ってもらうためだよ? ……あれ? 私、何か間違ってる?」
「うん、美羽姉の頭がどうかしてるよ。病院でも行ってきたら?」
「えっ!? 産婦人科! やだカズ君ったら、初夜もまだなのに……。 まさか! 今夜、誘ってるの? ねえねえ誘ってるの?」
「あーもう何でもいいよ。早くやること終わらせてくれ!」
*****
授業が始まってから数分後。僕は椅子に座った状態で生徒会室に居た。
「それで、美羽さん。これから何をするんです?」
一緒に来た千景が誰もが抱いている疑問を美羽姉にぶつけた。
「ふっふっふ~、それはね……勝負よ!」
「「「勝負?」」」
僕と千景、天峰さんは一体どうなっているかわからなかった。先生は事前に話を聞いたので驚いた様子はない。
「それで、一体何の勝負をするの美羽姉?」
「それは勿論、カズ君のしものお世話を誰が上手くできるかの勝負よ!」
「いや、そんな事させないからね? てか真面目に答えて」
「恥ずかしがっちゃってしょうがないな~♪ ゴホン、本当はカズ君の勉強を誰が見てあげるかの勝負よ」
「いや、それも僕としたら別に誰でもいいんだけど……」
「カズ君黙って。次喋ったら……カズ君の部屋にある例の物を燃やすっ!」
「……れ、例の物って?」
「それはエrーー」
「分かった、分かったからそれ以上言わないで!」
流石美羽姉。僕の聖書(エロ本)の場所を把握しているなんて……。迂闊にもう話せなくなった。
その時、生徒会室の扉が叩かれた。
「失礼します。……美羽様、何かご用ですか?」
「あ! 岡野さん。よく来てくれたね♪」
「いえ! 美羽様に呼ばれれば、例え火の中水の中、どんな場所でも参上いたします!」
何と生徒会室に入ってきたのは、最近出番がなく、僕の視界にも入っていなかった美羽様親衛隊通称『ML』の親衛隊長二年生の岡野亜耶先輩だった。
「岡野先輩じゃないですか。お久しぶりです」
「…………ちっ」
「えっ! 僕何か先輩に悪いことしましたか!?」
「あぁ、したとも。……私の初めてを奪ったくせに!!……」
辺りの気温が何度か下がった感覚がした。実際、背中なんて寒気がするほど、嫌な汗をかいてしまった。
「はいっ!? 何言ってるんですか? …………あぁ、もしかして入学式の事、まだ怒ってます? だから、あれは事故じゃないですか。それにその言い方だと僕が先輩の処○を無理やり奪ったみたいな言い方になっちゃうじゃないですか」
「……っ! ち、違う! そもそも私が岩永和馬ごときに自分の初めてを捧げるわけないだろ! 私の初めては生徒会長と決まっているんだ!」
「…………はぁー」
「なんだ岩永和馬! 人の前でため息なんて失礼じゃない! ……グスン」
「……えっ! 先輩、泣かないで下さいよ。さっきのはただ、うちの姉も大変だなって思っただけですよ。……ねぇ、天峰さん。天峰さんもそう思いますよね?」
「えぇ、そうですね。私も毎日毎日、生徒会長の相手をするのが……面倒です」
「私も美羽様に雇われたとはいえ、教師の仕事をやりつつ、こんな面倒な仕事をするのは……嫌です」
「あたしも頭がいいはずなのに中身が残念なのが……可哀想です」
「ねえっ! 何でさっきから矛先、私に向いているの!? それとカズ君以外の三人は私に恨みでもあるの!?」
「「「そりゃ、山ほど……」」」
「酷い、これが世間一般で言うイジメと言うやつなのね……。でも、私にはカズ君がいるから何でも頑張れる! ねぇねぇ、カズ君は私の味方だよね?」
「…………………………うん」
「何!? その長い沈黙は! カズ君は私の家族だよね? 恋人だよね? 旦那だよね?」
「いや、全然全くこれっぽっちも違う。てか、家族しか当たってないから」
「まさか! 愛人止まり!? ……でも、それはそれで私はいいかも♪」
「……はぁー。美羽姉、話それてるから戻して戻して」
しかし、美羽姉はそのまま話を止める気配が見えない。むしろ凄まじいスピードでペラペラと喋り続ける。仕方なく天峰さんに美羽姉を止めるようお願いする。
「すみません、天峰さん。こんな事にお手間をおかけして……」
「別に構いませんよ。……ほら、生徒会長。勝負内容の説明」
美羽姉の両肩を掴み、大きく揺さぶる。やっと意識が戻ったようだ。
「……あれ? 初夜は? 私とカズ君の子供は? それにここはどこ?」
「ほらほら、寝ぼけないの。皆に早く勝負内容を説明して」
今度は美羽姉の後ろから肩を掴み、皆の方に身体を向かせた。
「説明? ……あ、あぁ! 説明! そうそう説明ね。すっかり忘れてた。それじゃあ、話を戻すね」
ようやく長々としていた話も終わりを向かえられそうだ。僕と千景、天峰さん、原野先生、岡野先輩は美羽姉の方を向き、内容を聞き漏らさないように聞くことにした。
さあさあ、更新も無事にでき、何とかこちらに帰ってくることができ、大変うれしく思います。さて今回は和馬の勉強は誰が見てあげるかという話になっております。勝負の内容は一体どんなのになるのか次回の話が楽しみになります。
そして、読者様良いクリスマスをお過ごしください。感想、評価、ブックマーク等よろしくです。




