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第2話

 俺の名前はアシベ・ヒロ。

 ──運び屋だ。

 報酬次第でどんなにアブナイモノでも運んでみせる。

 裏社会の住人に俺の名を知らない奴は居やしない。

 そんな俺には毎日のように依頼がくる。

 小さなモノから大きなモノ、かわいいモノからアブナイモノまで、さまざまだ。

 おっと、そんな簡単にこの俺に依頼ができるとは思わない事だ。

 プロ中のプロ、何があっても決してミスは許されない、この命に替えても、一度受けた依頼は必ず達成する。

 そんな覚悟がある俺に依頼するのなら、依頼する側にもそれなりの覚悟が必要、ということだ。わかるだろう?

 当然だが、裏社会の住人である俺に、普通の方法では連絡など出来はしない。

 じゃあどうするかって?

 いくつか方法はあるが、一番簡単で早いのが暗号解読だ。

 インターネット上に散りばめられたいくつかの暗号。

 それに繋がるキーワード、アンサー、ワンタイムパスワード、ワンタイムパスワードがわからない?それは、あれだ。プロは感じるものだ。

 まぁいい、それらを一つ一つ見つけ出し、組み合わせてシャッフルし連想され導き出された番号!

 それがプロ中のプロである運び屋のこの俺に繋がる…電話番号だ。覚えておくがいい。

 次に簡単で早いのは、政府公安のサーバーにハッキングを仕掛け、その中から俺に繋がる情報を見つけ出す。

 ふっ。簡単だと思ったのだろう?甘いな。

 その中には当然の事だがダミーが紛れ込まれている。そのダミーを摑まされた奴がどうなるか、わかるだろう?

 ではどうやってダミーを見分け、ん?ちょっと待て…電話だ。

 ふっ。こうしている間に誰かが暗号を解いたようだ。なかなかやる奴だ。

 だが俺はすぐ電話に出るようなみっともないマネはしない。

 …かっこ悪いだろ?電話の前でずっと待ってたみたいな…。

 待たせすぎるはもっとダメだ。一流のプロである俺に求められるのはさりげないスマートさ、何気ない優しさ、そして、ダンディさだ。

 四コール…五コール…そろそろだ。

 応答っ…てあら?切れちゃった…。

 どうする?折り返すか?いやダメだ、非通知でかけてやがる!クソッ!

 ……もう一度かけてこないか?もう一度…頼む…きたっ!非通知だ!すぐに応答!

「ピーー、こちらは、国土交通省、国民満足度アンケート、実施コールセンター、です。この電話は、エーアイによる、自動音声で、〜〜」

「っ…………。」 

 ま、まぁたまにはこういうこともある。裏社会の住人といえども、わずかながらシャバとの繋がりはあるものだ。

 そもそも俺はプロ中のプロだ。こんなことで動揺なんか、するわけがない。

 そう、こういう時はゆっくりとコーヒーでも飲みながら、って来た!電話だ!また切られると厄介だ!急いで応答っ!

「あーー、ミキィ?あちしー!今どこー?えーなにー?きこえなーい、えなにー?きこえないってーきこ」

 ──プツッ

 ま、まぁ、たまには…ってまた来た!今度こそ!

「ああっ?おめぇだろぉ?ミキにつきまとってるっつぅのわよぉ〜?えぇ〜?おま」

 ──プツッ

 ………。

 ………………。


 俺の名前はアシベ・ヒロ。

 ──運び屋だ。

 報酬次第でどん…いや、今はいい…。


 ──この番号は漏れている。

 時計の針はもうすぐ午後六時になろうとしている。

 俺は走った。薄明かりの夕暮れの中、ひときわ目立つ白光を放つネオンに導かれて。

『番号変えちゃおっかな〜こないだ新しいアイファーン出てたっけな〜』

 俺はひた走る。

 新規受付は午後五時までなのを知ったのはこの後十五分ほど走って着いた店の中だった。


 つづく?


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