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敗戦国の姫として敵国に売られたわっち、皇太子様を虜にして国を掌握させていただきます  作者: 蜜りんご


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第7話 ヴィーリャ=フォン=グリトリビア

side ヴィーリャ=フォン=グリトリビア


「なんであの女、あんなに平然としてるのよ……!!」


 あたしはヴィーリャ=フォン=グリトリビア。この国の皇太子であるツェヴァルト様の正妻として小さい頃から教育を受けてきた。だからこの地位であることを当然だと思ってるし、むしろ何故あたし以外の人が、ツェヴァルト様と婚姻関係を結べるのか理解できない。


 特に、戦争で迎えた2人目の側室が特に気に入らない。これで見た目があたしより、醜かったら何も思わなかった。こんな側室を迎え入れなきゃいけないツェヴァルト様が可哀想とまで、思っていた。


 だけど、現実はそうじゃなかった。あたしをも凌駕する見目の良さ。さらさらとした絹糸を思わせる銀髪に、ラベンダーのような澄んだ紫色の瞳。裸にされて、城門の前にほっぽり出された時は一瞬、可哀想なんて柄にもないこと思った。けど、問題はそこじゃなかった。


 キュッとくびれたウエスト、雪のような白い肌、長い手足、程よく肉がつきつつも痩せている。胸だってあたしよりもあった。


 悔しい。その思いが全身を駆け巡った。性格はどうだか知らないが、体格や見た目の綺麗さはあたしを上回っていた。城の中から城下を見下ろしていたが、握っていた扇子に力が入りすぎてパキだかミシだか扇子から鳴ってはいけない音がした。


 唇だって噛み締めすぎて、少し切れてしまって血が滲んでしまった。鉄の味がしたことで、ハッと気づいて唇を噛むのはやめたけどやっぱり悔しかった。ツーヴェル帝国の王族に属する者として、いいえ、ツェヴァルト様の正妻としてふさわしいと思っていたのにこんな挫折を味わうなんて思ってすらなかった。


 城門前でのあの女の行動は、すぐさま広がった。なんと、周りの男どもを誘惑して門番まで誘惑したらしい。その噂を聞いて、あたしの心はどす黒く染まった。


 なんでそんな女があのツェヴァルト様に選ばれた? なんで人前で裸になることを恥だと思わない? なんで市井の庶民相手に誘惑だなんて、国の恥だと思わない? ジェリア公国という国の民への思いはないの? 次々に浮かぶ疑問と巻き起こった憎悪。


 だからあたしはあの女を側室の地位から失脚させることにした。まずは、小手先調べということで鼠やら虫の死骸がたくさん入った汚水を、あの女にかけろとメイドに指示したのだ。


 そしたら惨敗。あの女––––シュレイナは笑いながら『水が滴る女は綺麗でしょ?』なんてことを宣ったのだ。信じられなかった。一瞬下を向いて、震えていたから効果覿面なんて思ったのに……そうじゃなかった。


 あたしだったら、あの状況でそんなこと言える自信なんてない。しかもその表情だって、あたしからみたらとても美しいものだった。指示を出して、シュレインの周りにいさせた貴族やメイドたちが捌けてから、側仕えのメイドに水桶を用意させていた。


 なぜそんなことができる? 汚物を被せられたんだぞ? そう思っていたら、またミシ、と持っている扇子が音を立てた。


「シュレイナね、いいじゃないの。あたしの相手として不足しないわ。相手立ってあげるわ」


 水が滴るドレスを引きずるシュレイナを見ながら、パタンと扇子を閉じるのだった。


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