第3話 メイドと灰色のドレス
門番にいた兵士に、エロくならないように努めて話す。
「私はどうすればいいのでしょうか? 城までは歩けと言われましたが、城内はわからないもので」
髪を耳にかけながら、門番に問う。
「っ……中にメイドたちが貴様のドレスをもって待っている。さっさとその醜い体を隠すんだな……全く、ジェリア公国の伯爵家は全裸にされても恥がないなんて、一家の恥晒しもいいところだな」
「あら、そうかしら? 教えてくださってありがとうね」
そう言って、門番たちは門を開けてくれた。恥晒しだなんて、失礼千万だっつーの。お父様や家族に泥を塗るわけにはいかない。わっちは、そのためだったら地べただって舐める所存だ。
わっちが城内に入ると、メイドたちの侮辱した目線が突き刺さる。だが、わっちの顔を見て一気に侮辱の色が失せる。だけど、メイドという立場を思い出したのか、わっちに侮辱の言葉を投げてくる。
「これが、ツェヴァルト様の第二夫人ですって? なんでこんな醜い女が」
「ほんとにそう! 私たちの仕事も増えてしまったし……」
「まぁ……王家に勤めている割にお口がわるぅございますこと。ツーヴェル帝国はそんなに民度が悪いのでしょうか?」
売られた喧嘩は乗り気で勝っていくつもりだ。口元に手を当てて、笑みを浮かべて話すと相手のメイドたちは怒りに燃え上がっていた。
「ですが……あなたたちは私付きのメイドなのでしょう? 早くドレス、着させてくれないかしら?」
「こんの女……!!」
「こら、一応このおん、方は第二夫人であるのよ。敬う気はないけど、仕事はこなさなきゃ」
そう言って、メイドの1人が取り成してドレスを着ることができた。ツーヴェル帝国の情勢や流行りはさっと調べたけど、灰色が地位のひっくい者が着るらしいことがわかった。絶賛灰色のドレスを着せられたんだけど、そういうことだよね。
(こいつらは、わっちのことをだーいぶ甘く見てんな……見とけよ、クソが)
そうは思うけど表情には一切出さず、着付けてくれたお礼を一応する。
「あらあら灰色のドレスがお似合いなことで」
「ほーんと! とーってもお似合いですわよ」
「あなたがたの汚れた心のようなドレスを着せていただいて、ありがとうね。今のは褒め言葉としていただいておくわ」
1人のメイドが拳を握ってわっちに、殴りかかりそうになったので他のメイドが慌てて押さえていた。さすがに、側室に怪我はさせられないもんな。このメイドは懐柔できるかもしれない候補だな、と思う。
「ふふっ、すぐ暴力に訴えかけるのは低俗な証拠よ。一流は笑みで隠すのよ。私を見習ったらいかが?」
「っ!!」
殴りかかっていたメイドは顔を真っ赤にしていた。はぁ、面白い。わっちはもともとこんな性格じゃなかったけど、記憶がもどったんだから少しくらいは暴れさせてほしい。
「これからこの女は、ツェヴァルト様にお目通するのよ!! 殴ってどうするのよ!!」
ふーふーと怒りを抑えられないらしいメイドの女は、さっきの真面目そうなメイドと他数人に押さえられていた。
「けどっ! こんなバカにされてよく平気ね!!」
「馬鹿にはしてないわ。ただ愚かだなぁと思うだけで……はぁ。こんなところでしょうか。ツェヴァルト皇子の元に案内するなら、してくださいな」
「……覚えてなさいよ!!」
そういうと、メイドたちはわっちをツェヴァルトって男がいるであろう部屋へと案内してくれた。あんなにキレていてもメイドはメイド。主人や格の高い人間には逆らえないんだろう。
一応職業柄人はたくさん見てきたし、良い男かどうかの目利きもできると自負している。さて、ツェヴァルト皇子ってのがどんな男か見定めてやろうじゃないの。




