第26話 ギルド
「真理待って!」
部屋をあとにして、俺と火花は真理の後を追いかける。
「これから、依頼を受けにいくよ。火蓮と火花は初めてだから、私が教えてあげるよ」
彼女はそう言うと、階段を下りる。
彼女の一歩一歩に、怒りと焦りの感情がにじみ出ている。まぁ、誰だってあんな風にしたらこうなるよな。
「依頼?そういえば、花影さんもそんなこと言ってたな。どういうものなんだ?」
「魔術師協会は、少数派と呼ばれている私達、つまり、異能者や魔術師、魔法使い、精霊や悪魔といった魔力生命体なんかを召集して、政府、地球連合の出す通常多数派がこなせない仕事を代わりに受け持って、それに見会う能力の者達を派遣し、その仕事の難易度、まぁ、多数派にとっての難易度だけど、それに見会う給料を得るという派遣会社みたいなことをしているんです。ちなみに、地球連合という名前を使っている理由は、魔術師協会の中には他惑星の知的生命体も存在しているからです」
長い。
「つまり、超大きな派遣会社、と思ってくれて結構ですよ?」
彼女は最後にそう締め括りながら、ある扉を開けた。
「ここから入って右側、手前から3番目の扉がギルドです」
その扉は、他の扉なんかとは全く違っていた。
こう、なんというか、アーチみたいな奴で、そこに黒いベールが掛かっている。
真理は普通に入っていったが、俺はこの少し近未来な入り口に躊躇していた。
「ご主人様、これは量子テレポーテーションを利用した科学の製品です」
「そうなのか?」
「はい。しかし、私のデータベースにあるテレポと、少し構造が違います」
彼女はアーチの縁に触れると、少しの間目を閉じ、そしてこういった。
「あらゆる物質、マクロ、ミクロに関わらず、すべてを完璧に目的地に届けられるようになっているようです。しかし、目的地の情報が、地球のものと一致しませんでした」
マジか...
「よくそんなことがわかったな?参考までに、どうやって調べたのか教えてくれよ」
彼女はこちらに向き直った。その瞬間、彼女はここから消えた。
「遅いです!」
どうやら、真理が待ちかねて連れ去っていったようだった。
この後、俺も強制的に連れていかれた。
目的地が地球上にないってのが少し怖かったが。




