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お酒が控えめになる日

ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。

今日はギルド長から給仕を頼まれていますので、冒険者ギルド内の酒場でお仕事です。


「......」


着替え、良し。


「今日もよろしくな、ティファレトちゃん」


「はい」


料理長に挨拶、良し。

不足はありませんね。それでは、お金を稼ぐとしましょう。


「んあ?あー、今日はティファレトが給仕か」


「マジか、今日は酒は無しか」


どうやら私が給仕の日はお酒を飲まない、あるいは酔わないという不文律が出来ているらしく、料理長によるとお酒の代わりに料理の注文が増えるのだとか。


「まぁ、酒は飲めねぇけど代わりの楽しみが出来るからな。それで我慢しようや」


「そうだな」


最近、気付いたのですが、私が料理を持って来た時に男性陣が真剣な表情をする時は、私の胸を見ている事がほとんどです。

確かに大きいので物珍しさはあるでしょうが、そんなに凝視するものなのでしょうか?


「あの」


ここは一つ、見ている男性に直接聞いてみましょう。


「お、おう!?何だ?」


「皆さん、私の胸を見ていますが何が理由なのですか?」


「ブフッ!ゲホッ、ゴホッ!」


むせてしまいました。


「あ、あー、その、迷惑か?」


「いえ、疑問に思っただけです」


「そ、そうか......理由はな、楽しいからだ」


「楽しい、ですか?」


胸を見る事がですか?理解出来ません。


「えーっと、とにかくだ。俺達にとっては楽しいし嬉しいからよ、迷惑じゃなきゃ見てるのを許してほしい」


「はい」


見るだけで楽しいのなら、どうぞ。私には特に害はありませんし。


「ひゃっほう!」


随分と喜んでいます。そこまでですか?


「ヘッヘッヘ、お前ら正気かぁ?見るだけで満足たぁハルフォンソの連中は腰抜け揃いだぜ」


「?」


喜んでいる男性を見ていると、少し遠目の椅子から剃髪にした男性が大声を出しながら立ち上がり、私を指差しました。

誰でしょう?見た事の無い人です。


「おい新入り、言葉には気をつけろよ?酒も飲まねぇし触りもしねぇのにはキチンと理由があんだ」


喜んでいた男性が鋭く視線を剃髪の男性に向けます。


「誰ですか?」


「他の街からの流れだよ。鳴かず飛ばずの口だけ野郎だ」


「あぁ!?」


「見たところ、随分と酔っていますね」


私がそう発言した途端、胸を見るのが楽しい男性が慌てだしました。


「まま、待て!ティファレト!奇跡は待ってくれ!酔ってる馬鹿はアイツだけだ!他の飲んでる奴は勘弁してやってくれ!頼むからアイツだけにしてくれ!」


「わかりました」


「え?で、出来るのか?」


「はい」


神に不可能はありません。


「じゃあ......頼んだ。酔いを覚ましてやってくれ」


「はい」


跪き、神に深く深く祈ります。


「なんだぁ?急にしゃがみやがって......舐めてんのかコラァ!」


「おぉっと、させねぇよ」


喧騒が消え、視界が消え、やがて神から許可を賜り、私は指先を剃髪の男性に向けて力ある言葉を告げます。


「黙せよ......追放〈げきふん〉」


「ぎ!?ぎゃあああああああ!!」


「おーおー、相変わらずおっかねぇぜ」


奇跡が発現した瞬間、お酒の毒を除去する痛みにより、剃髪の男性が頭を掻き毟りながら倒れ、やがて痙攣をしながら気絶しました。


「聞こえちゃいねぇだろうが、これが理由だ」


「他に必要な人は......いませんね。お仕事に戻っても?」


「ああ、わりぃな、時間を取らせた。俺はコイツを外に捨ててくるわ」


「はい」


気を取り直して、お仕事を頑張りましょう。

はい、豆スープに......ヒマワリパンですね?はい。

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