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王都までの道中

グリテン平原近くからこんにちは。ティファレトです。

王都への道のりも半ばになり、そろそろ休憩を挟もうかと思っているのですが。


「シ、シスター、あれ何?」


「ギグですね。はぐれですか」


私達の目の前に、毛深くて手足の長い猿のような生物が目を血走らせて立ち塞がっています。


「ギグ?」


「トルンの森やグリテン平原で群れを作る生き物で、非常に凶暴です」


「群れがいるの?」


「いえ、恐らくこの個体は群れを追い出されたはぐれでしょう。ここで逃げても執拗に狙ってくるでしょうし、ここで殺しておきます」


アーノルドを背から下ろし、メイスと小盾を構えます。


「下手に動いてはいけませんよ?守れなくなります」


「う、うん!」


私とアーノルドを見比べたギグが背を屈めた瞬間、一気に走って距離を詰め。


「ギャアアアア!」


石を持とうとした手を振り下ろしたメイスで叩き潰します。

アーノルドの事を確認した時点で、アーノルドに投石をしようとするのは予測済みです。

目の前の強敵を動揺させる為に弱者から狙う、ギグとはそういう生き物なのです。

痛みに耐えながら、私の顔を横振りで狙う腕の内側に潜り込み、顎を小盾でかち上げます。

勢いそのままに回転し、膝をメイスの横薙ぎで砕き、潰した手の側へ回り込んで後頭部目掛けてメイスを振り下ろして終わりです。


「ふむ」


先手を取ったとはいえ、以前の私ではもっと苦戦したでしょう。

メイスの重さと私の筋力の増加が確実に成果を出しましたね。

恐らく、以前のメイスでは一撃で膝を砕く事は叶わず、戦闘時間がもっと長くなっていた筈です。


「シスターって本当に強かったんだ」


「はい、銅階級ですので」


「ジョン兄と戦っている時と全然違う」


「怖かったですか?」


「守ってくれたんだから、怖くないよ。でも、戦ってる時も無表情なのはどうかと思う」


「そうですか」


自分では表情はいまひとつ分かりませんね。


「もう少し離れた所で休憩にしましょう」


「臭うもんね」


「それもありますが、死肉を食べる生物達が集まってくるのです」


「へ〜」


馬車の通り道近くに毛皮を敷き、飲み物と食事を用意します。

アーノルドにとっては少し硬い地面かもしれませんが、もう少しで王都に着くので我慢してもらいましょう。

遠くを見ると死肉目的の生き物が走っているのが見えます。

人間にとってはギグは臭くて食べれないとの事ですが、彼らには特に問題無いのでしょう。

私にとってはお肉は全て同じです。可能な限り食べたいとは思いませんね。

仮に、擬態する前と変わらずお肉を食べていた場合、私は人間社会で暮らしていけたのでしょうか?

......それも含めて、水ブドウには感謝しなければなりませんね。

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