平和な診療所
ハルフォンソの街からこんにちは。ティファレトです。
「今日は誰もこんの。平和で良いことじゃ」
「お仕事が無いのに喜ぶのも不思議な気がします」
今日はガーロンド先生の診療所でお手伝いをしています。
どうやら助手のパンジーさんが妊娠しているらしく、暫くは満足に来れないのだとか。
「確かに生活はあるがの、それでも誰も怪我せず、病に罹らずが一番なのじゃよ」
「......確かにそうですね」
患者が増えればお金を稼げますが、そもそもその状態は良い状態では無いと。難しい問題です。
「そういえば、最近は強盗は来ないのですか?」
「あれ以来は来てないのぅ。王都の方でも数を減らしとると聞くし、誰ぞお偉い方が対策をとってくれたのかもしれんの」
「伯爵でしょうか?」
「どうかの?第三王子殿下が辣腕を振るっているとは聞くの」
「ふむ」
「なんでも第一王子殿下はお体が弱く、第二王子殿下は政務よりは研究といったらしくての?第三王子殿下がいずれは即位されるのではという噂じゃ」
「継承権は問題無いのですか?」
「そこじゃの。とはいえ、適さぬ者が王になったとて不幸しか生まぬ。王はどのように決断なされるのか......」
「難しいですね」
「そうじゃの。じゃが、儂らが気を揉んだとて何も変わらぬ。儂らは儂らに出来る事をすれば良いのじゃ」
「確かに、そうですね」
ひとまずは、お金を稼いで子ども達を育てて、毎日を生きていきましょう。
その先は......どうなのでしょう?今の私には答えが出せませんね。
「ティファレトちゃんや」
「はい」
「ティファレトちゃんは儂らに何かを隠しておる」
「!?」
「じゃが、それが何かは聞かぬよ。これでも人を見る目は曇っておらぬ。ティファレトちゃんは儂らの敵ではないわい」
「......」
「いつか、儂らに明かしても良いと思った時に明かしておくれ。きっと、驚きはしても儂は受け入れるよ」
「......はい」
その日が、来るのでしょうか?
いえ、きっと、来てしまうのでしょう。
その時の為に、今は誠実に生きましょう。




