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ゲームのような世界で、私がプレイヤーとして生きてくとこ見てて!  作者: カノエカノト


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第九四四話 超・必殺!!

 よもや、攻略にこれほどの日数を費やすことになるだなんて、正直思いもしなかった。

 鬼門となったのは第二の課題。他の皆はサラッとクリアしただろうか? だとするなら、とっくに第三の試練へ臨んでいるメンバーも多いのかも知れない。

 もし次も即席PTを組むようなルールだった場合、待機室で数日過ごしている、なんてことも考えられるのかな?

 マッチングに数日。これがネトゲなら炎上待ったなしだね。


 なんて、祝勝会がてらそんな話をダラダラと続けたなら、いよいよ宴もたけなわ。

 名残惜しくも皆の視線は、自然と傍らのワープポータルへ向かったのである。


「さて、次はどんな試練が待っているのやら。予想だと『体の試練』になると思うんだけど」

「体の試練……一体どんな内容なんでしょう? 健康診断でもされるんでしょうか?」

「それは平和的でいいですね~。確かに大事ですもんね、健康~」


 呑気な言葉が交わされるも、所謂希望的観測に近い意見だ。勿論、当人たちだって分かった上での物言いだろう。

 ネガティブな予想を抱えたまま進んでも、そんなのしんどいばかりだもの。それにこの迷宮、多分「エンドコンテンツへ挑む資格なし」と判断したなら、普通に殺しに来ると思うんだよね。

 例えば第一の試練。疑心暗鬼はもとより、ボスも厄介な能力を持ってたし。エンカウントしたモンスターも、生半な戦力じゃ苦戦は免れなかったはずだ。

 今回クリアした第二の試練に関しても、使用できるスキルを絞られ、即席PTっていう対応力というか応用力というか。そうした柔軟性が求められた。

 順応できなければ、間違いなくあっさり死んでたと思う。……というか、例えばこれがチームミコバトじゃなかった場合、ひょっとして悲惨なことになるのでは……?


 ここまでの流れを見るに、きっと次の試練も相応の苦難が用意されているに違いない。進んでみれば分かる話。ならば今から嫌な予想をして、気を滅入らせることもない。

 私たちは努めて肩の力を抜くと、飲み食いした残りをマジックバッグへしまい込み。

 そうして各々、腹を括ったのである。今回の集いはここまで。荷物を抱え、出発の準備を整える。

「また分断される可能性は、決して低くないと思う。二人とも、脱落なんかしないようにね?」

 その様に激励とも軽口とも取れるような言葉を投げてみれば、二人の反応は顕著に異なり。

「精々頑張ります~。後衛の私に『体の試練』だなんて、ぶっちゃけ嫌な予感しかしませんけどね~」

「推し活のためにも、こんなところで躓いてなんていられません! ミコト様も、どうかお気をつけて!」

 うん……推し活て。


 自信なさげにげんなりしているスイレンさんと、意気込みを語るアグネムちゃん。

 心配はあれど、信頼もあり。ここまでの試練内容を鑑みたなら、きっとなんとか乗り越えることも出来るだろうと。

 そんな楽観とも確信ともつかない思いを胸に、皆でとうとうワープポータルへと向き直る。


「それじゃ、また後で」


 言って。三人で転移を司るその石碑へと触れたなら、次の瞬間である。

 私の視界は、例によって新たな景色を捉えたのだった。



 ★



 小広い部屋。備え付けられた待合椅子。洒落た言い方をするなら、ロビーチェアか。或いはロビーベンチ。違いはよく知らない。

 最奥には扉が一つと、メッセージウィンドウ。総じて、見覚えのある場所だ。

 先日第二の試練へと臨む前に通された、待機部屋と同一、ないしはそれと同じ作りの場所であると認める私。

 つまりは、第三の試練に関する説明や準備が、この場所で行われるのだろう。


 改めて部屋の中を見回してみる。が、残念ながら私以外に人の姿も気配もなく。案の定また仲間と分断されてしまったらしい。

 誰かとマッチングするのか、はたまた今回はソロでの挑戦ってことなのか。やや心細さを感じる。

 ともあれ、突っ立っていても始まらない。一先ずメッセージウィンドウの確認でもしてみようか、と思い立ったところで、ふと。

「あ。そういえばスキルってどうなったんだろう?」

 思い至り、試しに換装を試行。するとどうだ、問題なく最強装備から通常装備へと切り替えることが出来たのである。

 装備枠の圧迫から開放され、ホッと脱力する。どうやら転移したことで制限下を脱したようだ。

 ならば、念話なんかのスキルも開放されてやしないかと、ドキドキしながら皆へ呼びかけてみる。

 ……けれど。残念ながら、こちらは不発。どうやらへんてこスキル回りは、相変わらず制限を受け続けているらしい。

 まぁ、全部ってことではないけどね。換装は使えたし、ストレージも復活したっぽいし。


 で、あるならば、だ。

 今なら新しく得たスキル、【超必殺技ゲージ】が使えるってことなんじゃなかろうか。

「……どうしよう。試してみたいんですけど……」

 好奇心が疼く。冒険者だものね、疼いちゃったのならば仕方がない。というわけで、早速試してみることに。


 使用方法は確か、マジック含むアーツ系のスキルを一つ指定。必殺技ゲージと紐づける。

 んであとは、戦闘行動を行うんだよね。攻撃したり、防御したり、回避したり。そういうアクションを行う度に、ジリジリとゲージが溜まっていき……。

 マックスまで溜まったら、超必殺技発動! っていう流れ。なんというロマン!

 どうしようかな、何をセットしようかな? ここはベタに【ファイアーボール】とか? それとも思い切ってコストの高い【ヴォルカニックテンペスト】とかどうだろう。

 ふふ、ヤバい。ワクワクする。ああでも、強力すぎて災害みたいなことになったらヤバイよね。

 ならやっぱり、ここは控えめに【ライトニングボルト】とか、その辺にしておこうかな。そうしよう。


 超必殺技ゲージだなんて、如何にもへんてこスキルっぽいけど、どうやら使用制限は受けていない様子。

 先ずは【超必殺技ゲージ】を起動。すると、目の前にスキル選択ウィンドウが出現。習得済みのスキルの中から、紐づけが可能なもののみ羅列されているようだ。

 その中から、予定通り【ライトニングボルト】を選択。決定したなら、準備は完了らしい。

 ライトニングボルト使用分のMPが消費された感覚がある。先払い方式かな? それとも超必殺技発動時に追加でコストを支払う感じ?

 何にせよ、目の前のウィンドウは切り替わり、一本のゲージとなって視界の隅っこに居座った。

 これで戦闘行動を行うと、じわじわ溜まっていく感じか。いいねいいねぇ。


「えっと、戦闘戦闘……あれ。相手が居ないんですけど。じゃぁ……カミカゼ! あのベンチを私に向かって念力で飛ばして! 避けるから。それで回避行動になるんじゃないかな!」


 ウキウキしながらその様に頼み込んでみたところ、チョーカーに宿った白九尾のカミカゼことアヤツカミカゼは、渋々と言った具合に念力を行使。

 ロビーベンチを宙に浮かべたかと思えば、遠慮も容赦もなくこちらへ向けて、それを思い切りぶん投げてきたのである。

 さながらハードめのボルターガイスト。映画のワンシーンが如し。ノリ良くキャーキャーと喚いてみても良かったのだけど、それじゃ回避扱いされるかどうか。

 というわけで、真面目に身を屈めたり跳び上がったり、ベタにローリング回避なんかを行ってゲージの進みを観察してみる。


「お。ほんの薄っすらと溜まっていってる……! 効率は悪いけど、回避の鍛錬にもなるって思えばむしろ好都合! よし、どんどん行こう!」


 勢いづき、もっともっととカミカゼへ要求してみたなら、やけくそ気味に全てのベンチが宙へ浮かび、ひっきりなしに襲い掛かってきたのである。

 そこからはもう、シッチャカメッチャカ。ある意味ヴォルカニックテンペストみたいなものだ。

 四方八方から飛んでくるベンチ。いや、最早ベンチと言わず、部屋の中にあるあらゆるものを念力で掴んで、私にぶつけんと投げつけてくる。

 それを延々と、遅々とした歩みのゲージが溜まりきるまで、ひたすら避けまくる私。楽しい。鍛錬不足で何気にストレスがヤバかったため、めっちゃ楽しいんですけど!

 そうだ、これが終わったら普通に鍛錬もやらないと。ああそうだ、重力負荷かけよう、重力負荷!

 思いつきで自身の身体を、重力魔法でずんと重くしてみる。するとどうだ、動きは一気に鈍り。

 そのせいで背後から飛んできたベンチがお尻にヒット。「あ痛ぁっ!」なんて言ってる間にも、じゃんじゃん飛んでくる障害物。素晴らしい鍛錬!


 ヒットしたらしたで、それでもゲージは溜まるらしく。ドッタンバッタンと大暴れを続けること三〇分あまり。

 ぶっちゃけ、まだまだ鍛錬としては満足の行くものではないのだけど、ゲージがとうとう満タンになってしまった。喜ぶべきか、残念に思うべきか。

 まぁいいや。これで【超必殺技】の発動条件は満たされたはず。ゲージも視界の端でカラフルに輝いているしね。

「さぁ、いよいよだ……!」

 バッと突き出すは右腕。左手をそっと添えたなら、ドキドキしながら叫ぶ。


「いくよ、超・必殺!! ライトニングゥゥゥゥボル」


 その時だ。カミカゼが止めろ止めろとガチめに怒鳴ってきたのは。

 曰く、そういうのはお外に出てやりなさいと。この上ないド正論パンチである。と言うか寧ろ、何故私はそんなことすら失念して発動しようとしたのか。

 これが所謂、好奇心は猫を殺すってやつだろうか。或いは単なる暴走……若しくは、加減が利くと慢心していたとでも言うのか。

 何にせよ、大反省案件である。家の中で花火に火をつけるどころの騒ぎじゃないもの。

 きっと久々の鍛錬で有頂天になっていたのだろう。大量に摂取するとヤバいってことだ。用法用量、大事。


 それにしても、持つべきは意思ある装備。止めてもらえなければ、危うくとんだ自滅を演じるところだった。

 まぁそれでも、月日を帯剣しているからね。最強装備と比べたなら大人しいけれど、それでも高い防御力を誇るから、最悪の事態にまではならなかったと思う。

 ともあれ、【超必殺技ゲージ】については、またも一旦放置ということになるわけだ。

 第三の試練でたくさん活躍してもらうこととしよう。


「さて、それじゃメッセージウィンドウでも確認しますかね」


 しこたま荒らした部屋の中を、念力を使ってちゃちゃっと片付けたなら、いよいよ本題へ取り掛かる。

 試練は全部で三つ。つまりはこの先に待ち受けているそれこそが、最後の試練になるわけだ。

 深呼吸をして気持ちを整えたなら、いざメッセージウィンドウのもとへ。

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