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ゲームのような世界で、私がプレイヤーとして生きてくとこ見てて!  作者: カノエカノト


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第一七九三話 ぬるっと復活

 朝食を終え、トレモちゃん再召喚まではまだ時間があるってことで一度解散。

 お昼時にでもまた集まろうということで皆と予定を合わせたなら、さて午前中はどうしようかと、幾つかの選択肢を思い浮かべてみたのだけど。

 であればいよいよ、マイハウスに手をつけてみるべきかと発心。

 折角を思うのなら、トレモちゃんを呼び出したあと、彼女とともに手掛けていくのも一興ではあるのだけど。

 しかし既にチームハウスの主だった編集を行ってに担った私が、初見面をしてトレモちゃんとリアクションを共有、なんてのも何処か白けて思えるからね。

 だったら先んじて、チームハウスとマイハウスの違いくらい把握しておこうって算段だ。本格的にどうマイハウスを改造していくかは、それこそトレモちゃんが復活してからとしつつ、今回は予習がてらの軽い物見遊山と洒落込むつもり。

 てなわけで、早速チームハウスからマイハウスへと飛んできたわけだけど。


「おお、これがマイハウス……初期チームハウスの小型バージョンって感じだね。周辺の環境もほぼ同じかな」


 緑の映える、なだらかな丘の上。そこにぽつんと佇む、地味で質素な一軒家。それが初期状態のマイハウスである。

 質素でこそあるけれど、ボロっちさというのは特に感じない。隙間風が入り込むこともないし、最低限の快適さは担保されているという、まぁ何とも絶妙なクオリティで成り立っており。人によってはこの初期状態でだって何ら手を加える必要もなく、快適に利用することが出来るのだろう。

 が、当然私がそれで満足するはずもない。

 今は様子見に留めこそするけれど、トレモちゃん復活の暁には弄り倒してやる所存。


「ウィンドウについても……うん、チームハウスのそれと共通のUIって感じ。これと言った不便も無さそうだし、トレモちゃん相手に紹介役を演じることだって問題なく出来そうだ」


 一応、隠し要素探しなんかも行ってみる。

 デフォルト状態のマイハウス限定で、何か特別なギミックが仕込まれてる、とかだったら面白そうじゃんね。

 まぁその辺りは、既に他のメンバーが一通り調べてそうなものだけど。それでいて何ら報告がないっていうんだから、何も見つかってはいないってこと。

 だから念の為の探索だ。


 ……うん、まぁ、やっぱり何もなかったね。残念なような、そうでもないような。

 まぁいいさ。気を取り直していこう。


「外の広さについても確認しておこうかな」


 マイハウスはなだらかな丘の上にぽつんと建っているわけだけど。

 そのなだらかな丘がどこまで続いているのか、どこまで探索が可能なのかって言うと、実は例によって「見えない壁」により一定以上は進めない仕様が採用されているようなのだ。要は技の試練フィールドと同じようなものだね。

 で、今回気になったのは、その壁に囲われた範囲の広さである。

 どの程度の範囲が探索、および編集可能範囲として設定されているのか。それはチームハウスの編集可能範囲と比較して狭いのか、はたまた同程度なのか。他に何かしら差異はあるか、などなど。そうした確認を行おうというお話。


 早速調査を開始した私。どんなふうに調べたかは割愛。色々やったからね……まぁ範囲計測だけなら、単に距離を測るだけのことだから。それ自体はスキルに頼るなり、原始的な方法を試すなり、それ用の魔道具を生み出すなりして、パパッと手早く済みはしたのだけど。

 壁がチームハウスのそれと同質、同性能のものかをチェックするのには、ちょっと手間取った。思いつく案を、ひと通り試した感じ。

 で、そうして分かったのは……壁については多分同じものであり、性能としても同等と見ていいだろう、という結論。確定まではしかねるけども。

 そして気になる、広さについてなのだけど。これはやはり、チームハウスのほうが広大だった。

 マイハウスは、個人が所有する土地って観点で見れば、そりゃもう十分な広さが確保されているわけだけど。異世界基準で見たって窮屈しない程度ではあるんだけど。しかし思う存分運動できるだけのスペースかと言われたら、ちょっと不満を覚える程度ではある。

 その点チームハウスは、全員で大暴れでもしない限りは不足を感じないくらい、広い範囲が確保されているからね。


「建築事情に鑑みると、あんまり大規模なものは作れない、って点に注意が必要かな。まぁ、スキルレベルとかで広さが拡張される可能性もありそうだし、その辺は今後に期待するとして」


 そんなこんなしていると、それなりの時間が経過。とは言えお昼まではまだ少し暇があるため、いつものように鍛錬や諸々の研究研鑽、それとトレモちゃんの名前を考えるのに時間を費やすことで、ぬるっと午前中をやり過ごした。

 さて、ぼちぼち頃合いである……!



 ★



 時刻は正午前。場所はチームハウスの食堂。

 お昼時には若干早いものの、既にメンバーがチラホラと集まり始めており、トレモちゃんの復活を一緒に喜んでくれる気満々の様子。嬉しいね。

 もちろん、彼女の命名案も考えてきてくれたようだけど。しかしここでちょっとした問題が。


「自分の考えた案を発表するのって、ちょっぴり恥ずかしいのです……」


 などと、もじもじしているココロちゃん。うん、かわええ。

 しかしまぁ、なるほどである。「私が考えた名前です!」って言って発表するのは、がっつりネーミングセンスをさらけ出すようなものだからね。恥ずかしいっていうのも分からないじゃない。

 ってなると、匿名性にしてしまうのが良いのかも知れないね。

 というわけで、急遽投票箱のような空のボックスと、考えてきた名前を書くための用紙を設置。

 名前を書いた用紙は折りたたんで、箱へ投じるようお願いした。これなら、誰がどの名前を考えたか、なんて分からないからね。匿名が成り立つはず。


 そんなわけで、続々と食堂へ集まってくるメンバーたちに、考えてきた名前を投函してもらい。私自身も用紙にトレモちゃんの命名案をしたため、箱の中へと投じた。

 そうこうしていると、いつの間にやら全員が食堂に集まっており。今しがた最後の一人が、投函を終えたところである。

 昼食はトレモちゃんの復活を見届け、名付けも済んでからにしようということで、早速席を立ち、皆の前に出る私。

 繰り出すスキルは言わずもがな、リキャストタイムを終えた【サポートキャラクター召喚】であり。

 皆に見守られながら、幾分厳かにそれを発動する。


 と、何ら勿体ぶるでもなく、スンと出現するトレモちゃん。

 どうやら状況説明は不要らしく、皆の視線を集めていることに若干の挙動不審ぶりを見せこそするけれど、戦闘不能に陥った際のショックを引きずった様子は無さそうで一安心。

 一方、彼女の復活を見届けた皆も、その表情には安堵が浮かび、いくらか緊張した空気も一気に弛緩したほどだった。


「よかった、無事に復活できたね。私のこと分かる? 記憶が欠落してたりとか、人格がリセットされたりとかしてない?」

「(こくこく)(グッ!)」

「おお、サムズアップ。ちゃんとトレモちゃんだね!」


 これもまた一安心。もしかしたら戦闘不能に伴い、記憶や人格をロストしてしまうんじゃないか、なんてデスペナルティを警戒していたのだけど。どうやらそういったものは特に無いらしい。スタイルポイント(SP)が目減りしたとか、獲得済みのスタイルが消し飛んだ、みたいなこともないし、本当に再召喚まで時間がかかるって事くらいしかデメリットは無いっぽい。

 そうしたら、早速皆から労いだったり、復活を喜ぶコメントがワッと寄せられる。


「ハウスマスター戦では、見事な活躍だったぞ! 守ってやれなくて済まなかったな……」

「そうね。あんたの生み出した隙が、ある意味決め手だったと言ってもいいくらいだわ!」

「熱い魂を感じたのぜ!」

「見どころを感じるぱわな!」

「ガウガウラ」

「それにしても興味深い存在ですね。失われなくて安心しました」

「詰めが甘い。ミコトの足を引っ張らないよう、私が鍛えてあげてもいい」

「めでたいですね~、歌っちゃいますよ~!」


 やんややんやの大騒ぎ。これにはトレモちゃんもタジタジである。

 まぁでも、これを気に一層トレモちゃんと皆の距離が縮まったと思えば、怪我の功名と言えなくもないのかな。

 そうしたらいよいよ、命名会の幕開けである。

 はてさて、皆はどんな名前を考えてきてくれたのだろうか。

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