↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームのような世界で、私がプレイヤーとして生きてくとこ見てて!  作者: カノエカノト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1788/1818

第一七八八話 新たなオモチャ

「よし、ではチームハウスを設定しようと思う!」


 イクシスさんの号令に、ワッと盛り上がる私たち。

 そう、ゲストハウスが消えてしまった以上、今の私たちには「安心して休める拠点」というものが存在しておらず。

 それでいて各々が結構な疲労や消耗を溜め込んでいる。テンション高く騒いでこそいるけれど、それだけもたらされた新情報がアガるものだった、というだけの話。普通なら昏倒していたっておかしくないような状態である。

 更に言うなら、ハウスマスターのドロップ品である『クリスタルハート』。これを調べるためにミコバトへ潜るにも、やっぱり安全な場所というのは必須。

 ゆえにこそ、『チームハウス』というのはドンピシャの選択肢と言えた。


「取り敢えず、バカ仮面とアグネムは【マイハウス】を取りなさいよ」

「っと、そうだった」

「えへへ、ミコト様と一緒に使うんだぁ」


 リリに促され、取り出したのは鍵の形をしたアイテム。新たなへんてこスキルを得るための特殊な品だ。

 アグネムちゃんと軽く頷き合ったなら、意を決してそれを使用。

 そうして私たちは、ついに【マイハウス】を得ることに成功したのである。

 これにより、チームミコバト全員が同名のへんてこスキルを所有しているという、これまでに無かった状況が成立したわけだけれど。

 本番はここからだ。


「それでは早速、チームハウスの設定を始めましょう」


 待ち切れないとばかりに、ソフィアさんが口を開く。何なら既にウィンドウも展開しているのだろう。

 私も皆も、それに倣うよう【マイハウス】専用のウィンドウを展開。その中に「チームハウス」関連の項目を探し、見つけた。

 現時点では憶測に過ぎないのだけれど、とは言え十中八九「団体用のマイハウス」って認識で合っているはず。つまりは、チームで一つのハウスを共有しようってわけだ。

 参加メンバーは当然、この場に集った一四名。ちなみにニセ子やトレモちゃんなんかは、私の付属パーツみたいなカウントってことで。要はお子さん連れ、みたいなものである。


 して、肝心の設定方法なのだけど。操作は当然ウィンドウを介して行える、というのは直感的に分かるのだけど。今しがた【マイハウス】を得た私やアグネムちゃんは、皆より少々出遅れてしまっているからね。分析や理解に努めるので忙しく、詳しいことは先人たちにお任せしたいところ。

 すると、誰より前のめりに【マイハウス】へ執着を見せたスキル大好きソフィアさんが、任せろとでも言いたげに先導を開始した。


「どうやら共同でチームハウスを立てるメンバーを選び、同意を得ることで次へ進める仕様のようですね。というわけで、全員を共有対象メンバーとしてチームハウスの作成を試みました。招待か何か届きましたか?」


 言われ、自身のウィンドウを確認してみたところ、確かになにか表示されている。

 招待と言うか、確認メッセージだね。チームハウスの参加メンバーに加入するか、という問いかけ。提案者や、参加メンバー名などの情報が併せて載せてあり、更には「※参加できるチームハウスは一つまでです」という注意書きまで確認できた。


「どうやら、このチームハウス設立に承諾した場合、他のチームハウスには参加できないようだな」

「他には立てられなくなるってことです~?」

「ってより、今所属してるところを抜けないと、別に参加できないって感じじゃないかな」

「なるほど、掛け持ちは出来ないと」

「グルゥ」


 つまり、【マイハウス】というスキルを有するものには、二つの権限が与えられているってことだ。

 一つは自分専用のマイハウスを得て、自由にできる権限。

 一つは何れか一個のチームハウスに参加・利用できる権限。

 なので、今作ろうとしているチームミコバトのチームハウスに参加した場合、こっそり別でチームハウスを新たに立てよう、ってことは出来ないと。


「まぁ、問題はなさそうね。参加するわ」

「ぱわぱわ!」

「ん」

「はやくどんなところか見てみたいのぜ!」


 皆が次々に参加を決めている。勿論、私も直ぐにOKした。

 ただ、許諾と同時に転移が発動する、というわけではないらしい。全員の返答が済んだタイミングで、一斉転移が起こるのだろう。

 なんて察しを付けたのとほぼ同時である。目の前の景色がパッと切り替わる、転移独特の感覚があり。

 そうして私たちは技の試練フィールドから、チームハウスの存在する特殊な空間へと移動を果たしたのだった。



 ★



 概要から想像するに、チームハウスとは恐らく、ネットゲームでいうところのクラン専用ルームみたいなものだと思う。

 チームだのクランだのギルドだの、呼び名は様々なれども実質的なところは共通しており。要は一個の団体である。

 同好の士だったり、同じ目的を持っていたり、或いは単にメリットを求めて名を連ねているだけの、浅い繋がりって場合も多いだろう。

 そうした団体それぞれに運営から与えられているのが、メンバーたちが気兼ねなく集まるためのスペース、つまりはチームハウスってわけだ。

 私の予想が正しければ、皆の同意のもと設立されたここも、それと同じようなものだと思うのだけど、果たして……。


「ここが、チームハウス……」

「なんか、思ってたより地味なところね」


 私たちが立っているのは、牧歌的と言うか。なだらかな丘の上。鮮やかな緑、際立った青空、そこに浮かぶ純白の雲、っていう何とも大雑把な景色の中であり。そして目の前に佇む一棟の建物が、チームハウスということになるのだろう。

 洒落っ気に乏しい素朴なデザイン。何なら山小屋に近いイメージだろうか。木造のそれは、如何にも木の匂いをたっぷり蓄えてそうな見てくれであり。リリの言う「地味」って評価も同意せざるを得ないような仕上がりとなっていた。

 が、そこに素早く入るのがソフィアさんによるフォローであり。


「恐らくは『初期状態』なのでしょう。マイハウスと同様であれば、簡単にデザインを変更できるはずですし、技術さえあれば自力で建物を建築することも可能かと」

「む。確かに、編集用のウィンドウが出たぞ!」

「色々いじれそうなのぜ!」

「あーこらこら、皆が好き勝手にいじると収集がつかなくなるぞ」

「まぁまぁ先輩、最初くらいは好き放題やっても良いと思うぱわ。ってことで私もやるぱわ!」

「ギャウンガ!」


 順応が早すぎませんかね……?

 各々既に、多少なりとも自身のマイハウスをいじっているためか、思いつくままにチームハウスの編集を開始しており。

 それこそ物語に登場する魔法のように、くるくると姿を変えていく件の建物。っていうか、フィールドも編集できるんだね。地形すらじゃんじゃん変わっていってる……これにはアグネムちゃんの口も半開き。びっくりするよね……。


「み、ミコト様、これ何が起こってるの? ちょっと状況について行けないんだけど……」


 困ったように解説を求めてくるアグネムちゃん。

 仕方がないので、推測や推察込み込みにて、分かる範囲で語る私。


「多分、ミコバトに近い仕様が設けられてるんじゃないかな。設定・編集ウィンドウから、建物や地形を自由に改変できるってのが主な機能だと思うのだけど。要するに、自分たちの手で居心地のいい場所を作りましょう、って趣旨なんだろうね」

「な、なるほど……ミコバトに似てるから、みんな既に機能を使い熟してるんだね」

「恐らくね。アグネムちゃんも試しに触ってみたら?」

「あ、うん。そうする!」


 促してやると、元気よく駆け出していくアグネムちゃん。向かった先には聖女さんとココロちゃん……って、なんか巨大な像が建ち始めてるね。崇拝組のやることだから、何となく何がしたいのか予想はできるのだけど……素人が巨大な像だなんて上手く造れるものだろうか。敢えてお手並み拝見を決め込むのも、それはそれでアリな気がしてきた。

 他の皆も、思い思いの創造性を働かせているようで、なんだか微笑ましい。子供が授業で粘土細工をこねくり回しているような、ホッコリ感が漂っている……ああ、レッカがキャンプファイアーを始めたね。ちょっと度が過ぎた規模だけども。スイレンさんが拵えたステージに引火して、なんだか大変そう。


「それで、いつになったら休憩できるんだろうか……」


 チームハウスの形が安定するまで、しばらく掛かりそうである。

 創作意欲ってそういうものだからね。仕方ないね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。