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ゲームのような世界で、私がプレイヤーとして生きてくとこ見てて!  作者: カノエカノト


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第一七八五話 ニセ子の成長要素

 鏡像の仮面を装備してみた結果、どうやらこの仮面を通じて私の中に居る、ニセ子の力を一部借り受けることが出来そうだ、と判明。

 更には彼女とコンタクトを取ることもできそうだってんで、仮面の便利さに皆も開いた口が塞がらない様子。

 だってそうだ。他にコピー能力も有した鏡像の仮面なのだもの。それに加えて、一部とは言えニセ子の力……ニセ子の……あれ?


「あ、でも、ダンジョンからの補助を無くしたニセ子って、私のへっぽこステータス準拠……」

「私が雑魚って言いたいの?」

「「!!」」


 私のつぶやきに、突如として何処からともなく応じてみせたニセ子の声。

 一体何事かとざわつく皆を余所に、彼女は呆気なくネタをバラす。


「驚くようなことじゃないから。仮面を介して音魔法を使っただけ。自分の声を再現することくらい簡単でしょ?」

「あの~……簡単、ではないんですけど~」

「流石はミコトさんのコピー、と言ったところですね」


 恐る恐る口を挟んだスイレンさん。まぁ、彼女の言うことも分かる。一口に声を再現するって言ったって、他人が聞いて「あ、あの人の声だ」と感じられるレベルで良いのか、それとも「疑う余地もなく本人の肉声だ。生々しいほどに!」ってレベルで再現するのか。そうした、目標とするクオリティによって難易度は天と地ほども離れるわけで。その道のプロであるスイレンさんは、当然再現度へのこだわりも強く、ゆえに「簡単ではない」というのも当たり前。その一方、ニセ子はそこまでのクオリティを意識したわけではない。なので「簡単」だった。

 更には、他の皆からすると音魔法のクオリティ、なんて部分に目ざとく気付く者は少数派であるため、言い分の些細な食い違いに気付ける者もまた、当然少なかったと。プロとアマチュアの、こだわりの違い。こういう些細なところに、スイレンさんのプロ意識を感じるね。


 なんて頭の隅っこで感心している間にも、現実では話が進んでおり。


「でも実際、ニセ子ちゃんが弱体化しちゃったのは事実ぱわな?」

「まぁ、それはそう。そもそも私の力はお姉ちゃん同様、装備の力によるところが大きいから。迷宮は主に、そうした装備の力を再現するって形で私を補助してくれてた」

「けど、それが無くなってしまった……ということは?」

「やっぱり雑魚ってことかしら?」

「リリエラちゃん!」


 リリの無神経な発言を、すかさず嗜めるアグネムちゃん。

 とは言えニセ子の事情を鑑みるのなら、雑魚呼ばわりも否定の難しいところではあるのだろう。

 そりゃまぁ、所謂一般人を引き合いに出したなら、ニセ子が雑魚だなんてことは決してあり得ないのだけれど。しかし強さの基準をチームミコバトに求めるのなら、残念ながら戦力外と言わざるを得ず。つまるところ、私たちの水準からすれば雑魚、という話になるわけで。

 これを受け、いささか沈んだ声を発するニセ子。


「……確かに私には、お姉ちゃんと違って『意思を持ち、成長していく装備』なんて無い。出来ることと言えば精々、ミコバト内で装備を拾い集めることくらいだよ」

「ニセ子……」

「けどね、私には私にのみ備わった強みがある。謂わば『永続強化』の要素!」

「「な、なんだってー!」」


 おっと……流れ変わったね。

 そも、ニセ子には依然として私と同じ【完全装着】があるため、装備さえあればステータスをカバーすることが可能なわけだ。特殊能力を持つ装備を身につければ、それを自分の能力として扱うこともできるっていう。

 なので問題は、そうした装備をどう調達するか、って話。

 私が現実世界で調達したアイテムをニセ子に与える、という手法をとっても良いと言えば良いのだけど。しかし他でもない、ニセ子当人がそれを嫌がった。

 彼女は自らミコバト内のあらゆるモードでモンスターを倒し、ドロップアイテムを集め、自力で装備を収集していったわけだ。そう言えば自称弟子のフゥちゃんやアリエルちゃんも似たようなことしてたっけね。


 そうした鍛錬の結果、ニセ子は着実に力をつけていた。

 つけては、いたのだけど。しかしそれって、彼女の言う『永続強化』ってのとは別物だよね……?

 だって装備による強化なら、ニセ子にのみ備わった強みとは言い難い、私でも再現できる仕様だし。

 だとしたら……。


「ねぇ待って、ちょっと待って。それ多分、私もまだ聞かされてないんですけど!? お姉ちゃん聞いてないんですけど!?」

「同じこと何度も説明するの手間だったし。安心して、今教えてあげるから」

「あ、はい……」


 そう言われたのでは大人しく黙るしか無い。確かに同じ説明を何度も行うのって面倒だしね。分かる分かる。分かるけどさぁ……。

 何とも言えないモヤりを感じていると、それを余所に早速ニセ子による説明が開始された。

 彼女が有する、彼女だけの強み。オリジナルの私が持ち得ず、コピーであるニセ子だけが手に入れた何か。

 あれこれと予想が頭を過る中、勿体ぶることもなく答えは発表されたのである。


「実は私、このミコバト内で自力で手に入れたアイテムなら、自分の体に取り込むことが出来るみたいなんだ」

「「!?」」

「そうすると、ちょこっとだけステータスが上がる。お姉ちゃんはコレ、出来ないでしょ?」

「で、で、出来てたまるかぁ!」


 え、待って待って、なにそれ。それはなに、えっと、完全装着の発展型、的な……?

 確かに【完全装着】は、装備を身体の一部として扱うことが出来るへんてこスキルだけど、だからといって本当に身体に取り込めるようなスキルではない、はず。少なくとも私が把握している限りではそう。

 だって言うのに、ニセ子の場合は違うらしい。

 ミコバト内で、しかも自分で手に入れたアイテムっていう条件付きでこそあるけれど、手に入れた装備を本当に体の一部、己の血肉として取り込むことができるっていう、とんでもない能力を彼女は有しているようだ。


「非常に興味深いですね! 一体何がどうしてそういう事が出来るのでしょう!?」

「装備を食べてるってことぱわ?」

「美味しい、のかしら……?」

「食べた分、太ったりするんですかね~?」

「どんなものを取り込むと、どのステータスが伸びる、みたいなのってあるの?」

「うーむ、気になることだらけだな!」

「ガウー」


 早速あれこれワーワーと各々がコメントを発し、興味の色をこれでもかと発しているわけだけれど。

 しかしながらそれをぶつける先、というのが自然と仮面を介してニセ子へ、ということになると……うん。仮面を装備している私に対して皆が群がっているような構図となってしまう。何とも居心地がよろしくない。

 っていうか私自身、興味も疑問も尽きないのだけど。何にせよ事実だけをピックアップするのなら、ニセ子は独自に自らを強化する手段を獲得した、ないしは有していたってわけだ。

 そうであるならば、仮面でニセ子から力の一部を引き出すってのも大きな意味を持つようになってくる。

 もしもニセ子が、彼女独自の成長を遂げるようであれば、よりユニークな戦い方が出来るようになるかも知れないし。何とも夢の広がる話じゃないか。


「もしかするとニセ子にとって、ミコバト内で自力入手する装備っていうのは、経験の象徴……みたいなものかも知れんのぜ」

「出た。偶に鋭いレッカ」

「つまり経験値ってやつなのです! 装備の形をした経験値!」

「なるほど。言われてみたら確かにそんな感じはあるかも」


 考察に対し、得心のいったような反応を返すニセ子。普通にやり取りしてらっしゃる。

 しかし経験値か。つまりニセ子にとって自力ゲットしたミコバト内の装備とは、身につけてもいいし、取り込んでも良い、捨てるところがない便利アイテムって認識なんだね。まるでソシャゲの合成素材みたいだ。

 そういうわけだから、別に吸収しても太ったりなんかはしないらしい。そもそもミコバト内における質量って、現実のそれとは在り方からして異なっているからね。万物が現実を再現したような場所であり、再現が解かれればただの情報に過ぎない、みたいな。って考えると、改めてミコバトってよく分からない場所だよね……不思議である。


「ともあれ、そういうわけだから。私の力、期待してもらってもいいよ」

「頼もしいねぇ……なら、遠慮なく頼らせてもらうよ」


 なんて言葉をニセ子と交わせば、皆もうんうんと嬉しげに頷きを見せた。

 今回の件でまた少し、皆とニセ子の距離が縮まったのだと思えば、私としても歓迎するべき事態である。

 そうしたら、お次の能力は……。

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