第8話
訓練が始まった。
安全結界内で模擬戦がスタートした。
レオンハルトが手を掲げる。
――キラッ!
氷の結晶が美しく展開。
シュンッ!
空気中の水分を正確に凍らせる。
完璧な制御だった。
軌跡がキラキラ輝く。
カイルは体に炎をまとい――ゴオオッ!
炎の玉をドドドッと連発。
勢い抜群。
派手な爆音。
エリシアは観客席から身を乗り出した。
(わあ……本物の魔法、めっちゃくちゃかっこいい……!)
特にレオンハルトの動きに目が釘付けだった。
――ドキドキ。
「レオンハルト殿下、がんばってー!!」
つい声援を送ってしまう。
接戦だった。
カイルの炎が猛攻を仕掛けるがレオンハルトは冷静に氷の壁で受け、隙を突いて反撃。
最終的に緻密な氷の檻がカイルを完全に封じ込め勝負あり。
「ちくしょー! また負けた!」
カイルが悔しがりながらも笑顔で手を差し出す。
「カイルも強くなっていたよ」
レオンハルトは握り返し優しく目を細めた。
ハインリヒが満足げに頷いた。
「さすが殿下。魔法制御が見事です」
――その瞬間。
隣のエリアで年上の貴族子弟が火魔法を練習中。
ゴオオオッ!!
制御ミス。
赤い火の玉が大きく膨張。
結界を逸れて一直線。
レオンハルトの背後へ。
カイルが最初に気づく。
「おい、危ねえ!!」
炎をまとって飛び出す。
でも――エリシアの方がずっと近かった。
観客席から一気に飛び降り――ダッ!
王子の前に立ちはだかる。
「殿下っ!!」
両手を広げて必死に守る体勢。
ドゴォン!!
衝撃が直撃。
体が吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
――ズキン。
視界が揺れて最後に見たのは――王子の焦った顔とカイルの驚愕の表情。
「エリシア!!」
二人の叫び声が重なる。
――意識が落ちた。




