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王子殿下の殺傷力が高すぎて死にそうです ~公爵令嬢は溺愛ルート突入中~  作者: 川合 佑樹


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第40話

 放課後。

 鐘の音が響き教室の空気がほっと緩んだ。


 セレナが席を立って小走りにエリシアのところへやってきた。

「お姉さま……また明日一緒にお話しして頂けますか?」

 エリシアは唇をほころばせて軽く首を傾げた。

「セレナ、一緒に帰らない?」

 セレナは一瞬目を丸くして――すぐに首を振った。

「い、いえ! お二人の邪魔をしては悪いですし……!」

 慌てて手を振るとセレナは軽い足取りで教室を出て行こうとした。

 背中がなんだか楽しげだった。


 その直後聞き慣れた声が追いかけるように響いた。

「おい、一人で帰るのか?」

 カイルだった。

 髪を軽く揺らしてセレナの隣に並ぶ。

 セレナはびっくりしたように振り返り、すぐに小さく微笑んだ。

「カイル様……」

 カイルは肩をすくめた。

「俺が門まで送るよ。女の子一人じゃ危ねえだろ」

 セレナはぺこりとお辞儀して嬉しそうに頷いた。

「ありがとうございます……カイル様」

 二人は自然に並んで廊下へ消えていった。

 エリシアはそれを見送って笑った。

「カイル、意外と紳士ね」

 レオンハルトも柔らかく口角を上げて頷いた。

 そして立ち上がるとエリシアに向き直って片手を差し伸べた。

「ではエリシア様は私がエスコートいたします」

 エリシアは一瞬どきんとして、その手に自分の手を重ねた。

 教室の窓から差し込む夕陽が二人の影を長く伸ばしていた。



 帰りの馬車の中。

 二人きりの空間で、エリシアは少しだけ口を開いた。

「今日はなんだかたくさん視線を感じたわ……。少し、疲れちゃったかも」

 レオンハルトは窓の外を一瞬だけ鋭く見やり、すぐにエリシアの方へ体を向けた。

「私が守ります。どんな視線も貴女に届かせません」

 少しだけ声を低くして、付け加える。

「……貴女を見て良いのは、僕だけでいい」

 エリシアの頰が熱くなった。

「殿下……」

 思わず小さく笑って、握られた手にそっと力を込め返す。

「……ありがとうございます。殿下がそう言ってくれると、怖いものなんてなくなってしまいますね」


 教室の片隅。

 イザベラは窓辺に寄り遠ざかっていく二人の姿を見送っていた。

「……青き血の尊からんことを」

 その呟きは誰にも届かず教室の空気に溶けていった。


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