第4話
エリシアはまぶたに優しい重みを感じながら、目を覚ました。
天蓋付きのベッド、彫りの入った柱、シャンデリア――どれも昨日と同じ異世界の風景だった。
「……やっぱり、転生してるのよねぇ」
小さく呟いて、ふぅとため息をつく。
夢じゃなかった。
隕石で死んで、公爵令嬢に転生して――美少年に見つめられて……。
「あぁっ!」
思い出しただけで昨日の夕食がフラッシュバックした。
顔が熱を帯び、エリシアは慌てて両手で頰を押さえた。
「あれは、現実……!」
「お嬢様、お目覚めでございますか?」
侍女のマリアがベッド脇に立っていた。
エリシアは慌てて体を起こし、幼い手で髪をかき上げた。
「……おはよう、マリア」
「おはようございます。今日はお天気も良いようですので、気分も晴れやかでございますね」
マリアは手際よく着替えの準備を始め、エリシアはされるがままにドレスをまとった。
昨日のような気合の入ったドレスではなく、動きやすい軽やかなものだった。
着替えを終えると、マリアに導かれて食堂へと向かった。
食堂に入ると、長いテーブルの上には朝食がすでに並べられていた。
だが上座も隣の席も――誰もいない。
エリシアは少し拍子抜けしながら、自分の席に座った。
マリアがスープを置いてくれる。
「……マリア、父様は?」
「既に訓練場へと向かわれております」
「母様は?」
「お薬の時間でございますので、少し遅れてお越しになるかと」
エリシアは小さく頷いた。
(今日から普通の日常……か)
一人で食事を進める。
スープを一口――温かさが喉を滑り落ちた。
パンに手を伸ばし、かじる。
果物の甘酸っぱさ――どれも美味しかった。
なのに。
昨日の王子の顔がチラチラと頭に浮かんで。
(あの超絶美形……)
味が半分くらい飛んでいた。
エリシアは小さく首を振り、スプーンを置いた。
食事を終えると、エリシアは立ち上がった。
「マリア、私は訓練場へ行くわ」
「お嬢様、また剣術のご修行でございますか?」
「……まあ、そうね」




