第12話
穏やかな陽光がヴァイス家の庭園全体を優しく抱きしめていた。
東屋のテーブルには色とりどりのスイーツと紅茶が並び、少女たちの笑い声が軽やかに響いている。
リリアナはティーポットを傾けた。
「エリシア嬢、どうぞお召し上がりくださいませ。このクッキーはうちのシェフの自信作ですわ」
「ありがとうございます、リリアナ様」
エリシアは丁寧にお辞儀をしてクッキーを一口。
サクッとした食感とほのかなバニラの香り。
(うわ、美味しい……! 異世界のスイーツ、レベル高いなあ)
周りにはリリアナの親戚や近隣の貴族令嬢が四人ほど。
みんな年上ばかりで15~17歳くらい。
興味の眼差しがエリシアに集まる。
――とそこに。
「おい、エリシア! 俺と――」
カイルが元気よく東屋に飛び込んできた。
手に木剣を握ったまま汗だくの顔でにかっと笑ってる。
リリアナがティーカップを置く。
「……カイル」
声は穏やかだけど瞳がスッと冷たくなる。
「え、な、何だよ姉上……」
「ここは令嬢方のお茶会ですわ。すぐに訓練場に戻りなさい」
「えー! ちょっとくらい――」
「すぐに」
リリアナの表情がピシッと鋭さを増す。
カイルは肩をガクッと落としてしょんぼり。
「……わかったよ。じゃあエリシアまた後でな!」
最後にエリシアに向かって小さく手を振ってトボトボと庭園の奥へ消えていった。
少女たちから笑いが漏れる。
エリシアも唇をほころばせた。
(リリアナ様、容赦ない……)
リリアナが息をついて改めてエリシアに向き直った。
「弟が失礼いたしましたわ。さあ改めまして――皆様ゆっくりおくつろぎくださいませ」




