進む光ととどまる光
目の前を色鮮やかな電飾を瞬かせたパレードが通り過ぎていく。
膝の上には、さっき買ったばかりのニッキーのぬいぐるみ。
大音量の音楽が話し声さえ書き消して。
でも。
つないだ手のぬくもりで会話をして。
同じものを見て。
魔法の時間を共有している。
手を振るキャラクターたちにわき上がる歓声。
ニッキーがこっちに向かって。
両手で投げキッスする。
私も投げキッスを返す。
ん?
隣で蓮くんもしていた。
「ねぇ、今のは、ニッキーが私にしてくれたんだよ」
「ん? 俺だろ」
「何で? ニッキーは男の子だよ」
「いや、関係ないな。だって俺目が合った」
「へ?」
真顔の蓮くん。
顔を通り抜けていく。
パレードが運ぶ鮮やかな彩り。
「あっ、結衣みたいなキャラ」
蓮くんが指差した先に。
ウサギやリスをモデルのキャラたちが、フロートの上でかわいらしいパフォーマンスを披露している。
私は真似して。
同じように手振りしてみる。
「ははは、上手いな」
「へへ」
次から次へと押し寄せる音楽。
ダンサーたちのコスチュームも華やかで。
お姉さんたちはきれいでスタイルもよくて。
笑顔も素敵。
そして、王子様とお姫様を載せたフロートがやって来た。
優雅に体を揺らして。
観客に滑らかに手を振る。
ぽーっと。
見惚れてしまう。
「なんか、いいな」
音に紛れて届いた呟き。
「ん?」
「あ、いや。なんでもない」
蓮くんは、ニニーのぬいぐるみの鼻を私のほっぺに押し当てた。
パレードが終わって。
溢れる人混みの中を縫うように。
やって来たのは、クイーンパレスの前。
漆黒の中に浮かびあがるように。
ライトアップされている。
「まだ、お城をバックに写真撮ってなかったよな」
そう言って。
蓮くんが掃除をしていた、男性スタッフに声をかける。
お兄さんは、満面の笑みを湛えて。
「じゃあ、少しこちらに来てください」
ん?
お城から少し離れた位置に案内した。
私たちとお城や辺りを見回して。
「じゃあここで撮りますね」
笑顔のお兄さん。
蓮くんが、少し屈んだと想ったら。
「ひゃっ!」
あっという間に私をお姫様抱っこした。
「ちょっと、蓮くん」
ミニだから、気になっちゃうけど。
「ほら、カメラの方向いて」
すぐ目の前の唇からこぼれる優しい声音。
「うん」
お兄さんは、微笑みをまいて。
片手を挙げる。
「じゃあ、撮りますよ。はいポーズ」
私はその瞬間。
蓮くんのほっぺに唇を押し付けた。
こころにも。
瞼の奥にも。
写真にも。
たくさんの光の欠片を育んで。
離れたくなくて。
ずっとこうしたいたいって。
蓮くんの首に。
ぎゅっと腕をまわした。
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