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好きだから。  作者: ぽんこつ


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暮れなずむ

藍色と紫と。

橙色と黄色と。

まるでパークの中に灯る明かりのように。

鮮やかに染まる空。

冷え込みが。

少しだけ寂しさと。

人恋しさを連れてくる。

そんな時間帯。

楽しさはあっという間に景色を運んでしまうけど。

隣の笑顔は緩慢になって。

こころに染み込んでくるから不思議。


午後も色んなアトラクションに乗って。

ショーを見て。

お客さんも一緒に踊れるダンスショーで。

蓮くんも私ものりのりで踊って。

文化祭の時みたいに私をリフトしてくれて。

そしたら周りのお客さんも拍手してくれていた。

おやつにピザ食べて。

パイナップルがトッピングされているの。

蓮くん、気に入っちゃって。

おかわり買って。

私と半分こしたり。

一つのキャラメルポップコーンを二人で食べたり。

歩いて。

ベンチで休んで。

途切れることのない。

想いの交感。


帳が降りても。

止むことのない音楽は。

耳に馴染んで。

人影も闇に紛れて。

ぼんやりとした明かりが幻想的な空間を醸し出していた。

クイーンパレスも鮮やかにイルミネートされ。

ドレスアップしたお姫様みたい。

蓮くんに連れられて。

そのお城の中のアクセサリー店にいる。

夜のパレード見る前になんかお土産を物色しようって。

ガラス細工やクリスタル。

キャラクターやグラス。

写真立てや置時計。

ネックレスや指輪、ピアスやイヤリングみたいな宝飾品まで置いてある。

部活をやっていたから。

アクセサリーの類いは、あまり身近に感じなかったけど。

もっと。

かわいく。

きれいでいたいから。

何か着けてみようかな。

私は三日月を象ったイヤリングを耳に添えてみる。

「ねぇねぇ、どうかな?」

「ん? うーん。似合うな」

「えへ。そう?」

顔の前でかざし見る。

タグのお値段は……

!?

一万五千円!

さすがに今は買えないかな。

「結衣、手出して」

差しのべた蓮くんの手の上に。

ちょんと手を置いた。

蓮くんは私の薬指に指輪をはめる。

ひやりとした初めての感触が。

体を駆け巡る。

「入ったな。こういうのどう?」

「え? あ、うん」

流線形のデザイン。

艶やかな銀色。

小さなくぼみの、透明な宝石が光を跳ね返していた。

締め付けられる感触と。

指の間の違和感。

「きれいだけど……」

私はそっと指輪を外す。

「まあ、そのうち買ってあげたいなってね。どんなのが好きなの?」 

「え? どんなのかな、分からない。これはかわいいと想うけど」

「そっか」

蓮くんは私から指輪を受け取ると。

首を傾げて苦笑う。

「四万円か、こういうのって相場分かんないな」

「いいよ。蓮くん。気持ちだけでも嬉しい。本当だよ」

私の頭をポンポンする蓮くん。

「他のお店見に行くか」

「うん。ぬいぐるみ買おうよ」

「ぬいぐるみ?」

「ニッキーとニニーちゃんの買って、私がニッキーで蓮くんがニニーちゃんを持つの」

「ふん。ニニーちゃんはさしずめ、結衣ってことか」

「へへ。いいアイデアでしょ?」

「うん。いいね。でも……」

蓮くんは腕を組んで。

宙を見据える。

視線だけ私に落とすと。

「結衣のが、かわいいけどな」

ピーって。

沸騰した私。

「もう!」

想わず出したげんこつが。

蓮くんのお腹にヒットした。

「うっ……」

「あっ……ごめんなさい」

お腹を抱えた蓮くんは、顔を上げて。

「いい、パンチ」

そう言って。

あったかい指先が。

私の鼻を摘まんでいた。


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