かんらくして。
ジェットコースターに。
お化け屋敷。
どれも二人掛けだから。
くっつきぱなしで。
離れるのは。
トイレの時くらい。
しかも、蓮くんずっと笑ってるの。
ジェットコースターが猛スピードで下っていく時も。
水に飛び込む時も。
お化けに驚く時も。
「どうして?」
って。
聞いてみたら。
「怖かったから」
だって。
そんな蓮くんが。
かわいくて。
面白くて。
髪を揺らす風は冷たいはずなのに気持ちいい。
建物や木々や床に降り注ぐ陽射しが目映くて。
耳に聞こえる音楽がこころも弾ませる。
ただ、歩いてるだけでも。
アトラクションの待ち時間さえも。
幸せが時を刻むんだ。
お昼はいつの間にか。
蓮くんが予約を取ってくれていたレストラン。
ネズミーのキャラクター達が各テーブル来てくれる。
ビュッフェスタイルだから。
好きなものを選べる。
蓮くんは、
「鶏大根ないのか」
って。
本気で残念がっていて。
挙げ句に、鶏大根がないのか。
スタッフのお姉さんに確認していた。
それが、なんだかおかしくて。
「ないんだって」
残念そうに肩を落とす蓮くんに。
今度また作ってあげるって伝えたら。
目がキラキラして。
「じゃあ、何でもいいか」
って。
ハンバーグ三つとエビフライ三本。
ポテサラにマカロニサラダ。
コーンスープにオニオンスープ。
テーブルの上に並んでいく品々。
四人掛けのテーブル。
だけどね。
私たちは、並んで腰掛ける。
「そんなに食べれるの?」
「腹ペコだよ。4時起きだったし」
「蓮くんも?」
「え? 結衣も?」
顔がほころぶ。
「私もちょっと食べようかな」
「そうしなよ、せっかくだし。まあ、結衣の料理のが旨いけど」
「ふぁ~」
立ち上がろうとして。
ふにゃっと膝の力が抜けて座り込む。
「もう、お腹いっぱいかも」
「ん? 何も食べてないのに?」
「ああ、ううん。取ってくる」
お腹自体は空いてるよ。
もうさ。
言われるのは嬉しいよ。
普通に何気なく。
会話の中に挟んでくる。
それは、蓮くんがこの瞬間を大切にしてる証だから。
全然いいんだけど。
不意打ちにやって来るから。
その言い方と声色も。
相まって。
破壊力が凄まじいんだよね。
私はフライドチキンを二つ。
フライドポテトは山盛りにした。
蓮くんもつまむかなって。
お皿を手にテーブルに戻る――
え?
蓮くんの向かいの椅子に。
ニッキーが座っていた。
身振り手振りで。
蓮くんと会話しているみたい。
私がテーブルに近づくと。
ニッキーが手を振って。
隣の椅子を指差した。
でも。
私は蓮くんの隣に腰を下ろす。
ガクッと。
ずっこけるニッキー。
「結衣。ニッキーがね結衣の作った鶏大根食べたいって」
「は?」
ニッキーは、顎を手の甲で交互にしなやかになぞり。
お腹を両手でさする。
「それから、チアやってたから踊り上手いから、ショーに出れないかって言ったら、首かしげてた」
「え?」
「なんかダメみたい。結衣ならニッキーとも上手くやれると想ったんだけどな」
「ああ、どうせ、私が動物っぽいからって言うんでしょ?」
首を傾げて笑う蓮くん。
私は目を細めて。
じーっと見つめた。
ふふ。
やっぱり。
口の端にソースを付けている。
「蓮くん、拭くからじっとして」
私は自分の口元を押さえて。
ナプキンで蓮くんの口を拭う。
ハッとして。
ニッキーを見る。
大きな目がこっちを凝視して。
両手で頬杖をついていた。
そして。
親指を立てて。
両手でハートを象った。
私が肩をすくめてはにかむと。
ニッキーはカメラを構える仕草をした。
「そうだ、蓮くん、写真撮ろうよ」
ニッキーが片手を挙げると。
スタッフのお姉さんが来てくれて。
私たちを写真に撮ってくれた。
「じゃあ、最後の一枚でーす。ポーズはいいですか?」
右のほっぺにあったかい感触。
「結衣動かないで」
囁く蓮くんの声。
あっ。
今度はほっぺに冷たい感触。
正面のスタッフのお姉さんはにっこり。
「じゃあ、撮りまーす。ハイポーズ……」
カシャ!
「お二人とも素敵ですね、お写真確認して下さい」
蓮くんのカメラのディスプレイには。
幸せそうな私と蓮くんとニッキー。
最後は二人に挟み撃ちのキスをされた私。
少しうつむいて。
カメラをのぞく瞳が。
少しだけ右側を向いている。
そう。
蓮くんの方を。
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