増える猫
「第2話 増える猫」
(翌日・廊下)
ミカ
……嫌な予感がします
橘
お、副長おはよー
ミカ
その肩の上のそれは何ですか
橘
ん?猫
ミカ
“昨日の猫”ですよね?
橘
いや、それがさ……
猫(肩の上)
「にゃ」
ミカ
何が“それがさ”ですか
橘
朝起きたらもう一匹いた
ミカ
は?
橘
いた
ミカ
どこに?
橘
ベッド
ミカ
説明になってません
(沈黙)
ミカ
つまり……隊長の部屋で増えたと?
橘
たぶん自然発生
ミカ
自然発生で猫は増えません!!!
猫2(足元)
「にゃ」
ミカ
…………増えてる!!!!
橘
ほらな
ミカ
ほらなじゃありません!!!
(ミカ、数秒フリーズ)
ミカ
……確認します
昨日の猫は“迷い猫”でしたね?
橘
うん
ミカ
で、これは?
橘
新しい迷い猫
ミカ
迷いすぎです!!!
猫3(廊下の奥から登場)
「にゃー」
ミカ
………………
橘
あ、また来た
ミカ
“また来た”じゃないです
ミカ
これはもう“集まってます”
橘
人気スポットかもしれん
ミカ
隊長の部屋がですか?
橘
俺のカリスマ?
ミカ
猫限定カリスマやめてください
(遠くで声)
???
「あれ?猫増えてない?」
ミカ
………………
橘
………………
猫たち
「にゃ」「にゃ」「にゃ」
ミカ
隊長
橘
はい
ミカ
これ、説明できますか?
橘
えーっと……
橘
猫って群れる生き物だし……
ミカ
人間の部屋に群れる想定の話をしていません
(さらに増える気配。猫4、5、6…)
ミカ
………………
ミカ
(静かに書類を握りつぶす)
橘
副長?
ミカ
書類は後です
橘
え、昨日と言ってること違くない?
ミカ
状況が変わりました
ミカ
“猫の数が閾値を超えました”
橘
閾値?
ミカ
私の理性のです
猫7(机の上にジャンプ)
「にゃ」
猫8(書類の上に着地)
「にゃ」
ミカ
やめてください!!!!!!
(その時)
警備員
「隊長、廊下に猫が……え、ここも?」
橘
あ、見つかった
ミカ
見つかりましたね
橘
これ怒られるやつ?
ミカ
怒られるやつです
(ミカ、深呼吸)
ミカ
隊長
橘
はい
ミカ
最後の質問です
橘
うん
ミカ
この猫たち、どこから来てますか
橘
さあ?
ミカ
またそれですか!!!!
(沈黙)
猫たち
「にゃ」「にゃ」「にゃ」
ミカ
……もういいです
橘
え、また諦めた?
ミカ
諦めてません
ミカ
“調査に切り替えただけです”
橘
それ便利だな
ミカ
便利にしないでください
ミカ
まずは全頭確認します
橘
おお、頼もしい
ミカ
次に発生源を特定します
橘
おお、科学者っぽい
ミカ
最後に
橘
最後に?
ミカ
この隊舎が猫に支配されている理由を解明します
橘
そこまでいく?
(猫たち、一斉にミカを見上げる)
ミカ
………………
ミカ
見ないでください
猫たち
「にゃ」
ミカ
………………
ミカ
(小声)
……ちょっと可愛いのが腹立ちますね
橘
落ちかけてるな
ミカ
落ちてません!!!!
(そしてさらに遠くから声)
???
「あのー……すみません、猫10匹くらい見ませんでした?」
ミカ
………………
橘
………………
猫たち
「にゃ」
ミカ
隊長
橘
はい
ミカ
増えすぎです
橘
今回はちょっと多いな
ミカ
“ちょっと”の範囲ではありません
ミカ
……もう一回言います
ミカ
書類は後です
橘
完全に猫優先になってる
ミカ
優先順位が正常になっただけです
橘
どこが
(猫たち、橘の周りに完全集合)
橘
あ、これ俺リーダー扱いされてる?
ミカ
されていますね
橘
困ったなー
ミカ
楽しそうに言わないでください
(ミカ、静かにメモ)
ミカ
……隊規に追加します
橘
なにを?
ミカ
“隊長は猫を吸引する可能性があるため監視対象”
橘
え、俺の扱いそれ?
ミカ
はい
猫たち
「にゃー」
ミカ
……とりあえず
ミカ
全員確保です
橘
え、飼うの?
ミカ
違います
ミカ
“隔離”です
橘
言い方怖い
(ミカ、廊下へ)
ミカ
全員、回収します……
猫たち
「にゃ」
橘
副長、がんばれー
ミカ
隊長は黙っててください!!!!
(その後、隊舎は一時的に猫で埋まることになる)




