第3章完結27話「あっけない最後」
せっかく出来上がった腕輪
それをミドはなかなか付けてはくれなかった
俺は試しに付けてみせ矢を発現させる、すると先程とはうって変わって頂戴頂戴とせがむのだった
「あ…あぁ元々ミドに渡すつもりだから…な」
誰だコイツをこんな戦闘狂に仕上げた奴は!
占いはどうなったんだ?コイツの職業…なんだっけ??
腕輪をつけると足早にローズの元へ戻っていった
いつも二人でなんだか楽しそうだな、なんて思いながら俺も近づいて行く
「よーし射ってみるね」
さっそくミドが腕輪の効果を試しているようだ
ヒュンッ…サクッサクサクッ…もうもうもぅ…
3本の矢から煙が広がって行く…そんな効果は知らないぞ
「なんの矢なんだあれは…?」
「うーんとね…眠りガスを噴出する矢ってのを考えてみて、打つ前に姉様の練習中の効果拡大のエンチャントかけて、幻影使って3本に分かれるように射ってみた」
「…」
「なぁミド」
「なに?」
「頼むから即死ガスとか射たないようにな…」
「なにそれ楽しそう!」
なんとか宥めて、味方に害のあるようなものは使う時細心の注意を払うことを約束してもらうのだった
「なぁミドちゃん、回復の矢とか奴隷の矢とかできるんちゃう?」
「姉様さすがですわ、私もリドラちゃんみたいな仲間欲しかったんです」
そう言い終わると、一本の矢を番え放つのだった
そしてその矢は狼の…前を横切るスケルトンに当たるのだった
「ウォォォォ(貴方についてまいります)」
スケルトンが何か言っている
ミドは何もなかったかのようにそのスケルトンを射抜いて消し去るのだった…
「ありえませんわ!」
ミドが何故か怒っている
良いじゃないかアンデット軍団、俺は好きだがな
なんて馬鹿な事をやっていると、遠くの方から大きな火の玉が近づいて来るのだった
「ヤバイぞ!イフリートに見つかったみたいだ!」
そうだ、リドラなら水属性が強い!
「リドラ頼む!火の玉を消し飛ばせ!」
「キュイィィ!」
同じ…いやアレ以上の水の玉が火の玉に向かって行き、共に消し去る
「よしエライぞ、リドラ」
俺は同じ轍は踏みたくない、すぐさまエーテルポーションだ
ゆっくり近づいてくる少女の影
「あんたたち…もう逃がさないよ」
その手には先ほどより大きな火球…全く限界が見えないほどにどんどん大きくなっていくのだった
「よし、ええよミドちゃん!」
「ありがとう姉様」ヒュンッ…
矢は少女から離れたところに突き刺さったのだった
「どこを狙っている、妾はここじゃぞ」
あまりに見事な外しっぷりにイフリートも笑うのだった
「もう死んでくれるか?」
そう言うとイフリートから火球が離れ、ゆっくりとこちらへ…こちらへ?
火球は吸い込まれるように刺さった矢に吸収されていった
「なんじゃこの矢は…ぬ、吸い寄せられる?!」
「もう一本行くよ!」ヒュンッ…サクッ
さらに放たれた矢は動きの鈍ったイフリートを易々と捉える
「なんなのじゃ!イライラする戦い方ばかりしおって!」
ダメージは無いように見える、それ故に怒りが増すのだろう
イフリートにとってはおちょくられている様にしか感じないのだろうから…
「うまくいってたらウチらの勝ちやな」
すでにローズは勝利宣言をしている
それが聞こえたイフリートはより激昂して姿を変えていく
「ふ…ざけるなキサマら!!」
巨大な獣形の炎へと変化したイフリートは地面に爪を立て動きを止めると、先ほどの同様に火球を作り出す
作り出すそばから矢に吸い込まれ、徐々にイフリートも身体の力を失っていき…消え
その瞬間、俺の指から一つの指輪も消えていったのだった…
「今度こそ本当にイフリートを倒したって事なんだろうな…」
『…を入手』『…®️を入手しました』
相変わらず取得ウィンドウは小さく表示されている
まぁ何を拾ったかよりも、今は危機が一つ去ったことが嬉しいな…
そんな感傷に浸っている俺を無視して隣でバカ騒ぎが始まる
「やりました姉様、私たち最強ですね!」
「もうウチら魔王にでもなろっか?世界征服しちゃう?」
うん、多分人類で敵うものはいないんじゃないかな…
後で聞いたら魔素を吸収してから徐々に体力を奪っただけなのだとか
まさか大精霊が魔素の塊みたいなもんだなんて思ってなかったから嬉しい誤算だったらしい
「で、体力奪うって?」
「愛ですわ!私たちを苦しめる奴なんで苦しんで死んじゃえばいいんです!」
それを人は愛とは呼ばない…『呪い』だな…




