13話「街道」
翌朝から俺たちは遠く西にある城下町へと向かう
目的は主に3つだ
1つはサルヴァン国王に謁見し、此度の報告をすること
2つ目は大水晶で3人が上位職になるということ
そして一番大事なのが
王国を満喫することだ!
とはいえ今は荷馬車も来ておらず、次の来る予定も知らされていない
北にある転移の門は?って聞いたのだが、近くのダンジョンしか行けないそうだ
そりゃあ何処へでもピュンピュン飛べたら…
「ダンジョンでさ、最悪全員を別の場所へ送る方法があるって言ってなかったっけ?」
色々手段を持っていそうなのに出し渋っているのだろうか?
それに、時折王様に連絡しているのはどうやって?
「儂一人だけ先に行っても良いというならそうするが、あの時に言っていた方法っちゅうのはまた別じゃ」
あまり言いたくなさそうに喋り始めた
その方法とは
対象を、なるべく近くで魔素のより薄い場所へ飛ばすらしい
魔素の塊である魔物には効かない
さらには、下手をすれば仲間が散り散りになる上、どこに出るかもわからないときた
もっと上達すれば場所指定も上手くいくのだろうが、曖昧な指定なのでなんとか使えるものであって特に現状役立つ能力でもなさそうだ
「そりゃ確かに最後の手段だな、なんで教会で鈴買っておいてくれなかったんだよ」
「失念しておったわ」即答された
海でも森でも、魔素が濃いダンジョン以外なら死にはせんじゃろ、おそらく
そんな危険な方法を手段として用いようだなんて…
それじゃあ仕方ない、歩くとしよう
街に出て西は若干整備されているとも言える
だからといって魔物が出ないわけではなく、まぁ時折出て来る
柵があるわけじゃないからあちこちから飛び出して来たりもするらしい
なんて喋ってたらさっそく狼が群れで飛び出してくる
「ウルフって夜にしか出ないんじゃないのかよ!俺あいつ苦手だわ」
森での思い出が蘇る
「あれは軍狼じゃ、昔から襲われる行商人が多くてかなわん」
近づかれると怖いのでさっさと倒してしまうか
と矢を射ったら、あっさり躱されてしまった
「あの魔物って、超感覚みたいの持ってまして
遠くからの攻撃って大体察知されて避けられちゃうんです
いつもドルヴィンさんが引きつけてから倒してましたよ」
レギが説明するのだけど、やけに落ち着いてやがる
「で、どうすればいいんだ?!」
「まぁ見とれ」ピルスルが前に立って短剣を握りしめる
「此奴らは、な…だいたい3mほどまで近づくと一気に飛びかかって来る
一度にせいぜい2匹までじゃが、連続で来るから次を見極めにゃいかんぞ」
と、説明をしながら最初に飛びかかる一体をギリギリで躱し、狼の脇に強烈な一撃をくわえるのだった
「クォォオオーン…」
瞬殺だ
さっ、さっ、ささっ、さささっ
見事に避けるピルスル
「綺麗に避けなるなぁ」とローズも感心している
ん?避けるだけ?
「一匹しか倒さないのか?」俺が問う
「何を言うとる?お主の練習台じゃろうが」
「え…?」
まさかの悪夢が蘇ろうとしているのだった
それからしばらく悪魔の特訓が続き、何組かの軍狼と戦った
「もうそろそろ良いじゃろ、あとは儂が片付けるか」とピルスルが言うと
右手を前に突き出し、次の瞬間
狼たちの動きが完全に止まってしまうのだった
「てめぇー…」「はっはっ、時には訓練も必要じゃろうて」
「しっかし、出現するの減らせるんなら全く出ないようにしてくれれば良いのにな」
「そうやね、安全に進めるんやったら商人らももっと来る思うんやけど」ローズも同意といった感じで
「そいつはちと違うぞ」
ピルスルの講義の時間だ
完全に魔素がなければ魔物も出ない
つまりそれは大地の命が尽きることを意味する
ある大地では事実そのようなことが起き、魔物も出ないが草木一本生えない場所があるのだそうで
非常に眺めは良いのだけれど、この世界では戒めの象徴として訪れるものは滅多にいないのだった
「そもそも、この街道が作られたのも100年より前の話じゃ」
あぁ、なるほど失われた技術ってやつか




