4話「魔素と循環」
ダンジョンとは不思議なものである
人の手の入らない奥深くまで、しっかりと建造したかのように石が敷き詰められている
などと思っていた俺の心とは裏腹に、第二階層は大自然だった
もちろん天井はあるのだけど、壁というよりも木の根や葉で生い茂っており
隙間から時折魔物の動く姿も見えるもんだから
あちらも気付いているのかとドキドキしてしまう
ドルヴィンは知っているようで平然としている
ちなみに第三階層は所々に溶岩が流れているから気をつけろと言われた
「今日はキラーラビットか、ハズレじゃったな」ドルヴィンがもらす
日によって出現する魔物が違うのか?
「何がハズレなんだ?」
「あれはダンジョンでもすごく弱いからな、ドロップが旨くない」
あぁそういう事か、倒した魔物のドロップを装備していかないと今の装備でさらに下へと下りなくちゃいけないのだから
少し強くても良いものを落とす魔物の方が良いのだった
じゃあ戻るか?と言うと今更面倒くさいと
「えーっと…、上位種もいるかもしれませんし慎重に行きましょう」と、レギ
「バケモンと一緒にいるとこっちまでバケモン扱いされそうや」と、ローズ
俺たちだってステータスが高いとかそういうわけではないのだし
不意打ちでもくらったら危ないことは重々承知の上のはずなのだが
「入って開口一番ザコだと言われればな、俺だってそうなんだろうと思ってしまうだろ」
ピルスルが悪い、気の抜けるような事を言うのだから
「ん?儂は別に楽勝だの余裕だの口にした覚えはないがのぉ」
ニヤニヤと口元がゆるんでいる
ちくしょう、砦の件の怨みかなにかか?
どうもこの世界で俺は…弄られまくっている気がしてならないのだが…
じゃあ気を引き締めなおして、と先へ進もうとする
「うむ、ちょっと待ってくれ」ピルスルが皆の動きを止める
「各々、この階層では武器をしっかり構えすぐに攻撃にうつれるようにな」
何をするつもりなのだろう、と思ったら、ピルスルは突然『フンッ』と言いスキルを発動させた
「さぁ、これでこの階層には上位種のみになったろう、出会ったら全力で叩き込むぞ」
発動したスキルによって、キラーラビットの気配が全て消えてしまったのだった
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【威圧】バトルマスターレベル25で習得
弱い魔物を近づけなくする
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俺たちは構えながら次の階層への道を探す
一度は隙間から見えたのだけれど、道が続いてないものだから大きく回り込む必要があった
爆発させて道を作ってやろう、ごく自然な考えだったと思うのだけれど
『無駄やでやめとき』と俺が赤い矢を手に取った瞬間、アッサリと考えを見抜かれていたようで
ローズが、携帯しているダガーで一本の幹に傷をつけると
瞬時に傷が塞がっていくのだった
「ダンジョンは魔素で構築されとるもんや、傷ができても魔素が循環しとるんやで一瞬で元通りなんや」
一時的に減少したり増加したりはするものの、自然と元の状態に戻ろうとするのだと
ただ、極端に外部に持って行ってしまったり、逆に外から入ってくると異変が起きるのだと
100年前の戦ではそんな兵器もあったらしいのだけど、今では本当に使われていたのかどうかさえ怪しいのだとか
そういえばイフリートも貯めただの使うだの言っていた
ヒカリの洞窟で極端に少なかったり溢れかえっていたウィスプも、実はそういう理由だったのだろうか…と
奴の旧知の仲であるピルスルに聞いてみたのだけれど
『俺はそういう知識には疎いからな、そういうのはアイリスの役目だ』と小声でしゃべっていた
アイリスとは誰なんだろうか、聞いてみたのだけど教えてくれなかった




