3話「猫かぶりとネコババ」
タマが通路を確認すると次の階層への道が見える
その手前には3体の骸剣士
「お主ならおそらく二発じゃろう、…任せる」
「ウチも魔力勿体無いから休憩」
「私は…応援しますよ?頑張ってください」
さっきまであれほどに頼りにしていた存在が、頼りにならない
いやきっと頼れる存在なのだろうけど、さっきからずっとこんな感じだった
「タマが一番頑張ってるな、なぁタマ」
プルプル震えている、喜んでいるのだろうか?
橙の矢を取り出し射つと、手前のガイコツに当たり炎となる
その炎がまるで生きているかのように向こうの2体へと伸びて行きそれぞれの中心を射抜いていった
「もういっちょ!」ヒュンッ…
確実に他の2体を射抜く炎の矢…いや槍と言った方が近いだろうか
エンチャントによって付けられた飛び火の効果なのだが
こうやって間近で見ると、今にも襲いかかって来そうで怖いものだった
「何か良いアイテムは入手できたか?」ピルスルが問う
この階層では最終的に12体の骸剣士を相手取っていた
[骨のカケラ](48個)
「これだけでも良いお金になりそうだな」俺がつぶやく
「お主がそんなものほいほいと納品しておったらギルドが潰れてしまうわ、ちょっとは自重せい」怒られてしまった
金は必要なだけにして、どうしてもと言うのなら武器や貴金属を城下町に持っていくと言うのだ
今後は簡単には稼がせてはもらえなさそうだが、武器が売れるならそこまで心配しなくても良さそうだ
それに、銀狼亭や雑貨屋だってあるのだから
[スティレット:攻撃力16](3個)
細身の短剣だ、軽くて使いやすそうな武器だった
「お主の短剣よりは良いものじゃな、持ち替えておくか?」
ピルスルの提案に俺は、3本もあるのだから合成して使おうかな、と考えた
どのみち合成しなくてはダガーよりも攻撃力は低いのだし
2本取り出して合成、もう一本取り出して合成
パァッ
失敗してしまうのだった
「お主…運が無いの…」
横で合成スキルを見ていたローズやレギは羨ましいと言った風である
「ウチの杖も合成してほしいなぁ、むろん壊れたら弁償せなあかんやろな」
「そうじゃったなぁ、皆の装備も強化してくるべきじゃったなぁ、忘れとったわ」
この爺さんは昔から当たり前のように強化しまくってたんだろう…誰にも言わずに
そんなだから大事な時に大事なことを忘れるんだよまったく
まぁ俺も失念していたなぁとは思うけれど
「私は空間収納が羨ましいですね、よく荷物持ちするんで…」
戦闘より補助メインのレギはよくみんなの荷物を預かっているらしい
それも押し付けられてではなく、自ら進んでなのだからとても献身的で優しい性格なのがうかがえる
「せやったな、今度からシュウが荷物持ちしとっけるから良かったやん!
でも大事なもんは自分で持っとかな、ネコババされんで」ローズはそう言って笑う
ひどい言われようだ、レアアイテム見つけても黙っててやろうか
などと和気あいあいといられるのは、魔物との強さがかけ離れているからできることだろう
階層が深くなればそれも難しくなっていくはずなのだ
「あとは、レアアイテムが一個あったよ」
[骸の指輪®️:防御力+20、禁呪・呪い耐性大]
このレアアイテムというのが普通冒険者の手に入れられない隠しアイテムだとピルスルは考えているみたいだ
「これはローズだな、魔法を封じられる事も無くなるだろう」
ピルスルの言う通り魔法使いにぴったりそうだ、魔法使いには貴重な防御力も上がるのだし
効果だけでなく、見た目も…
「…ウチそんな骨、身につけとぉない…」
まぁ断るかな?と思ったら案の定
仕方なくレギが身につけていた
「カッコいいと思いますけどね」
レギの趣味には合ったようだった
さて、ドロップしたものはこんなところだ
あとは道中拾った青い光からはヒールポーション、ハイヒールポーションといった回復アイテムばかりだった
武器やアクセサリーはおろか、ステータスアップ系の方の霊薬も一個も無い
まぁ一階層目は滅多に手に入らないらしいし、ハイヒールポーションだって売れば銀貨2枚にはなるという
引き返して準備してから出直すか?と聞いたのだけど、どうせ大した強化にはならないし道中手に入ったものを装備した方が良いだろうということで
そのまま次の階層へと向かうのだった




