第八十七話 立花さんのクリスマスプレゼント探し!
十二月に入ると風が頬を刺すように冷たくなり、一層寒さが厳しくなってきたのを感じた。
無事期末テストも終わり、残すイベントは終業式とクリスマスだけとなったわけだけど⋯⋯
僕は学校の下校途中、冬枯れの桜並木の真ん中で途方に暮れていた。
クリスマスまで残り二週間だと言うのに、立花さんに渡すクリスマスプレゼントが未だに決まっていない。
最初はネックレス?って考えたけど、アルバイトもしていない高校生の僕には手が届きそうにもない。
次に考えたのはヘアピンやヘアゴム、櫛だったりと毎日使ってもらえる物を思い浮かべたのだけれど、これらの物を立花さんが腐るほど持っているのを確認している。
流石にもらって喜んでもらえるとは思えなかった。
最後にぬいぐるみにしようかと考えたのだけれど⋯⋯これが良くなかった。想像してみてほしい⋯⋯立花さんがぬいぐるみを抱いて寝るような女性に思えますか?否、真っ先に想像できたのは、とあるアニメのように夜な夜なぬいぐるみのお腹を殴っている光景だった。
もう八方塞がり、皆目見当がつかない。
そんな崖っぷちの状況で、最後の望みをかけて今日は一人駅前まで足を伸ばしてみる事にしたのだけれど⋯⋯
冬枯れの木々の隙間を通って寒風が骨身に染み渡ってきた。僕は制服の上に着込んでいた黒いダッフルコートの前を留め、駅前に向かって俯きながらとぼとぼ歩き始める。
駅前に到着すると、聞き覚えのあるクリスマスソングに耳を刺激され顔を上げた。青とピンク色のイルミネーションに彩られた幻想的な風景が目に飛び込んでくる。
「立花さんにも見せて上げたいな」白い吐息がフワッと舞い上がり群青色の空に溶けていく。
一生懸命考えて探してくれた物を喜ばない人はいないと聞いたことがある。
悲観的に考えるつもりはない⋯⋯だけど、結局それは僕と関係の無い第三者の無責任な言葉であって、いらない物をもらっても喜んでくれるような人がいるとはやっぱり思えない。
だから僕は自分も納得できて、立花さんにも絶対に喜んでもらえる物を探したい。
これは僕が立花さんに渡す初めてのプレゼントになるから⋯⋯
「いらっしゃいませ〜〜」駅ビルに入るとそこかしこからショップ店員さんの声が聞こえてくる。
そんなショップ店員さんを横目に、何をプレゼントするか決められていない僕は、覚悟を決めて端から端まで全てのお店を回ることにした。
服屋に入り、雑貨屋と化粧品売場に寄って、ランジェリーショップはスルーする。
足が棒になってしまったと錯覚するほど歩き回ったけど、やっぱりピンとくる物が見つけられない。
僕はトイレの横にあるベンチにドスッと腰を降ろして、一度思考の渦に身を任せてみることにした。
立花さんと出会い過ごした日々、本当にめちゃくちゃだったな⋯⋯と思わず笑みが溢れてしまう。
そして、これから僕達はどんな未来に向かっていき、いつまで一緒にいられるのだろうか?命ある限り?そう、早かれ遅かれいつかは別れが訪れるんだと思うと強烈な不安にかられる。
でも、もし本当に運命があるとして、前世から今、そして⋯⋯来世も、来来世も立花さんと⋯⋯
僕は両手に力を込め、膝を押さえて勢いよく立ち上がった。
出会った時から今まで見守ってくれた物、そして一般的に寿命が無いと考えられている物がモチーフにされている物。
時を超えどれだけ迷子になっても、また出会えるようにって思いを込めて、例え体が朽ちてしまっても気持ちだけは永遠に紡げますようにと。




