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第七十八話 スポーツの秋!戦々恐々の体育祭!

 木の葉が色づき始め、高く澄んだ秋空が広がる。その広がった空には、雲一つ見当たらないというのに、僕の心は曇り空⋯⋯


 何故かと言うと⋯⋯本日は我が校の体育祭。この意味がお分かりになるだろうか?


 そう僕は、自他共に認める運動音痴。走ったり跳んだりという類の行為が大の苦手なのである。


 いつもなら仮病を使って休むか、トイレに逃げ込んでWEBコミックを読み漁っているのだが⋯⋯よりによって、


 「体育祭?思い出刻もうぜ!」この立花さんの一言で騎馬戦に出る事になってしまい、逃げるに逃げられなくなってしまった。


 騎馬戦に出ると言っても、有名なアニメやラブコメによくある上に乗る人ではなく、身長が高いという理由から、下で足を支える人に任命されただけなので、ワンチャン休んでもいいか?と悩んでいた矢先。


 「うちの学校の体育祭は必ず三種目に参加しなくてはいけません」と担任に言われ、その謎ルールのせいで玉入れと借り物競争にも参加しなくてはいけなくなるという始末。


 どうにか逃げられないかと、今日の今日まで試行錯誤を繰り返していたのだが、立花さんに「まさか逃げようとは思って無いわよね?」と目の笑っていない笑顔で問い詰められ、


 「横暴です」と言って立花さんにジト目を向けると、立花さんが「クーックックッ」と悪代官がよくする高笑いをした所で逃げる事を観念した。


 こうして体育祭当日を迎え、白いTシャツに紺色のジャージで武装した僕を含む全生徒が校庭に整列する。


 今か今かと笑顔振りまき待ちわびる生徒もいれば、僕みたいに戦々恐々として顔に影を落とす生徒もいる。


 そんな色々な感情が入り乱れる中、澄み渡る空に号砲が『ドンッ、ドンッ、ドンッ』と響き渡ると、一人の生徒が前に出てきて右手を前斜め前方に掲げ、


 「宣誓!わたしたち選手一同は、本日夜放送されるアニメが眠くて見れなくなるほどに、全力で走り、全力で笑い、全力で応援することを誓います」と宣誓すると、爽やかな汗を拭いながら元の場所へと戻って行った。


 その宣誓が終わるのと同時に、立花さんが肘で僕の脇腹辺りを小突いて「ねぇねぇ普通に宣誓でよくない?スポーツマンヒップにモッコリだっけ?」と何かを期待するような眼差しを僕に向けてきた。


 僕が嘆息交じりに「スポーツマンシップに乗っ取りですね」と答えると、立花さんがそれに満足したのか満面の笑みを浮かべ一言「ん」と言いながら、小さくジャンプをして僕に体当たりしてくる。


 僕がその体当たりでバランスを崩すと、「大丈夫?」と言いながら僕の体を両腕を使って抱きかかえてきた。


 体育着越しに立花さんのやわらかい体の感触が伝わってくる。


 「大丈夫です」と立花さんを引き剥がすと、口を尖らせ「ブーッ」と言って不貞腐れた。


 端から見たら明らかにイチャイチャした行為をされていると、「それではこれより第一種目の玉入れ競争を開始したいと思います。参加される生徒は赤と白に分かれて指定の位置でお待ち下さい」とアナウンスが流れた。


 「あ、立花さん、僕この種目にエントリーしているので行ってきますね」と告げて一歩踏み出すと、「私もよ」と聞こえて振り返る。


 「え?」「え?」顔を見合わせ首を傾げた。


 「思い出一緒に刻もうぜ!」立花さんが片目を瞑って、グッドサインを突き出してきた。


 僕はそれを見た瞬間、手で顔を覆って天を仰ぐ。


 こうして、僕と立花さんのワクワクドキドキの体育祭が今始まった。

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