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第六十七話 ラブコメ展開!?

 「ねぇ〜景くん、なに観る?」立花さんがハニカミながら僕にそう訊ねてきた。


 「え〜っと⋯⋯あっ!これなんてどうですか?」と僕が選んだアニメは?


 「いや、それホラーだよね?私なんて言った?ラブコメが観たいって言ったよね?もういい、それかして」そう言って、立花さんが青筋を立てながら僕からリモコンを取り上げた。


 ラブコメが嫌いなわけじゃない。ただ、夏休み終盤のこの時期にしか観れない、ホラーがどうしても観たいと思ってしまったことが一つと、


 実を言うと、いま物凄く嫌な予感がしている。得てして、こういう時の立花さんは何かを企んでいる可能性が非常に高い。


 「あ!景くん、これがいいこれにしよ!いいよね!?」


 僕が、あれこれ悩んで思案を重ねてる間に、何を観るかが決まったらしい。


 確か内容は、両片思いの二人がお互いの距離を縮めていき、ふとした拍子に相手の気持ちに気付く。


 そこからが面白くて、お互い気持ちはハッキリと分かっているのに一歩が踏み出せなくて、少し焦れったいけど、いつ告白するの?ってワクワクドキドキできる、中学生を描いた有名なラブコメだったはず?


 両片思いね⋯⋯


 僕が同意する前に、立花さんはそのアニメの再生を始めてしまった。僕に訊いた意味って?


 「ねぇねぇ景くん!この主人公って最初からヒロインの事好きだったと思う?」と目尻を下げて訊いてくる。


 「意識はしていたと思いますけど、好きにはなってないと思いますよ?」


 「う〜ん?そうなのかなぁ?」と立花さんが首を傾げた。


 そう言えば、僕が立花さんを好きだと実感したのはいつだったろうか?いや、それ以前に僕も最初から意識はしていたような?


 「他の男の人と並んで歩いてたら彼氏?って落ち込んで、ナンパだったら許せるって?これってヤキモチだよね?」と口角を上げて訊いてくる。


 「ヤキモチかどうかはハッキリわからないですが、意識している女性が自分以外の異性といたら気にはなりますよ」


 そう、僕もその気持ちは痛いほど分かる。実際誰ともわからない異性と、立花さんが一緒にいる現場を見ただけで、心が闇に覆われて、体に力が全く入らなくなり学校を休んでいた時期もあったから⋯⋯


 「このヒロインさぁ、いつから主人公の事好きだったと思う?」


 「渋谷でのクリスマスイブデート前ですかね?ヒロインが風邪をひいてしまった主人公に、給食を届けに行った時かもしれませんね?」

 

 「やっぱりそれくらいの時期だよね〜?」


 そう言えば、立花さんも僕が病んでいる時に家にきてくれたけど、そのまま家に泊まって次の日海に行くとかって⋯⋯今思い返すと僕達凄いことしているのでは?


 「ねぇ景くん、恋愛ってさ相手の容姿や環境って関係無いと思わない?」そう言って、眉を八の字にする。


 立花さんは、いったい何が言いたいんだろうか?「そうですね、お互いの気持ちや考えが合致すれば付き合える、こと恋愛に関しては関係無いかもしれませんね」

 

 「ふふふっ、だよねー」立花さんはそう言って笑顔を弾けさせた。


 ん?僕がその笑顔を見て首を傾げると、


 「景くん、私を振った時に言った言葉覚えてる?」


 立花さんを振った時に言った言葉⋯⋯?


 「不釣り合いな僕がどうやって付き合うんですか?って言ったよね?」立花さんがそう言って目を細めた。


 た、確かに言ったかもしれない⋯⋯これは、首肯しても否定しても、流れ的に嫌な予感しかしない。だから僕は、


 「少し前の事で、ハッキリとは覚えてないですが、言ったと思います⋯⋯」嘘を付いても仕方ないと思って、正直に答えた。


 それを訊いた立花さんが、『ニヤリ』と口角を上げると、


 ちょうどそのタイミングで、アニメの中の主人公が自分の気持ちにハッキリと気付くシーンが流れた。


 「景くん、何か心境の変化でもあったのかしら?」と身を乗り出して問い質してくる。

 

 「そうですね、色々ありまくりましたよ、だから考え方や接し方が変わったのかもしれませんね?」


 そう、立花さんの事が好きになって、知らず知らずのうちに考え方だけでなく、接し方すらも変わってきた自覚がある────僕は立花さんと出逢って、変えられて変われたんだと思う。


 「ふ〜ん、そうなんだ」立花さんはそれだけ言うと、また視線をテレビに戻した。


 あれそれだけ?何があったか教えなさいよ!とか、私に隠し事?とか難癖つけて、もっと詰められるかと思ってたのに。


 なんか少し拍子抜けしちゃったな、僕も続きみよ。そう思ってテレビに視線を戻した。


 暫く一緒に観ていると、「好きって気持ちに上限ってあるのかな?できれば無いで欲しいなー、膨らんでも割れない、あふれてもこぼれない、そう思うのって我儘なのかな?」


 なるほど、今ようやく分かった。立花さんはアニメのシーンに合わせて、僕に質問しているんだ。


 「割れたって、溢れたって思いはなくならないじゃないですか?僕は、割れても溢れてもいくらでも修復できる。そんな関係でいられたらいいなぁって思います。答えになって無いですかね?」と答えて、頭をポリポリ掻くと、


 「ふんっ、景くんのくせに生意気よ」と言って頬を赤くした。


 なにこの変な空気?僕なにか悪いこと言ったかな?そう思って立花さんに視線を移すと、質問はしてくるくせに視線はずっとアニメに釘付けのまま。


 いったい何がしたいんだ⋯⋯?いやもしかするとなにかを待っているのか?


 結局この後も、アニメのシーンに合わせた立花さんから質問は続き、そんなやり取りをしているうちに、気付いたら夜が更けようとしていた。

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