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第六十六話 思ひ出の場所

 立花さんを玄関先で見送り、食事の後片付けを終えた僕は、自分のベッドの上で仰向けになり天井を眺めていた。


 僕は、なんで立花さんに避けられているのだろうか?理由を考えると思い当たる節が多すぎて、避けられている決定的な何かに辿り着けなくなる。


 立花さんと出会ってから、まるでジェットコースターにでも乗ってるみたいな感覚で五ヶ月が経ち、最初こそ上手く取れなかったコミュニケーションも、今では幾分マシになったと思う。


 ただ、出会ってから本当に五ヶ月だった場合の話だ。もしかしたら、立花さんは気付いていたのかもしれない⋯⋯


 僕は、ホログラムディスプレイを出現させ、スキル一覧を表示させた。


ーーーーーー

使用できるスキル

トゥンクトゥンク

番号交換

思ひ出の場所


覚えられるスキル


スキンシップ(小) 告白

壁ドンッ      お泊り      

顎クイッ      プリクラ    

デートに誘う    旅行

スキンシップ(中) サプライズ

キスをする     マーキング     

恋人繋ぎ      交わり

天体観測 未来日記【弱】

キューピッド    見破る

ーーーーーー


 【スキル 思ひ出の場所】


 普段は全くスキルを覚えるつもりの無い僕だけど、この【スキル 思ひ出の場所】だけは別だった。


 理由は、立花さんと昔どこかで出会ってたのではないか?と漠然とだけど頭の片隅でずっと引っかかっていて、それを思い出したくてこのスキルを覚えた。


 案の定。僕はおもむろに腕を伸ばして、思ひ出の場所をタッチした。


 すると、ホログラムディスプレイがまばゆい光を放ち、天井の一点にレーザービームが当てられる。


 ”木々の葉が赤色に色づき、実りの季節を迎えた頃。学校に行くふりをして、一人公園の特等席に座っていた時に出会ったあの子”


 ってタイトルの一枚の映像が映し出された。


 このスキルが、僕の思い出だけを投影するものだったらすぐに理解する事もできた。だけど、そうでは無かった。


 そこに映し出される映像は、全て立花さんと行った事のある場所だけで、他の場所が映し出されることは無い。


 ま、僕に思い出の場所と言える場所がほとんど無いって言われてしまえばそれまでなんだけど⋯⋯


 それにしても、「これ絶対に立花さんだよね?」そう呟き、銀髪碧眼の女の子を注視した。


 風に靡く銀色の髪に、曇のない澄んだ瞳の碧眼。それに今になって思い出したあのセリフ『諦めたら試合終了だよ』


 漫画とアニメが大好きな立花さんだったら、言う可能性は十分にあり得る。


 はぁ~と嘆息が漏れ出る。


 これって凄くシビアな問題だよね?例えば、これらが事実で立花さんは最初から気付いていた場合⋯⋯軽口で「立花さんこの公園覚えてますか?」なんて口が裂けても言えない。


 完全に立花さんを傷つけてしまうだけでなく、僕も傷付けられる。


 だからといって、避けられている理由が何かの拍子で僕が覚えて無かった事を知られたのが原因だったら⋯⋯行くも地獄、行かぬも地獄だ。


 どうすればいいの?


 この『LOVE♡GAME』が本当にカップル成立のため政府が考案、実施したものなら今こそなんとかして欲しいよ。


 ⋯⋯⋯⋯


 覚えてみようかな『キューピッド』


 このスキルは自分にとって都合のいい何かが起きる。注釈、一度使用すると次使えるようになるまで一年を要する。


 GAMEに頼るのは本望じゃない。けど、今この状況を僕の力では⋯⋯打開できない。


 僕はそう思って、『キューピッド』を覚えるとすぐにスキルを発動させた。


 ⋯⋯⋯⋯


 何も起こらない?


 その時『ガチャリ』と僕の部屋が開かれようとした。


 母さん帰ってきたのかな?思ったより早かったな。「母さんおか⋯⋯」

 

 「景くんただいまぁ!泊まりに来ちゃった」と立花さんがおどけた表情で僕にVサインを向ける。


 ⋯⋯⋯⋯


 「立花さん⋯⋯どこの漫画やアニメを観ても、あの状況あの展開で舞い戻るなんて有り得ないと思います⋯⋯」


 「いやー、お義母さんに悩み相談したらスッキリしちゃって、なんかこのまま家に帰るのも微妙だし⋯⋯と思ってさ」と立花さんは拳を『コテッ』と頭に当てて、舌を『ペロッ』と突き出した。


 やっぱり何か悩んでたんだ?それにしても、この偶然はやっぱりスキルの力なのかな?にしては中途半端な気がする?


 確かにキッカケは掴めた⋯⋯だけど問題は何も解決していないじゃないか?


 「何を悩んでいるのかなぁ〜?」と訊ねられたのと同時に、『ギシッ』とベッドが軋む感覚がして、そちらに視線を移した。


 何があったかはわからない。けど、至極ご機嫌な立花さんが僕の顔を覗き込んでいた。


 「ねぇ〜景くん」と立花さんが、艶めかしく人差し指で唇をなぞり、舌舐めずりをする。


 「今日はラブコメが観たい、き、ぶ、ん」


 「うっ、えっ?あっ⋯⋯絶対に嫌です」


 「拒否権なんてあると思うの?」


 「横暴です」


 「クーックックッ」

 

 こうして、僕と立花さんのめくるめくラブコメ上映会が、始まろうとしていた。

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