三十四話 お勧めはオムライス!?
「二人とも何してるんですか?ランチですか?(なんで立花さん探偵コスしてるの?そもそもどこで着替えたの?)」
「ん、今尋問中だよ」
いや、屈託の無い笑顔を見せながら言うセリフじゃないでしょ?そう思って、苦笑を浮かべ日下部君を見ると、額から汗を流しながら震えていた。
「立花さん、なんか日下部君怯えてませんか?」
「そうかしら?日下部怯えてるの?」
そう立花さんが訊いたのと同時に、テーブルの下で『ドンッ』と鈍い音が聞こえた。日下部君が『ビクンッ』と体を震わせると戦々恐々としながら話し始める。
「お、脅されておりません」
(脅されてるんだ⋯⋯日下部君なにしたの?)
そう思って二人の表情を窺うと、立花さん
は『ニタニタ』しながら、日下部君は目を見開き口を『パクパク』させながら僕の後方を見ていた。
僕がゆっくりと振り向こうとすると、それを制止するように立花さんが口を開く。「犯人はこの中にいる!!」
(何言ってんだこの人、犯人ってなに?)
『ガタッ』
僕の後ろから物音が聞こえて、振り返ると朱里が青褪めた表情をさせ狼狽えて、テーブルに体をぶつけていた。
「朱里!どうしたの顔真っ青だよ」
そう朱里に訊いたけど、僕の問いに返答する事なく、立花さんと日下部君を睨んで話し始める。
「な、なんでアンタたちがここにいんのよ!?」
「さぁ〜なんででしょう?日下部なんで私達ここにいるんだっけ?」
立花さんがそう尋ねると、日下部君が口を開こうとした、次の瞬間朱里が割って入ってきた。
「うちが勝負に勝って、景とデートするって約束したのに、それを邪魔しにくるなんてルール違反じゃない!?」
朱里は何故か青褪めた表情のまま、米噛みに青筋を立てて話している、どういう状況?
「なにを言ってるの?私は日下部と話があってたまたまこの店に入っただけ、そこで偶然あなた達と出くわした。邪魔するつもりなんて毛頭ないわよ、あ、日下部、ここのお勧めはなにかしら?」
「オ、オムライスです」
日下部くんがそう答えると、立花さんは朱里にも同じことを訊く。「朱里、ここのお勧めは何かしら?」
「オ、オムライスよ」と朱里が答えた。
それを訊いた僕が、「このお店は本当にオムライスが有名なんですね、日下部君も知ってるなんて、断然楽しみになってきました」って言うと、朱里と日下部君は狼狽えた表情を浮かべ、立花さんは真剣な表情を見せ話し始めた。
「勝負に負けたから潔くデートする事は許した。でもね、それ以前にやっていた悪事については容認できないわね」
(いや、僕は一切容認してないけど、それより悪事ってなに?)
「あ、悪事って何よ」朱里が顔を上げて、目に涙を浮かべ、小刻みに震えながら尋ねる。
「最初に言っとくけど、日下部に会ったのもここに来たのも本当に偶然だからね。日下部が誰かをつけているのを見つけて、怪しいと思って声をかけたら、なんかいきなり焦った様子を見せるじゃない?問い質したら色々暴露し始めるからビックリしちゃって⋯⋯」
立花さんがそこまで話すと、朱里が手を前に突き出し遮って話を始めた。
「ストップ!ストップ!!蒼ストーーーーップ」
立花さんが『ニヤッ』と口角を上げて話し出す。「なにかしら?」
「ごめん景、漫画持って先に席に戻ってて、うちは少しコイツに話あるから」
「コイツぅー?」
「い、いや、蒼さんと少し話がしたいです⋯⋯」
「よろしい、二階堂くんごめんねー、少し朱里借りるね」
「あ、はい、なんだかわかりませんが、わかりました。僕は席に戻ってますね(本当に朱里と日下部くんはなにをしたんだろう?)」
少し頭をモヤモヤさせながら、漫画を持って席に向かう。その途中振り向いて様子を窺うと、頬杖を付いて足を組みながら話を聞いてる立花さんと、ミニチュアドール並みに小さくなった朱里と日下部くんが必死に何かを話しているのが目に入り、更に疑念を深める事となった。
(ま、考えても仕方ない、席について原作読み返すかー)
席に着くなり、先程までの疑念を取り払って、漫画を開き朱里を待つことにした。




