三十三話 名探偵の正体は?
────映画を観終えた僕と朱里は、肩を並べてその場所を後にした。
「めっちゃくちゃ面白かったな!殺人鬼の『本当はただ、ただ母さんに愛されたかった』あの辺りの描写なんて感動して涙出ちゃったもんな、原作だともっと深く掘り下げて書いてあったんだけど、映画は映画でうまく纏まってて良かったよ」
僕がそう話しかけると、朱里は微妙な表情を浮かべながら話し始めた。
「うちさー、原作知らないんだよね、あ、でも映画は面白かったよ(ぶっちゃけ映画も微妙だったけどね)」そう言って明らかにわかる作り笑いをみせた。
「そっか、そうだよな、今度漫画貸すから読んでよ(立花さんなら読んでたかも⋯⋯?)」
「マジ?なら景の家に行きたい!!」
今度は僕が微妙な表情を浮かべて、頭をポリポリ掻いた。それを察した朱里が話をする。
「ねーウチお腹空いた、景はどんな具合?(話変えないとまずいかも)」
お腹は空いているが正直、家に帰って原作を読み直したい。そんな葛藤を頭の中でしていると朱里が良案を出してくる。
「すぐ近くに、オムライスがめちゃくちゃ美味しいお店があって、そこに今日観た映画の原作が置いてあるんだよね〜、だから付き合ってよ(どうせ原作読み直したいとか考えてるんでしょ?す、べ、てリサーチ済みよ)」
「まじ!?あ、いや⋯⋯(考え読まれてるよな?そうゆうところが⋯⋯)」
少し悩んだけど、僕はその提案を受け入れ朱里とランチに行く事にする。
お店までの道程、映画の感想を僕が一方的に話しながら歩いていると、朱里が唐突に腕を突き出し指をさした。「景、あそこのお店だよ、ほら早く早く」
そう言って走り出す。
洋館風の、少し古めかしい佇まいの建物の前で朱里が止まり、小さくジャンプをしながら両手を使って手招きをする。
僕はその仕草を見て、少し気恥ずかしさを覚え頭を掻きながら、朱里の元に足早に向かった。
『カランカラン』店の前に着くと、ドアを開けて朱里をエスコートする。その後に続いて僕が入ると、目に飛び込んできた光景に度肝を抜かれた。
店内の家具は全て、ヨーロッパアンティークのお洒落な物に統一されており、ペンダントライトの柔らかな光がより一層それを引き立たせている。日本とは到底思えない情景が広がっていた。僕が呆然と立ち尽くしていると、店員さんが近寄ってきた。
「いらっしゃいませ〜二名様ですか?」
「「はい!」」
「こちらへどうぞ〜」
案内された窓際の席に座ると、メニューと水が出された。
「凄いなこの店、店内外だけじゃなく食器やメニューも凝ってるよ!あ、そうだ、映画の原作どこ?」僕がそう尋ねると、朱里はジト目で僕を見ながらその場所を指さした。
「ありがと、てか本棚の後ろにいる人、店内に合わせてるのかな?探偵コスしてるよ」
そう朱里に伝え僕は席を立った。本棚に近づくにつれて、探偵コスの向かい側に見覚えのある人が座って居るのに気付く。
(あの人確か同じクラスの⋯⋯)
似ているだけかも?そう思って漫画本に手を伸ばした。
「その漫画面白いよね〜『本当はただ、ただ母さんに愛されたかった』の辺りなんて涙流さずには読めないもん」
本を取ろうとした腕が『ピタリ』と止まる。聞き覚えのある声が聞こえて、僕は恐る恐る本棚の後ろの席に視線を向けた。
「た、立花さんに日下部くん!?」
そう言うと立花さんは顔を破顔させ、日下部くんは⋯⋯なぜか怯えた表情を見せた。
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