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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第二章 勇者パーティー編

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不器用

「こちら、ご試着なさいますか?」

 店員はショーケースからガーネットスターリングを取り出すとそれをトレーに載せてメルティーローズの前に差し出す。

「わぁ、ありがとーございまーす♪」

 差し出された指輪を手に取ったメルティーローズは遠慮なくそれを右手薬指に嵌め

「我が魔力の炎よ。我が手に集い……」

 モノは試しと指先に炎を灯そうとしたところ


ーボウッ!ー


「ひえっ!」

 予想以上の火炎が指先から発生し彼女の帽子の鍔と髪先を焦がしてしまった。

 エリスフィーナはびっくりしてしまっていたが、店員は眉一つ動かさずにこやかなままその場で待機していた。

「いかがでしょう? お買い求めなさいますか?」

 言葉遣いこそ丁寧なものの店員からは強烈な圧を感じる。

「お……、オホホホ。嫌ねぇ。ちょっと手元が狂っただけよ? そ、それじゃこちら頂こうかしら?」

 メルティーローズは自らの粗相を誤魔化すかの様に店員にガーネットスターリングの購入を告げる。すると

「こちら希少なお品物でして金貨二枚となっております」

 店員は相変わらず表情一つ変えずにこやかなままメルティーローズへの対応を続ける。

「いぇっ! た、高くな……」

 値段について反論しようとするメルティーローズだったが、店員の無言の圧により目出度く金貨二枚にてガーネットスターリングお買い上げとなったのであった。

 メルティーローズが買い物をしている横でエリスフィーナは

「わぁ……」

 あるアクセサリーに目を奪われていた。銀色のチェーンの先に青く輝く小さな透明感のある石があしらわれたそれは彼女が一度は自分の目で見てみたいと憧れている大海原のイメージそのものであった。

「エリィ、なに見てんの?」

 そこに買い物を終えたメルティーローズが話し掛けてきた。さらに

「そちらはアクアマリンのペンダントとなっております。水神様の加護が授かる希少価値の高いお品物です」

 接客モードの店員まで話し掛けてきた。彼女が言うには魔法の効果に変化は見られないものの水の神様の寵愛が受けられると伝えられる貴重な石なのだそう。

 だが値段は金貨三枚であり、今のエリスフィーナにとって気軽に手が出せる値段では無い。

 財布の中に金貨数枚あるが、これは両親が用意してくれた貴重なお金である。少なくとも装飾品に散在して浪費してしまえる様な金額では無かった。

 彼女の両親であれば娘のお金の使い道にあれこれ口出しして来る事はないだろう。しかし、エリスフィーナにはそんなお金の使い方を良しとする選択肢は無かった。

「あ、あの……今はお金が無いので……また、今度買いに伺いますね」

 苦笑気味にエリスフィーナが買い物を辞退すると

「かしこまりました。またのご来店をおまちしております」

 店員はにこやかにあっさりと引き下がってしまった。メルティーローズに対する圧とまるで違っていた。そこに

「お前たちが、何か気になるものでもあったか?」

 店内を回っていたガルドリックがエイミー達三人を連れてエリスフィーナ達のところにやってきた。

(あ……!)

 ガルドリックを見て何かを閃いたらしいメルティーローズは

「エリィ? さっき見つけた矢筒の売り場にエイミー達を案内してあげて?」

「は、はい……? だってそれあそこの棚ですよ?」

 エリスフィーナが指し示した棚はガラスケースエリアからギリギリ見える範囲である。案内しなくてもあっちですよと教えるだけで迷いなく着ける場所だ。

「いーから。それに専門家が教えて上げた方が選ぶのも不安ないでしょ?」

 と、メルティーローズは半ば強引にエリスフィーナにエイミー達三人を任せてさ染まった。去っていくエリスフィーナ達の後をガルドリックが付いていこうとするが

「あんたはこっち」

 メルティーローズが彼のマントを掴んでガルドリックをその場に引き留めるのだった。




 何事も無く矢筒エリアに来たエリスフィーナだったが、沢山ある矢筒にエイミーはすっかり迷ってしまった。

「エイミーさんは初めてですから、短めの矢筒から始めましょうか」

 弓矢を扱うのが初めてなエイミーに小さめの矢筒をエリスフィーナは勧める。エイミーの仕事はあくまで斥候であり、敵に悟られない隠密性が重要視される。そこで長く大きな矢筒を持たせては返ってマイナスになりかねない。

 冒険者ランクの低い彼女の仮想敵はゴブリンや脅威度の低い魔物なのだからオーバースペックな装備品を持たせても返って足枷になってしまいかねないのだ。

「こちらはいかがでしょう? 基本的な背中に背負うタイプで携帯にも困りません」

 エリスフィーナが棚から手に取った矢筒をエイミーに渡す。

「こんな感じですか? これなら私も皆の役に立てるかな?」

 手渡された矢筒を背負ったエイミーが自分の背中に手を回して矢筒から矢を取り出せそうかシミュレーションをする。

「後は武器屋さんで矢を買って実際に試してみましょう」

 エイミーも気に入った様で飼うものが決まったエリスフィーナ達がガルドリック達のところに戻ろうとすると

「エルフが人間と仲良くしてるなんて……友達ごっこのつもりかしら?」

 不意に誰かから声を掛けられた。

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