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初めての旅路

 ユニコーンと別れエルフの里の森から抜け出たエリスフィーナ達勇者パーティーは当座の目的である隣国のアトレイス連邦国家へ向かう事となった。

 件の国は連邦国家という事で様々な国が利害の一致から一つに纏っているという悪く言えば各々では独立維持が難しい寄せ集めな国家だった。

 しかも、盟主であるアトレイス公国は人間の国ではあるものの、周りの小国は森や山地が殆どなエルフやドワーフ等亜人達による独立国家が乱立している様なものなのだ。

 彼等を纏めて魔王軍に対抗するのはアトレイス公国では難しいという事で、ガルドリック達が要請を受けているホワイトクラウン王国の意向でハイエルフであるエリスフィーナを旗頭にしようと言う流れなのであった。

「て訳なのね。ただ魔法ブッパしてれば良い訳じゃないから私達も大変なのよ〜」

 これらの説明はアトレイス連邦に向かいがてら、メルティーローズがクレスの注釈付きで事細かにエリスフィーナに説明してくれていたのだった。

「はぁ……そうだったんですか。でもそんな責任重大なお仕事私に務まるのでしょうか?」

「私の見立てだけど……あなたなら良い線言ってると思うわよ。ドーンと構えて笑顔振りまいてればオッケー!」

 かなり適当な意見を述べたメルティーローズだが、エリスフィーナの問いに親指を立てて自信満々に答えてみせた。

「まぁ、魔王軍に抵抗するエルフの代表として皆を魅了すれば良いのですからね。確かにエリスフィーナさんなら大丈夫でしょう」

 今度はクレスがメルティーローズに同調してきた。二人がそう言うのならとエリスフィーナが何となく自信を取り戻していると

「まぁ、神輿には丁度良いんじゃね? 神輿は清く正しいハイエルフで処女の方が都合良いだろうしなぁ」

 ここでも品の無い意見を挟んできたのはキリヤだ。彼は両手を後頭部に回しながら軽口を叩いてきた。そんな傲慢不遜な彼の態度に

「さ、さっきから失礼ですよ、あなた! 人を子供みたいに言わないで下さい!」

 顔を赤くして否定するエリスフィーナの言葉などどこ吹く風のキリヤは『へいへい』と相変わらず失礼な態度を崩さない。

 そんな騒々しいパーティーの後列にリーダーのガルドリックが

「お前達、静かに!」

 警告を発した。これは単に彼等が五月蝿いからでは無く、進行方向に何かを見つけた様だった。

 キリヤを除く全員がガルドリックの行動を注視していると

「た、助けて下さい!」

 街道の本道に小道から誰かが駆け寄ってきた。駆けてきたのは冒険者……身なりがボロボロの女の子で彼女の素性は一目では分からない位に酷い格好だった。

 ガルドリックは女の子に自身のマントを羽織らせると

「どうした? 君は誰で何があった?」

 かなり単刀直入な質問を女の子にぶつける。すると

「この先の鉱山跡に魔石採取に言ったら沢山のゴブリンに襲われたんです! 仲間の皆が逃げ遅れて……ひっく……うわあああっ!」

 女の子はガルドリック達パーティーに出会って緊張の糸が切れたのか泣き出してしまった。

 彼女は駆け出しの冒険者パーティーの一員であったらしい。低ランク依頼の魔石の採取だったはずが情報に無かったゴブリン達による奇襲を受けてしまって彼女だけ命からがら逃げてきてここに至ったという訳だ。

 ゴブリンは一匹二匹では力の弱い魔物でしか無いが、数が増えるとより大胆により凶暴になっていく厄介な魔物だ。

 しかも、繁殖力が高くあっという間に数を増やしてしまう、頭は良くないがずる賢い点があり決して侮れない魔物なのだ。

 鉱山は小道を進んだ先にあるのでここから迷う心配は無いが……急いで救助に向かうに吝かでは無い。

 話を聞いてみると、女の子はエイミーというらしく、新人のFランク冒険者だった。

 少し休んでガルドリック達が勇者パーティーと分かると安心したようだった。

「私、アトレイス連邦の国境に言って助けを呼んできます。ですから……」

「ああ、最善は尽くしてやるよ。任せときな」

 女の子の願いに勝手に答えたのはキリヤだった。皆、助けに行くつもりだったとは言えパーティーの行動の決定権は彼には無い。しかし、その事を咎めている時間は無く、ガルドリック達パーティー一行は件の魔石鉱山へと向かうのだった。



「エリスフィーナ、本当はまぁだ君に実戦は避けて貰おうと思ってた。だが、状況が状況だ」

 鉱山に向かう小道でガルドリックがエリスフィーナに本音で語る。お互いの意思疎通も連携も出来てない中で、素人を実戦に参加させるのは危険過ぎる。

 しかも、国王から直々に依頼されたVIPも同然である。彼女にはこれから大事な役目もあるのにわざわざ危険な目にあわせる理由は無い。

 しかし、彼女をパーティーから分離して別行動を取らせるのも同じくらいには危険だ。

ただでさえ目立っハイエルフをお上りさん丸出しで一人でフラフラさせるのはゴブリンと戦わせるのと同じ位には危険だった。

 どちらも危険ならせめて自身の手の届く方が良い……という事でエリスフィーナを鉱山に同行させる旨、ガルドリックから説明がなされたのだった。

 エリスフィーナ自身不安が無いかと言えば嘘になる。両親からゴブリンの話は聞いていたしエルフの里の森に迷い込んできたゴブリン達を里のエルフ達と皆で追い払った事がある。

 それでもガルドリックの様子からエリスフィーナは改めて気持ちを引き締めるのだった。

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