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勇者パーティー

 長老宅の後、両親に見送られて里を発ったエリスフィーナはガルドリック達と森の中を歩いていた。

「森の出口はこちらです。どうぞ」

 精霊神に護られたこの森はいわゆる迷いの森の様な構造になっている。

 今回は最初から精霊神が受け入れ準備万端だったからガルドリック達勇者パーティーも難なく里に辿り着けたが、帰りが保証されている訳では無いし土地勘の無い彼等では普通に迷ってしまう危険がある。

 一方のエリスフィーナも里から出た事が無いと言っても本当に一歩も出ていない訳では無い。

 流鏑馬訓練に森の中を駆け回ったり、森の近くの湖で水浴びしたりはしていたのだ。エリスフィーナが彼等を先導していると


ーパカッ……パカッ……ー


 彼女には聞き慣れた蹄の音が近付いてきた。

「ブルルルル……」

 森の奥からやってきたのは白いユニコーンだった。少し悲しそうにしながらエリスフィーナに頭を垂れてきた。

「もしかして、見送りに来てくれたの? ありがとう……!」

 エリスフィーナが彼の頭に抱きつくとユニコーンもいつもの様に安らいでいた。

そこに

「俺知ってるぜ。ユニコーンてのは処女厨なんだろ? て事はお前処女なのかよ〜」

 キリヤが馬鹿にする様にエリスフィーナにデリカシーの言葉を吐いてきた。別れを惜しんでいるところの空気の読めない発言に

「な、何かいけませんか!」

 相変わらずのキリヤの失礼な物言いにエリスフィーナはたまらず言い返す。

「お〜怖! 冗談だよ、本気になんなよな〜」

 怒られたキリヤは肩を竦めて戯けてみせる。

「メル、貴女はユニコーンに近寄らない方が良さそうですよ?」

「そ、そうね。私は付き合ってきた男の数なんて星の数いるものね」

 灰色長髪優男が近くの赤髪魔術師に軽口を叩くと彼女もそれに応戦した。

「エリスフィーナ、俺達はそれほど暇じゃない。悪いが……」

 ガルドリックがエリスフィーナに声を掛けるとユニコーンはエリスフィーナから離れパーティーの間を通り過ぎ始めた。


ーパカッ……パカッ……ー


 彼は勇者パーティーを一人一人値踏みでもするかの様に確認しながら歩いていく。ガルドリックと白い法衣でピンク髪の神官女性はチラ見しただけで特に興味は無い様に見えた。

 次に赤髪魔術師と優男賢者だが、誰もがそのまま通り過ぎるかと思っていたユニコーンだが、赤髪魔術師を見るなり立ち止まり頭を下げてきたのだった。

「なんだよ、お前ユニコーンに気に入られてんじゃねーかよ! マジウケる〜! 沢山の男と付き合ってきたんじゃねーのかよ〜!」

 誰もが触れようとしなかったのに相変わらずの失礼太郎なキリヤが赤髪魔術師に煽りを入れてきた。

「るさいっ! アンタも早く帰りなさいよ! ホラホラ帰った帰った!」

 赤髪魔術師はユニコーンにシッシッと手を振りながらとんがり帽子を深く被り直している。

「そういや、メンバー達とは自己紹介がまだだったな……」

 慌ただしく里を出てきたので紹介がまだだった事を思い出したガルドリックが勇者パーティーのメンバー達を一人一人紹介していく。

「こいつはマリアリア。パーティーで神官を務めて貰ってる」

マリアリア・ルミナフィールです。主に神聖魔法……治療と浄化魔法を担当しています。よろしくお願いします」

 ガルドリックに紹介された一人目はピンク髪セミロングで白い法衣を着た二十代前半位の女性だ。

「こっちは賢者のクレス・ダグラス、見ての通りの優男だが気をつけろよ」

「これは手厳しい。

私はクレス・ダグラスです。あらゆる魔法を使えますし知らない事以外は何でも知ってます。よろしくハイエルフの可愛らしいお嬢さん」

 ガルドリックの言葉を受け流しつつ、本気ともふざけとも取れない軽口で自己紹介してきた。次は

「そっちはメルティーローズ・ファーレンス。こっちは攻撃魔法メインのパーティーの要だ」

「別に攻撃魔法しか使えない訳じゃないからね! 敵を吹き飛ばすのが好きなだけ。 あとユニコーンはしっかり躾ときなさいよ」

 森に帰るのを渋ってちょっかい出そうとしているユニコーンをあしらいながら、メルティーローズが挨拶してきた。

 初めての旅に初めての仲間、全てが未体験で緊張しっぱなしだったエリスフィーナも、勇者パーティーの雰囲気に心なしか不安が和らいできていた。

 お互い軽口を言い合えるのはコミュニケーションがきちんと成立しているからだ。

 冒険者同士で複数人で魔物相手に戦うには、声を掛け合って意思疎通をしながら相手の行動も頭に入れつつ立ち回らなければならない。

 エリスフィーナの両親が彼女によく教えてくれていた冒険者時代の生活の知恵だった。そして

「こいつはキリヤ・ホワイトクラウン。王国の第七王子で魔法剣士だ」

 最後に紹介されたのが黒髪短髪モブ顔全身黒ずくめの失礼男、キリヤ・ホワイトクラウンだった。

「俺はキリヤ、剣戦なら俺に任せな。初心者は足引っ張んなよ?」

 相変わらず余計な一言二言が多い。彼の存在は他のパーティーメンバー達からもどことなく浮いている様に感じられる。

 勇者パーティー全員の紹介が終わったところでガルドリックがエリスフィーナに目で合図を送ってきた。そこで

「私はエリスフィーナです。剣と弓矢、精霊魔法の一部が使えます。よろしくお願いします!」

 エリスフィーナは皆に頭を下げて自己紹介を行うのだった。

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