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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 勇者パーティー編

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湯上がり

 ミスズの意識を取り戻させたエリスフィーナはメルティーローズを伴ってそそくさと浴場を後にしてきた。

 あまり目立ちたくないという気持ちもあったものの、あの場に留まっていたら面倒事に巻き込まれるという第六感が働いた為でもあった。

「ほら、見て見て〜♪ あんな風に洋服も出来上がってるって訳なのよ〜」

 身体を拭き上げたメルティーローズが脱衣所の受付台に置かれている脱衣籠を指差す。そこには洗濯してきちんと乾かされている彼女達の衣類が脱衣籠ごとに個別に整えられていた。

 同じく身体を拭き上げて自分の脱衣籠を手にしたエリスフィーナに

「お嬢ちゃん達、湯上がりの一杯はどうだい? 銅貨一枚からだよ?」

 洗濯受付のおばちゃんがさも当然の様に湯上がりの一杯を勧めてきた。手持ちがロッカーの中な為エリスフィーナが断ろうとしたところ

「コーヒー牛乳とフルーツ牛乳お願〜い♪ エリィも飲むでしょ?」

 メルティーローズが迷いなく注文してしまった。

「ありがとうございます……。なんだかお世話になりっぱなしで……」

「いーのいーの! エリィにはサウナで助けられちゃったんだから!」

 メルティーローズはそう話しながらエリスフィーナの背中をバンバン叩く。そして用意されたコーヒー牛乳を手に取り

「はい、貴女にはフルーツ牛乳♪ 甘くて美味しいんだから!」

 エリスフィーナにフルーツ牛乳を勧めると自分は自分でコーヒー牛乳を一気飲みしてしまった。

「いや〜! この一杯の為に生きてるってモンよねぇ〜! お酒とはまた違うのよ〜」

 渇いた喉をコーヒー牛乳で潤したメルティーローズは魔道具の温風機を使って髪を乾かし始めた。

「……ふぅ」

 フルーツ牛乳を美味しく頂いたエリスフィーナは改めて衣服を身に着けて、メルティーローズの見様見真似で温風機を使い始めた。



 初めての温風機で髪を乾かしたエリスフィーナは改めてリボンでポニーテールをセットし、ロッカーから装備品一式を取り出して身に付けていく。

「ふぅ……」

 いくら一人で身につけられ慣れてきたとは言っても、時間が掛かってしまうのはどうしようも無い。

「メルさん、お待たせしました」

 全ての準備を終えたエリスフィーナとメルティーローズの二人が建物を出て約束の広場にやってきた時には西の空がすっかり夕焼けに染まっていた。

「遅いぞ〜、もう腹減っちまったよ〜!」

 お風呂に入る前から食事に行きたがっていたヴァイスから二人に愚痴が飛んできた。

 新人な彼からもこんな軽口が飛んでく。らくらいにはお互いの関係性が近くなっていた。

「しょーがないでしょ。女の子には色々と準備があるの!」

 軽口にはメルティーローズがきっちり返す。

「今日は通りの宿屋に泊まっていこう。焼肉の上手い店があるらしいんだ」

 空気を読んだリーダーのガルドリックが今日の食事と宿の提案をする。一応冒険者ギルドでも食事が出来て泊まれるとは言っても、誰でも使えるというのはそのまま客層の民度の高さに繋がってしまう。

 貧すれば鈍ずるとも言われる通り、金がなく生活に余裕の無い人間が集まる場所はどうしても空気が悪くなってしまうのだ。

「宿屋かぁ……私達、お金が……」

 駆け出しなエイミー達が宿屋での宿泊に逡巡を見せる。

「今日のところは俺が出しておこう。明日から冒険者ギルドで仕事を探すとしよう」

「これはありがたい。せっかくだから豪遊させて頂きましょうか」

 奢りに食いついたのがパーティーの賢者クレスである。彼も勇者パーティーの一員だけあって懐事情に余裕はある筈だが……

「お前は自分で払え」

 当然と言わんばかりにあっさりとガルドリックに門前払いされてしまったのである。



 こうしてローランド王都の目抜き通りに面した一軒の宿屋にやってきたエリスフィーナ達は早速、宿泊と食事の為に店の受付にて手続きを取る事にした。

「お客さん方、八人かい? 宿泊は一人銀貨一枚だよ」

 宿屋の受付が金額を言うなりガルドリックが金貨一枚を差し出した。

「食時代も入れてこれで足りるか?」

「はい! もちろん! お食事も何でもお持ち出来ます!」

 金貨を受け取った受付は平身低頭する勢いで対応してきた。

普段遣いされる硬貨は大抵銀貨までであり、一人分の簡単な食事や宿泊であれば穴開き銀貨でも事足りる。

 金貨の貨幣価値を改めて目の当たりにしたエリスフィーナは

(パパ、ママ……ちょっと金額が……)

 お小遣い代わりに金貨数枚を持たせてくれた両親に感謝三割困惑七割の想いを抱くのだった。

 宿屋の大部屋をあてがわれたパーティー一行は荷物を置きにゾロゾロと大部屋へと向かい


ーガチャー


 扉を開けて入った先は、まるで王侯貴族や大商人が泊まるかの様な豪華絢爛なスイートルームと言うべき大部屋だった。

「わぁ〜、すっごぉ〜い!」

 エイミーが目を輝かせて奥のフカフカのベッドへと駆けていく。

「すっげー! まるで王様だな!」

 やや表現力が貧困な微妙な言い回しでソファーに駆けていくヴァイスの後をソファーとメディナが付いていく。

「食事を部屋に持って行くってこー言う事だったのね」

 荷物を置いたら一階の食堂に行くものと思っていたガルドリック達は宿屋の受付が行っていた

「お食事はお部屋でよろしいですか?」

 という言葉の意味を改めて噛み締めるのだった。こんな事なら一階の食堂で食べるとは答えなかったのだが……

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