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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 勇者パーティー編

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サウナ

「アンタらちょっとツラ貸しなよ」

 モヒカンとツーブロックに呼ばれて遅れてやってきた赤毛チリチリ頭の巨漢女、ミスズと呼ばれる女の子が浴槽の外からこっち来いとジェスチャーをしている。

 彼女の視線は明確にメルティーローズとエリスフィーナの二人に向けられていた。

「あの人達、お二人のお知り合いですか?」

 あからさまな風貌のミスズ達の言動にエイミー達は不安そうな顔でメルティーローズとミスズ達を見てくる。

「ハァ〜、知り合いとかじゃないんだけど……ちょっと話してくるしかないか」

 あまりに煩いミスズ達の言動に、落ち着いてお風呂にも入っていられないとウンザリしたメルティーローズは浴槽から上がってミスズ達の元に近付いていく。

「あ、あの……私も行きます!」

 そんなメルティーローズを放ってはおけないとエリスフィーナも後に続く。

「アンタらも冒険者なら筋を通して貰おうか?」

 ミスズに先導されて二人が連れられてきたのは高温の蒸し風呂エリア、所謂サウナであった。

「おら、さっさと入れや!」

 エリスフィーナとメルティーローズの左はモヒカン達に背中を押され無理矢理ミスズの後に続いてサウナ室に押し込まれた。


ーモワッ!ー


 部屋の中は三人だけで他に利用客の姿は無い。おそらくミスズ達が自然に人払いでもしていたのだろう。

「ここであたしに根性見せたらアンタらを認めてやるよ」


ードカッ!ー


 そう言うとミスズはサウナ室のひな壇に座ってしまった。ふと入り口を見るとさっきのモヒカンとツーブロックが見張りをしており誰も入れない様に立ち塞いでいる。

「仕方ないわね……」

 メルティーローズは諦めたのか彼女もサウナのベンチに腰を下ろした。エリスフィーナも仕方なく彼女の隣に腰を下ろす。

 こうしてはた迷惑な我慢比べが始められたのだった。



 どれくらい時間が経っただろうか……。三人とも汗をダラダラ流して暑さに耐えていた。

「おい、尻尾を巻いて逃げ出すなら今のうちだよ?」

「じょーだん! こんなんで音を上げる訳ないでしょ?」

 ミスズとメルティーローズが簡単なやり取りをするがお互いに出ていくつもりは無いらしい。



 さらに時間が経った。異世界なので時計やテレビがある訳でも無く、時間は相対的なものとしか感じられない。

 入り口を塞いでいるモヒカンとツーブロの二人もチラチラとサウナ室の中が気になっている様だ。

「おいおい、強情なのは結構だけどそろそろ危ないんじゃないのかい?」

 ミスズは強がっている様だが、心なしかサウナから出たがっている様にソワソワしている。

 一方のメルティーローズも限界を迎えているのがこちらもやはりミスズを見て落ち着かない様子をしている。

 一番先にリタイヤを疑われていたエリスフィーナだが、彼女は汗だくになりながらも平気そうにしておりキョトンとした仕草を見せている。

 これは本人すら知らないがこの異世界に転生する際に女神に付与して貰った病気と無縁な丈夫な身体の効能である。

 熱中症は症状が進むと脳細胞や各臓器に多大な損傷を与えてしまう外傷とも内傷とも言える身体の疾患である。

 前世の彼女が望んだ健康で長生きという願いを叶える為に彼女は死のその直前まで健康体でいられるチートが付与されているのだ。

 ちなみに暑さだけでは無く寒さにも強く、回復不能な低体温症や凍傷にもなる事は無く限界を超えるまでは健康なままであり一線を越えたら死亡してしまうだけなのだ。

 しかし、身体の欠損等が修復される訳では無く怪我や外傷、骨折や内臓破裂か防げる訳でも無く再生される訳でも無い。

 あくまで病気や後遺症等から無縁という話なだけなのだ。

「あの……私、そろそろ限界なので……失礼してよろしいですか?」

 空気を読んで自分から負けを選択するエリスフィーナの声に

「なんだぁ、だらしないねぇ! この程度で音を上げるのかい!」

 ミスズは強がってみせるが明らかに顔にはホッとした笑みが浮かんでいる。

「メルさん、出ましょう?」

 エリスフィーナが隣のメルティーローズに声を掛けると

「……そ、そうね。……行きましょう」

 いつもの様な覇気が無く、明らかに調子が悪そうに見えた。その時


ーズシイイィィン!ー


 サウナ室を出たところでミスズが前のめりに突っ伏したのだった。

「あ、姉御ぉ! どうしたんすかぁ!」

「早く水掛けろ! 身体を冷やすんだよ!」


ーバシャバシャ!ー


 モヒカンとツーブロの二人はサウナ室の外にある水槽から水を汲み、懸命にミスズに水を掛けている。

「ウンディーネさん! メルさんと彼女を助けてあげて下さい!」


ーシュウウゥゥ……ー


 エリスフィーナはサウナ室の外の水槽からウンディーネを呼び出して、突っ伏しているミスズと具合の悪そうなメルティーローズの手当てに当たらせる。

 エリスフィーナが熱中症対応を知っていた訳では無く、とりあえず身体を冷やさなければという直感で行動した結果なだけであった。

 ウンディーネも熱中症対応を知っている訳では無く二人の体内の水の流れと水温を正常に戻す事に注力しただけであったが、結果的にそれが功を奏し二人が熱中症による重症化を招く結果は回避できたのだった。

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