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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 勇者パーティー編

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掃討戦。そして……

 魔王城を出たガルドリック達勇者パーティーは魔族領を横切ってホワイトクラウン王国へ攻め入っているはずの魔王軍の後方を突く作戦を立てた。

その旅の間、一行は姿を消したキリヤ王子を気に掛けていたが、彼が魔王城の地下洞窟の砂地で何者かに襲われていた事など知る由も無かった。

 また、事あるごとにエリスフィーナに嫉妬の感情を露わにしていたマリアリアは、遂にはガルドリックに見限られており、二人の間には精神的なものだけでは無くパーティー内の隊列としても明確な距離が生まれていた。

 そして、彼女のその負の感情はメルティーローズやクレスですら一歩引かせてしまう明確な距離を作ってしまっていたのだった。

 魔族領からホワイトクラウン王国内に入った頃、草原の遥か向こうに地平を埋め尽くす黒い影が見えてきた。

 どうやらそれは魔王軍の殿である様だ。最前線がどうなっているかはここからは推し量れないが、彼等の注意は後方から近付いているガルドリック達には向いておらず、進行方向となるホワイトクラウン王国王都の方角を向いていた。

 そこで、敵との間に距離がある事と敵から気付かれていない事を利用しガルドリック達は作戦会議を立てる事にするのだった。

「さて、皆からは何か提案はあるか?」

 ガルドリックが皆に意見を求める。

「挟撃は考えていましたが……これほど敵の数が多いとなると、ちゃんと作戦を立てなければ全滅ですね」

 賢者クレスが中指で眼鏡のズレを直しながら現状を確認する。

「んな事言われなくても分かるわよ。問題はどう攻めるかなんだから! しっかり考えなさいよね頭脳労働担当!」

 メルティーローズからクレスにツッコミが入れられる。

「私とメルで可能な限り大魔法で敵を漸減するしかないでしょうね」

 クレスの意見は遠距離からひたすら大魔法という賢者と呼ばれる彼の呼び名に疑問符が付く脳筋丸出しな意見だった。少し考えたガルドリックが

「……ファイアーボールを歓談無く撃つ事は出来るか?」

 クレスに大魔法では無く通常魔法を速射する事が出来るかどうか尋ねる。彼は目線をメルティーローズにも移してファイアーボールの速射が可能か問う。

「最初の詠唱は長くなるけど……あらかじめ沢山ファイアーボールを生成すればそれを絶え間なく撃ち込む事は出来るけど?」

 メルティーローズの説明を聞いたガルドリックは分かったと深く頷く。そして

「エリス、君にはサラマンダーを呼び出して貰いたい」

 次にガルドリックはエリスフィーナに火の精霊の召喚を依頼してきた。そして

敵の大集団と自分達の間にある草地の広がる平原を指差しながら

「あの辺り一体を全面に渡って燃やして貰いたい。出来そうか?」

「…………」

 エリスフィーナは森に住まうハイエルフであり植物との親和性は高く、森の精霊ドライアードとは会話も交わせる仲である。そんな彼女に植物を焼き払う事に抵抗が無い訳ではないのだが……

「……分かりました。必要な事……なんですよね?」

 エリスフィーナの問い掛けにガルドリックが大きく頷く。

「俺達の作戦はハッタリと目眩ましになる」

 ガルドリックが話始めた作戦内容はこうだ。まず、サラマンダーによる草地への火付けでガルドリック達の戦力を分からせない様に煙で紛れさせる。その煙に隠れつつ魔術師二人によるファイアーボールの連弾でガルドリック達の戦力を多数の兵団であると誤認させる。

 必要に応じてガルドリックが敵に斬り込みつつ魔王を討ち取った事を大声で触れ回る。

 つまり、挟撃と総大将の討ち死にによる心理的な圧力によって敵軍の崩壊を誘うというものだ。

 作戦は直ぐに実行された。本来なら魔王軍を迎え撃っているホワイトクラウン王国軍と連携が取れれば良いのだが、ガルドリック達は全くの独立戦力だった。

「サラマンダーさん、あの辺りからずーっとあちらに向かって火をつけてきて下さい」

 エリスフィーナが呼び出した火の精霊サラマンダーにやって欲しい事を説明する。

「あぎゃあ!」

 サラマンダーはエリスフィーナの指示に従い勇者パーティーの前面の草地に火をつけ始めた。


ーパチパチパチ……ー


 草原に広がっている草地はあっという間に燃え広がり、辺りは白い煙に覆われ始めた。

「メル、よろしいですか? 敵にファイアーボールを叩き込みますよ?」

 クレスがメルティーローズに確認しつつファイアーボールの火弾を無数に生成し始めた。

「言われなくても! アンタこそファイアーボールはちゃんとバラけさせなさいよ?」

 クレスに言い返すメルティーローズも無数のファイアーボールを準備し始めた。

「…………」

 一人何も指示を受けていないマリアリアは皆をただ見守るのみ……。彼女はこの数日で見違える程に雰囲気が様変わりしていた。


ーバシュッバシュッバシュッ!ー


 準備が出来たクレスが魔物達の群れの頭上にファイアーボールを振り注ぎ始めた。それはまるで多数の魔術師が一斉に火球の魔法を唱えたかの様に。


ードーンドーンドーン!ー


「ギャアアアッ!」

「ブヒィイイイーッ!」

「ウギャアアアアッは!」

 ファイアーボールが当たった魔物達の悲鳴が聞こえてくる。そこで初めて彼等は白煙の向こうから撃ち出された火球に気付いた様だった。

「ギャアギャア!」

「ギャギャアアッ?」

「ギャアーッ!」

 空から降り注いでくる火球を見た魔物達は瞬時にパニックに陥った。今のままでは確実に自分か仲間が死ぬからだ。しかし、密集して進軍していた彼等に逃げ場は無い。進行方向の先では仲間たちが王国軍とぶつかっており、後方からは数が確認出来ない集団がファイアーボールを射掛けてきている。


ードーンドーンドーン!ー


「ギャアアアッ!」

「ギャフッ!」

「ピギィイィィィッ!」

 爆発音の後の魔物達の悲鳴、それが数回続いた時についに決壊が始まった。

「ヒイイイィーッ!」

「ギャアアアーッ!」

「ブヒッブヒィッ!」

 潰走である。魔物達の大半は煙の上がっていない草原の切れ間を目指して雪崩込んでいく。そこはガルドリックが意図的に空けていた包囲の穴であり、その先は魔族領に繋がっていた。

 ごく一部の魔物はガルドリック達の居る場所にやってきたが、それはガルドリックとエリスフィーナによる援護射撃によって危なげ無く退けられていた。

 そんな戦い方を続けていると、自然最前線でホワイトクラウン王国とアトレイス連邦の連合軍と戦っている魔王軍本隊と矛を交えるに至っていた。

 その時点で既に挟撃で崩壊寸前に至っていた魔王軍に継戦能力は無く、魔王の討ち死にを聞いた魔王軍は潰走し魔族領へと引き上げていったのだった。

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