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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 ガルドリック編

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切り拓く未来

「……俺の知っている優しいマリアリアはもう記憶の中だけの様だ」

 ガルドリックは自嘲気味に呟くとマリアリアを無視して大扉の向こうに進もうとする。そんなガルドリックの行動がマリアリアには理由が分からず

「嘘じゃないわ! エリスフィーナさんは助からないし扉の向こうはもう危険なの!」

 さっきと同じ話を繰り返すがガルドリックは深く深呼吸すると

「……俺は嘘が顔に出ると言っただけで君の何が嘘のサインかは言ってない。でも君は同じ事を皆に話すのに仕草を明らかに変えてきた……それが答えだ」

 ガルドリックは悲しそうな哀れみの目でマリアリアを見る。それは深い憐憫の情を込めたやるせない彼の偽らざる本心だった。そして

「メルティーローズ、エリスを助ける。手を貸してくれ! クレスはマリアリアを見張っていてくれ!」

 二人に指示を出し、扉の向こうへと戻っていくのだった。彼のその背中に

「待って! それはたまたまなの! あなたの勘違いよ!」

 マリアリアの叫ぶような懇願の声が投げかけられるがガルドリックがそれに応える事は無かった。

「ガルドリック! 貴方はあのエルフに惑わされてるの! エルフは人を不幸にするって言われてるもの! 私の話を聞いて!」

 マリアリアはさらにガルドリックに叫ぶがその声はただ洞窟内に響くのみだった。



「く、うぅ……!」

 瓦礫を手で掴み落下しないよう抵抗するエリスフィーナの体力も限界に近付いてきた。

 その姿は上から覗き込んだガルドリックからもしっかり見える。ガルドリックはすぐ後ろに居るメルティーローズに

「メルティーローズ、レビテーションは使えるが?」

「出来るけど……ただゆっくり落下するだけよ? 飛べないわよ?」

 レビテーションの魔法が使えるかを確認する。メルティーローズの答えにガルドリックは

「それで良い。直ぐに俺達に掛けといてくれ」

 そう言うとガルドリックは迷う事無く瓦礫を伝ってエリスフィーナの元へと降り始めた。

「ちょっと……! まだ魔法掛けてないのに……!」

 メルティーローズがガルドリックの行動に信じられないと言った態度で呆れつつも魔法の詠唱を始める。

(ガルドリックさん……!)

 必死に耐えるエリスフィーナの目にガルドリックの姿が映り、彼女の顔に初めて安堵の表情が生まれた。

 終わりの無い苦痛は耐え難いが希望が一筋でも差せば話は全く変わってくる。

 もう少しで助けが来る……エリスフィーナが指先に力を込め直し、少しでも這い上がろうと新たな瓦礫を掴もうとしたその時


ーガラアッ!ー


「きゃっ!」

 力を込めすぎた反動かエリスフィーナが掴んでいた瓦礫が無情にも脆く崩れ去った。

「危ねぇ!」


ーガシイッ!ー


 落下するエリスフィーナの目には全てがスローモーションに見えた。掴んだ瓦礫が崩れる瞬間、落下し遠ざかるガルドリックの姿。

 しかしそれらより早くエリスフィーナの腕を掴んでくれたのはガルドリックの大きな手だった。

「そらっ!」


ーグイイッ!ー


「あっ……!」

 彼は瓦礫に足を掛けるだけで両腕を使ってエリスフィーナを一気に担ぎ上げると

「エリス、歯を食いしばれ。こんなトコで終わるんじゃない、しっかり長生きするんだぞ?」

「え……?」

 落下しかけている自分がガルドリックに抱え上げられるのはこれで二度目だった。エリスフィーナがそのデジャブに戸惑い何かを言おうとするが

「うおらああああっ!」


ーブオンッ!ー


 エリスフィーナはガルドリックに力任せに真上に放り投げられた。大扉の出口までなんとか届いたエリスフィーナの腕を


ーガシイッ!ー


「ナイスキャッチィ!」

 メルティーローズがしっかりと両腕で掴む。そのままエリスフィーナは大扉から引っ張り込まれていく。

「メルさん! ガルドリックさんは……?」

 エリスフィーナは自分の無事を安堵するより早く、自身を助けてくれたガルドリックの無事を気に掛けている。

「大丈夫。レビテーション掛けたからじきによじ登ってくるでしょ」

 心配する素振りも無いメルティーローズの言葉を聞きながらエリスフィーナは大扉の端から下を覗き込んでガルドリックを見る。すると……

(良かった……!)

 しっかりとした手つきで瓦礫を登ってくるガルドリックの無事な姿がそこにあった。

「ガルドリックさん! 私は無事です、ありがとうございました!」

 エリスフィーナは身を乗り出して出来る限り両手を伸ばしてガルドリックの助けになろうとする。


ーガシイッ!ー


 エリスフィーナの伸ばした手をガルドリックがしっかりと掴む。

(私も……皆と一緒に……!)

 勇者パーティーに後から参加したエリスフィーナはこれまで新人特有の引け目の様なものを感じてきた。

 しかし、今は違う。皆が自分を救う為に尽力してくれた。そして自分も今、仲間を救う一員として確かに皆の役に立てている。

「ガルドリックさん! 今、引き上げます!」

 エリスフィーナはガルドリックの手を掴んだまま立ち上がりつつ後ろに体重を移していく。

 こうして、ガルドリックを無事に引き上げる事が出来たエリスフィー達は洞窟を抜けて外を目指して上へ上へと目指していくのだった。

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