表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 ガルドリック編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/66

埋め合わせ

「ガルドリックさん! キリヤ王子は通路を破壊して私達を見捨てるつもりです! 私が弓矢で彼の気を引きますからガルドリックさんは駆け続けて下さい!」

 何をすれば良いが確証は無いが、とりあえずキリヤ王子は止めなければガルドリックが助からない。

 エリスフィーナは弓矢を手にするとキリヤ王子に向けて狙いを定める。

 一方のガルドリックもお姫様抱っこで抱えていたエリスフィーナを持ち上げ、彼女が弓矢を引き絞れる位にまで腕の自由が利く体制へと変える。

(キリヤ王子を止めるには……!)

 今のエリスフィーナには彼の暴挙を止められるだけの警告となる正確な一撃を撃たなければならない使命が与えられていた。

(どうしよう……?)

 印象最悪とは言っても同じパーティーの仲間である以上まだ犯罪に手を染めていない人間に矢を射掛けるのは若干の抵抗がある。エリスフィーナが逡巡している間にもキリヤ王子の手は双剣の柄に伸びていく。

(神様……!)


ーピュン!ー


 エリスフィーナは引き絞っていた矢をキリヤ王子に向けて放った。


ーガツッ! ビイィィィン……ー


 エリスフィーナが放った矢はキリヤ王子の双剣の片方の柄を正確に射抜いていた。

 「な、なにをしやがる!」

 今まさに双剣の柄を掴もうと伸ばしていた手を掠める様に射られた矢にキリヤ王子は狼狽してエリスフィーナを怒鳴り散らしてきた。

 しかし、エリスフィーナはそれに答えず

「メルさん! クレスさん! キリヤ王子を止めて下さい! 彼が通路を壊そうとしているんです!」

 一度目はキリヤ王子が何をするのかなど分からなかったから何も出来なかったが、先が分かっていればいくらでもやりようはある。

 既に今の時点でガルドリックは一度目で落とされた地点は越える事が出来ていた。

「くそが! ことごとく俺の邪魔をしやがって!」

 キリヤ王子は自身を抑えに掛かろうとしてきたクレスとメルティーローズを振り払うと一人でさっさと両扉の向こうへと消えてしまった。


ーガシャン!ー


 両開きの大扉が勢いよく閉められる。キリヤ王子の行動はクレスもメルティーローズも唖然とさせていた。そこに

「皆、さっさと脱出するぞ。のんびりしている余裕は無い」

 エリスフィーナを担いだガルドリックがようやく皆と合流できていた。彼の話す通り通路は奥から順々に崩れながら迫っており、うかうかしていたら皆で揃って奈落に落ちてしまう。

 クレスとメルティーの二人が大扉を開けようとするが……

「何これ? 開かないわよ! どうなってんの?」

「これは……何かが閂の様になっていますね」

 二人が扉を押しても引いても大扉は僅かな隙間が生まれるだけで全く開こうとしなかった。

「キリヤ王子、あんたでしょ! 早く開けなさいよ!」

 メルティーローズが扉をバンバン叩いても扉の向こうからの返事は無い。

 そして足止めを食らわされている今も通路は奥から崩れてきており、それはエリスフィーナ達が居る場所へと迫り続けるのだった。



「俺を讃えない現地民共といつまでも一緒にいられるかっての」

 大扉を一人で抜けたキリヤ王子は閂代わりに双剣の一本を大扉の取っ手に通して、一人でさっさと脱出しようとしていた。

 魔王を倒せば後は王国に帰って適当なスローライフでもすれば良いと人生勝ち組と短絡的に考えていたキリヤ王子には勇者パーティーの皆に対する仲間意識等は全く無かった。


ーザッザッザッ……ー


 キリヤ王子がさっきタイラントスパイダーが現れた砂地を地上を目指して歩いていると……


ーズブブッ!ー


「うわっ! な……なんだ?」

 突然砂地に身体が沈み始めた。あっという間に膝上まで身体が沈んだキリヤ王子は既に一人で脱出するのは難しい状態にまで陥っていた。

「くそっ、抜けない!」

 砂地から抜け出そうと悪戦苦闘していたキリヤ王子だが


ーガシッ!ー


「うわっ! なんなんだよ! 何が居やがる!」

 砂地に沈んだ足が何かに咥えられさらに沈み始めた。

「ふざけやがって! 吹っ飛ばしてやるぜ!」


ーキュイイッ……ー


 キリヤ王子は自由の利く両手に魔力を込めると


ーバシュウッ!ー


 足元の砂地に向けて爆裂魔法を放つ。


ードドーン!ー


 砂地に着弾した爆裂魔法は爆炎と砂を辺りにまき散らした。

「な、なんだと……!」

 しかし、爆裂魔法は砂地をほんの少し抉った程度でしかなく、それを見たキリヤ王子が絶望する間も無く


ーズズズッ!ー


「うわあっ! い、嫌だ……助けてくれ!」

 あっという間で胸まで砂地に引きずり込まれたキリヤ王子は両扉すら下に向ける自由すら奪われたまらず仲間に助けを求め後ろを振り返るが


ーガチャガチャー


「キリヤ王子、あんたでしょ! 早く開けなさいよ!」

 閂の掛けられた扉の向こうからはメルティーローズの怒声が聞こえてくるのみ。

「そんなの自分でどうにかしろよ! 早く俺を助けろ!」

 少しずつ沈み続ける身体に焦りながらキリヤ王子は悪態をつく。

「あ、あ……嫌だ! この俺がこんな所で……!」

 ついには顎下まで身体が沈んだキリヤ王子は両腕を動かし必死に抵抗するがついには身体の全てが砂地に埋め込まれてしまうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ