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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 ガルドリック編

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想定外

「エリスフィーナ! 戻れ! お前には危険だ!」

「ダークランス!」


ーシュバアッ!ー


 ガルドリックがエリスフィーナに警告するのと魔王アスモデウスが闇の槍を放ったのはほぼ同時だった。

 

ーギュイイイイッ!ー


 魔王の放った闇の槍は打矢より速くエリスフィーナ目掛けて飛んでいき


ースパアッ!ー


「くうっ!」

 咄嗟に伏せて避けるエリスフィーナのマントを掠めて飛んで行った。

「あの娘がそれほど大事か? 勇者ガルドリックよ」

 魔王アスモデウスはエリスフィーナが闇の槍を避けられた事に安堵した表情を見せたガルドリックに語り掛ける。

「お前との剣戟は我を愉しませてくれるが余計な横槍は無粋だろう?」


ーブウウウウン!ー


 魔王アスモデウスは立ち上がろうとしているエリスフィーナに向けて闇の魔力を放つ。


ービシッ!ー


「あうっ!」

 両手両足首が黒いリングで拘束されたエリスフィーナは十字架への磔のポーズでそのまま空中に持ち上げられた。

「勇者ガルドリックよ。娘を助けたくば我と一騎打ちを行い見事打ち倒してみせよ!」

 魔王アスモデウスはガルドリックに大剣の切っ先を向けて一騎打ちを迫ってきた。そして人質を取られてしまったガルドリックにそれを拒否する選択肢は無かった。

「皆、お前達は手を出すな! 魔王とは俺が決着をつける!」

 ガルドリックは後方の仲間達に手を出さない様に指示を飛ばす。

「うおらあっ!」


ーガギイィィン!ー


 ガルドリックは直ぐ様魔王アスモデウスに打ち込みを始め、振り下ろしからの斬り上げ、袈裟斬りからの横薙ぎ、隙を見計らっての突進からの突きなどあらゆる方向からの斬撃で魔王を圧倒していく。それは円形広場の上空で張り付けにされているエリスフィーナから見ても明らかだった。

「ガルドリックさん、頑張って……!」

 何も出来ないエリスフィーナだが、ガルドリックに随伴させているウンディーネには何もさせていない。

 ウンディーネは水を操る事が出来、エリスフィーナが魔力を供給すれば氷系、雷系の攻撃へも発展させる事が出来る。

 しかし、ガルドリックからは手を出さない様に厳命されている以上、エリスフィーナはウンディーネに何をさせる訳でもないまま彼の無事と勝利を願うのみでしかなかった。



 一方、後方で待機を指示された勇者パーティーの後衛メンバー達だが、こちらもガルドリックに言われるがまま戦況を見守るに留めていたが……

「クレス、メル! どうにかしてガルドリックの援護は出来ないの?」

 一人で戦うガルドリックを後ろから見守るマリアリアは仲間の二人に焦った口調で問い質す。

 メルティーローズは引き続きマジックシールドを展開させており、魔王アスモデウスの動きに注視している。

「ガルドリックからは手を出すなと言われています。それにあれをご覧下さい」

 クレスは焦るマリアリアを諭す様に魔王の方向を指し示す。

 ガルドリックと打ち合う魔王アスモデウスは押され気味に打ち込まれているが大剣は相変わらず片手で扱うに留めている。

 フィジカル上片腕で事足りるとしても重量級の大剣を片手のみで扱い続けるのは舐めプ以外の何物でもない。しかし、舐めプで追い込まれているなら本末転倒だ。

「魔王がどうしたのよ?」

 マリアリアは意味が分からないらしくクレスに尋ね返すと、クレスは中指で眼鏡のズレを直しながら

「左腕は恐らく保険金、私達がおかしな動きを見せれば魔法なりで攻撃してくる事でしょう」

 クレスは魔法が両腕を使わないのは自分達への即応の一手を残している証左である事をマリアリアに説いた。もし、後方から魔王に攻撃を加えるのだとしたらガルドリックに被害を出さない魔法を正確に魔王に当てなければならないと……。

 二人の熟練者が斬り合う中後ろから魔法で狙撃するのは難易度が高い。それもガルドリックにフレンドリーファイアしない様にとなるとそれは実質不可能に近い。

「魔王がエリスフィーナさんを拘束しているのも彼女を脅威と見たからでしょう。一騎打ちを持ちかけたのもその方が勝算が増えるからです」

 つまりは八方塞がりという事になるのだがマリアリアの思考は別の所にあった。

(なんであの子が人質に……! そしてどうしてガルドリックは一騎打ちを受け入れたのよ!)

 マリアリアは人質となったエリスフィーナ、そしてそれを脅しに一騎打ちを持ちかけた魔王アスモデウス、そして脅しに屈して不利になる一騎打ちを受け入れたガルドリックに対する黒い感情が渦巻いていた。

 決して自分が人質になりたかった訳では無いが、自分を救うために愛する人が命を賭ける……そんな、女の子であるなら誰もが憧れる様な状況にあるエリスフィーナに対する嫉妬の感情に支配されつつあった。その時


ーバリイィィン!ー


 皆の後ろから金属が砕け散る高い破断音が聞こえてきた。

「ふぅ、やっと解放されたぜ。ようやく真打ちの出番って訳だ」

 キリヤ王子が両腕を擦りながら首をコキコキさせて悠然と皆を押し退けて前へと進み出てきた。

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