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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 ガルドリック編

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隙の生じぬ

 相変わらずの地下通路を先頭で歩いていたエリスフィーナだが、段々と慣れが生じ始めていた。

 決して油断している訳ではないが、環境音が聞こえたとして深く思案せず、先に進むスピードを優先する様になっていた。

 これは後ろで魔法探知を行っているクレスが居るという安心感。すぐに助けてくれる仲間がすぐ後ろに控えているという信頼感が確かなものとなったからというのがある。

(あれは……?)

 洞窟の遥か先に見えてきたのは両開きの大きな扉だった。ようやく目的地に着いたとエリスフィーナの足がさらに速まったその時


ーザズッザズッザズッ……ー


 足元の感覚が岩場から砂地に変わった感触が伝わってきた。 速度を緩めながら辺りを見てみると辺りの地面が完全に砂地になっていた。

 両親からの教えでは洞窟の性質に関する事までは教わっていなかった……が、違和感を覚えたらすぐに逃げろとは聞いている。

「皆は……?」

 後ろを振り返って見てみるが、後ろから付いてくる勇者パーティーの皆は誰一人として何も変化が無い。考えすぎかとエリスフィーナが再び前を向いたその時


ーズザザザザザザアーッ!ー


「きゃっ!」

 突然地中から何かが盛り上がり始め、エリスフィーナは盛り上がった地面から転げ落とされてしまった。

「くぅ……」

 何回も後転する位の高さから転がされたエリスフィーナは軽い打ち身程度で済んだが、急に回転させられた影響か頭がやや働いていなかった。そんな彼女の耳に

「早くそこから離れろ!」

 前から響くガルドリックの叫ぶ声と

「マジックミサイル!」


ーシュバババッ!ー


 メルティーローズの放った緑色の飛翔体が頭上を通り過ぎて後ろに飛んでいく。

どうも転がった影響で逆を向いている様だ。エリスフィーナが位置確認の為に後ろを振り向くとそこには

「シャアアアアッ!」


ーズシンズシンズシン!ー


「ひっ!」

 長く角張った脚に異様に大きくそして丸い砂を被った茶色い胴体。こちらを見る赤く鈍く光る多数の単眼に大きく開いた不気味な口……。

 それはエリスフィーナが初めて見るタイラントスパイダーと呼ばれる土蜘蛛の上位魔物だった。

 その本能に揺さぶりかけてくるかの様な恐怖と威圧感にエリスフィーナは腰が抜けて立てなくなる程に恐怖を覚えていた。

「早く立て! 離れろ!」

 ガルドリックが叫びながら大剣を構えて突っ込んでくる。エリスフィーナも立ち上がり彼等の元に駆け出した。

 メルティーローズのマジックミサイルのおかげでタイラントスパイダーは怯んだらしく、エリスフィーナが逃げ出す時間を稼いでくれた。

「はあっ……はあっ……!」

 砂地に足を取られながらもエリスフィーナが何とかガルドリックの助けが届く場所に入ろうとしたその時

「え……?」

 こちらを見るマリアリアの口元が……その口角が一瞬上がった様に見えた。こちらを見るその目は汚らわしいモノを見るような蔑んだ冷たい視線……エリスフィーナがその表情を見たその瞬間

「ホーリーウォール!」


ーパアアアアアッ!ー


 光の壁がエリスフィーナとガルドリックを隔てる様に展開された。


ードンッ!ー


「あぐっ!」

 駆けていたエリスフィーナは止まれずに光の壁にぶつかった。

「ぐうっ!」

 一方のガルドリックも光の壁に阻まれエリスフィーナへの援護が出来なくなってしまった。

「壁を解いて……! 助けて下さい!」

 エリスフィーナは光の壁を叩いて魔法の解除を懇願する。

「マリアリア、何をしている! 魔法を解け!」

 ガルドリックも後ろを振り返ってマリアリアに指示を叫ぶ。

「そこに壁を張らなければ私達も危ないんです! 大魔法の準備が出来るまで解除は出来ません!」

 マリアリアか光の壁を張ったそこは砂地と岩場の境界線だった。地中を移動出来るタイラントスパイダーと言えど岩場を潜るのは難しい。

 地中からの奇襲の可能性を考えるなら光の壁をそこに張るしかないのかもしれないが……

「だからってエリスを見殺しにする気かっ!」

「エリスフィーナさん、 時間を稼いで下さい。 それしか方法はありません」

 マリアリアはガルドリックの叫びには答えず代わりにエリスフィーナに指示を出した。しかし、その声には恐ろしい程に抑揚が無かった。

「そ、そんな……」

 たった一人でどう戦えば良いのか……恐怖で思考が止まりながらもエリスフィーナが震える手で近付いてくるタイラントスパイダーの眼に狙いを定める。


ーピュン!ー


 放った矢は動くタイラントスパイダーの脚に弾かれ命中しなかった。エリスフィーナは続いて二の矢を番えようとするが、恐怖で手が震えてうまくいかない。その時

「エリスフィーナ! 精霊だ! 水の精霊に助けて貰え!」

 光の壁の向こうからガルドリックの指示が飛んできた。彼は光の壁を叩きながらエリスフィーナに的確に指示を飛ばしてきた。

「ウンディーネさん、私を助けて……!」


ーシュウウウ……ー


 エリスフィーナが腰の革袋から呼び出したウンディーネは間近に迫るタイラントスパイダーとエリスフィーナの間に水の壁を生成したのだった。

 水の壁は質量があり、物理的な攻撃にもある程度耐える事は出来る。だが、依代となる水の量、術者の魔力、精霊との信頼度等もある為光の壁程の頑強さはエリスフィーナの水の壁には無い。

 おまけに通路全域をカバー出来る範囲で壁を張れる訳でも無いのだ。


ーバシン! バシン!ー


「……ふぅ」

 それでも何度かタイラントスパイダーの突進を水の壁が阻み、エリスフィーナがホッと胸を撫で下ろした直後

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