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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第一章 ガルドリック編

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34/53

 エリスフィーナを先頭に地下へと降りていく勇者パーティー一行だが、地下に降りる根拠はあまり無かった。ラスボスが地下迷宮の奥で復活を待つというのは異世界ファンタジーのお約束とは言え、それは始まりの村の近くの祠にラスボスが封印されていたでは物語が成り立たない為であって、そんな人間側の事情を汲む必要の無い魔王はわざわざ地下に居なくても何も困らない訳で。

 この異世界に極大破壊魔法はあってもバンカーバスターの様な地中貫通兵器がある訳でも無く、わざわざ地下に潜る必要などは無い。

 そんな中、ガルドリックが地下へと続く道を選択させているのは、あまりに地上階が静かである事は無関係では無かった。

 勇者相手に魔王が及び腰になるとは考えにくいが、空間が限られる上階よりはいざとなれば脱出路も儲けられる地下の方が待ち受ける側としては有利だろうと判断しての選択だった。

 実際、地下へ通じる通路にはそれなりの広さがあり、巨人族やグリフォン、マンティコアと言った魔物位であれば楽々通れそうな広さがあった。

 通路はいつしか螺旋状洞窟の下り坂くへと変化してきており、その規模からもいよいよかという雰囲気が漂ってきていた。

 長い螺旋状の下り坂がなだらかになったところで、奥へと続く長い通路が現れた。

 洞窟の中は不思議な明かりが灯されており、明確な光源こそ見当たらないもののぼんやり薄暗い程度の視界は確保されていた。

(一本道……、周りに側道は無い……ですね)

 以前のゴブリンに襲われた洞窟での出来事を反省したエリスフィーナは周りに人一倍警戒していたが、異常は何も感知されずにいた。その時

 周囲に魔力を放出して魔力探知していたクレスが

「エリスフィーナさん!そこから下がって! 高魔力反応があります!」

 賢者クレスから彼らしくない叫ぶような警告が発せられると同時に


ーシュウウウン……ー


 エリスフィーナの足元に円形の魔法陣が出現した。慌ててバックステップで飛び退いたエリスフィーナを囲む様にして現れたのは多数の豚頭の人型の魔物達、オークロードの集団だった。

 魔法陣で召喚されたオークロード達は直ぐ様我に返りエリスフィーナに襲い掛かろうとした。

「プギィーッ!」


ードスドスドス!ー


「ピギャアアアアッ!」

 しかし、十分に距離を空けていたエリスフィーナの弓矢での速射によりオークロードの一体はあっという間に多数の矢に射抜かれて血だるまに成り果ててしまった。

 オークロード達はこの魔法陣の為に特別に用意されていていた訳では無く、オークロード中から無作為に抽出されて本人の同意無しに転移させられて来たのだろう。

 そう思える位にはオークロード達の戦意は低く、即応性にも判断力にも欠けていた。そんな集団相手だから

「うらあっ!」


ーズバアッ!ー


「ギャオオオッ!」

 すぐにエリスフィーナの元へと駆け付けたガルドリックの大剣と

「マジックミサイル!」


ーシュパパパッ!ー


「ギャアアアッ!」

「ピギャアアッ!」

「ブヒィイイイーッ!」

 メルティーローズのマジックミサイルによって瞬く間に排除されて終わったのだった。

「クレスさん、ありがとうございます。助かりました」

 戦いを終えた皆の中、エリスフィーナが探知魔法での手柄を立てた賢者クレスに頭を下げる。

「いえいえ、貴女が前に出て警戒されているから私も魔法を使う余裕が出来たのですよ」

 賢者クレスも頭を下げるエリスフィーナに眼鏡のズレを中指で直しながら謙遜してみせた。

「ここからも何か仕掛けがあるかもしれん。気を付けて進もう」

 ガルドリックが気を引き締めて先へ進もうとしたところ

「エリスフィーナさん、引き続き斥候役お願いね?」

 マリアリアから最前戦での偵察を指示されエリスフィーナは

「は、はい!」

 二つ返事で勇者パーティーから離れ洞窟を奥へと歩き始める。

 「……このまま彼女に先頭を任せるのか?」

 少し気になったらしいガルドリックがマリアリアに尋ねるが

「魔王が居そうな所まではお願いしましょう。何かあってもさっきみたいに対応すれば平気でしょう?」

 彼女はあまり真剣に取り合おうという雰囲気は感じられず、楽観的というより希望的観測に則った意見を述べている様に見えた。

 確かに物理的に潜んでいる相手であればエリスフィーナ以上に鋭敏な者は居ない。

「相互連携出来る位置を維持しながら進むぞ!」

 ガルドリックが皆に指示を飛ばす中、最後尾を歩いていたキリヤ王子は

(もう少し……もう少し……)

 魔導拘束具を金属疲労で破壊しようとしていた。そしてその反復作業にようやく光明が見え始めてきた頃だった。その時


ーピシッ!ー


 絶え間ない魔力の出し入れによって、金属製の拘束具からようやく破断音が聞こえてきたのだった。

(見てろよ……今に吠え面かかせてやる……)

 戦闘に参加する気が全くないキリヤ王子は引き続き魔導拘束具の破壊に全力を尽くすのだった。

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