表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/24

いつもの

 とりあえず冒険者ギルドでの冒険者登録を終えたエリスフィーナが次に連れられて来たのは街の雑貨屋だった。

 彼女は火起こしセットやら旅人用のマントやら木製の皿とカトラリーセット等、冒険者が野外で過ごす際にあると便利な物をエリスフィーナに次々と買い与えていった。

「メルティーローズさん、あの……」

 たまらず恐縮して何かを言おうとするエリスフィーナだが、

メルティーローズは

「先輩の言う事は大人しく聞いとくものよ?」

 強引な先輩風を吹かせる事でエリスフィーナを黙らせてしまうのだった。

 買ったものを道具袋に詰め雑貨屋を出た二人が次の店に向かおうと街の大通りを歩いていると

「おう、お嬢さん方。ちょっと俺達と付き合って貰おうか」

 冒険者風の男達が五人、エリスフィーナ達二人を取り囲む様に近付いてきた。

「なーに、あなた達。人さらいかしら?」

 メルティーローズが魔術師の杖に魔力を込めながら男達に尋ねる。

「人聞きが悪いなぁ。良い仕事があるから紹介してやろうってんだよ」

「そうそう。そのエルフならしっかり稼げるぜ。へっへっへ……」

「もちろん、俺達にも紹介料払って貰うけどな。大金稼げるんだから悪い話じゃねぇだろ?」

 そう話しながら俺達はジリジリと包囲を狭めてくる。

「お生憎だけど、私達は別の仕事の途中なの。掛け持ちしてる余裕なんか無いわ」

 答えるメルティーローズに焦りなどは無く、大の男達五人を前にしても平静そのものだった。一方のエリスフィーナは不安そうに彼女に寄り添っている。

「そう言うなよ。簡単に金が手に入るっつってんだからよ」

 エリスフィーナ達の正面に立ちはだかるスキンヘッドの髭面大男がニヤニヤしながら近付いてくる。

 それに合わせて周りの男達も包囲を詰めてくる。その時

「それ以上近づいたら痛い目見るからね!」

 メルティーローズが警告を発した。おそらく今の間合いが彼女にとって安全に魔法を行使出来る最低限の距離なのだろう。

 エリスフィーナも自分に出来る事を考えるが……剣や蹴りでの接近戦か精霊魔法……今なら屋外だから風の精霊シルフか、ゴブリン戦の時にも呼び出した水の精霊ウンディーネか。

 しかし、メルティーローズに確認せずに行動するのは彼女にとっての不測の事態を招いてしまうかもしれない。

「我に集いし魔力よ、我が敵を打ち払え……」

 メルティーローズが短く呪文を詠唱すると緑色に光る魔力の球体が杖から放たれ、フワフワと彼女達の頭上に上がっていく。そして

「マジックブリッツ!」


ーズバババババッ!ー


 頭上の球体から斜め下方に向け全周に渡って無数の魔力の弾丸が撃ち下ろされた。

「く、くそっ!」

「ぐわあっ!」

「いでででっ!」

「おわあっ!」

「あがががっ!」

 魔力の弾丸の連射をその身に浴びた男達はリーダー格の髭面スキンヘッド男を除いてその場で悶え始めた。

「くそっ、やってくれるじゃねぇか……」

 両腕で魔力の弾丸を防いだスキンヘッド男に大したダメージは通っていない様に見えた。

「この頑丈ゴリラ……! やってくれるじゃない!」

 メルティーローズが悪態をつく。しかし、完全な間合いに入られた彼女に次の魔法を放つ距離的余裕は無いかに見えた。男がメルティーローズを直接手に掛けようと手を伸ばしたその時

「はっ!」


ーバシッ!ー


「私が時間を稼ぎます!」

 エリスフィーナがメルティーローズを庇う様にして二人の間に割って入った。エリスフィーナは男の腕に上段蹴りをきめており、男が痛みで腕を引く位の打撃は与えていた。

「くそっ、小娘の分際で小癪な真似をしやがって……」

 男が腕を痛がりながも、エリスフィーナを捕まえようと再度

腕を伸ばしてきたその時だった。

「おっさん達、その辺にしときなよ」

 大男の背後……少し離れた大通りの真ん中から少年の声が聞こえてきた。

「キリヤ……! アンタ、どうして……?」

 メルティーローズが意外そうな声を上げた。大通りの先でこちらに声を掛けてきたのは黒髪全身黒ずくめのキリヤ王子だったからだ。

 彼はエリスフィーナ達が出てくる時にはソファーで寝ていたハズだが……しかし、そんな事を考えている間も無く

「ゴロツキなんか懲らしめてやんなきゃなぁ

!」


ーシュウウウゥ……ー


 キリヤ王子の翳した右手には見る間に強大な魔力が集められ火球が形作られていく。

「ちょっとぉ! 街中でそんな魔法使ったらどうなるか……!」

 辺りに熱風を撒き散らしながら大きく膨れ上がっていく火球にメルティーローズは途中まで言い掛けた言葉を止めて魔法の詠唱に入る。

 今の状況はエリスフィーナから見ても危険な状況である事に違いは無かった。

 キリヤ王子は巨大な火球を放つつもりであるのは間違い無いが、それが撃たれればゴロツキ達はおろかエリスフィーナ達まで巻き添えになってしまう。

 それを察したメルティーローズはそれを防ごうと魔法を唱え始めたみたいだが……エリスフィーナも自身に出来る事は何かと頭をフル回転させて考える。

「こうなったら……!」

 エリスフィーナも腰元の革袋に手を掛けてキリヤ王子の魔法に対処すべく行動を始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ