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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第三章 魔法学院編

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異世界の保健の先生

 ガートルードに連れられたエリスフィーナは彼女と一緒に学院校舎の共用棟の廊下を歩いていた。

 男女別で教室が分かれているとは言え、男子校女子校と明確に分かれている訳ではない。

 職員室や食堂、各種実習室や図書室等は男女で共用なのだ。エリスフィーナ達が向かっているのはそんな共用棟の中にある保健室だった。

 入学した時にミリア先生から一通りの説明は受けていたものの、これまでお世話になった事は一度も無かった。

 実際に来るのも初めてなエリスフィーナが辺りをキョロキョロと見回していると

「ここね。エリスフィーナさん、入りましょう」


ーコンコンー


「失礼します。一年二組ガートルード・レイノア・ローランドです。実習場で怪我人です」

 ガートルードが保健室の戸を叩き、用件を告げて中からの反応を覗っている。すると

「今、開けます。詳しい話を聞かせて下さい」


ーガララ……ー


 返事と共に保健室の引き戸が開けられると中から白い法衣を着た優しげな表情の男性が現れた。

「あ、あの実習の授業中に怪我をした人が出てしまいましてミリア先生から保健の先生を呼ぶ様にって……」

 ガートルードが状況を掻い摘んで説明すると

「使用していた魔法は? まさか火属性ですか?」

「い、いえ……無属性のマジックブリッツでしたけど……」

 怪我の原因となったであろう魔法の種類を聞いた保健教師は戸棚から救護箱の様な箱を魔法で浮かせ手元まで呼び寄せると

「それでは案内して下さい。え〜と……」

「一年二組のガートルードです」

 保健教師はガートルードの名前を確認し咳払いをすると

「私は保健教師のマシュー・ジョーンズ。改めまして宜しくお願いします」

 グレーの長髪を後ろで一つに纏めた頭を下げて保健教師マシューが挨拶する。

(クレスさんに……どこか似てるかも)

 すっかり会話から外れてしまっていたエリスフィーナは一人で取り留めのない事を考えていた。

 こうして保健教師マシューと共にエリスフィーナとガートルードの二人は実習場へと大急ぎで戻るのだった。



 実習場に戻ったエリスフィーナ達を待っていたのは、さながらトリアージの実践場を思わせる様な野戦救護所か災害現場を思わせる様な、怪我人が痛みに泣き騒ぐ地獄絵図だった。

「痛い! 痛いよママ〜!」

「早く私を手当てしなさいよ〜! パパに言いつけてやるんだから!」

「ち、血がぁ〜! 私の美しい顔が〜!」

 しかし、傍目には重症者が大量に出ている様には見えず、出血に慣れていない女生徒達が必要以上にドッタンバッタン大騒ぎしているだけにしか受け取れなかった。

 そんな地獄絵図を前にしたマシュー先生は

「親愛なる全能の女神レア様、かの者達に平静と安らぎを……」

 直ぐ様、神聖魔法による女神を讃える詠唱を始めていた。更には指先に白い光を集めると、それらで目の前に魔法陣の様な模様を描き出し空中に浮かび上がらせていた。

「ヒール!」


ーパアアァァ!ー


 マシュー先生が発動させたヒールはエリスフィーナが知っている回復魔法と名前こそ同じだが、マシュー先生の目の前に設置された魔法陣から放たれた光が実技場に横たわる女生徒達を一斉に照らしていく。

「ま、ママー! ……あれ? 痛くない」

「血が……傷が塞がった……?」

 さっきまで大騒ぎしていた女生徒達が潮目が変わった様に一気に静かになっていく。

「ミリア先生、重症者はそちらですか?」

 大多数の女生徒達を静かにさせたマシュー先生が、一人の女生徒に付きっきりになっていたミリア先生に声を掛ける。

「マシュー先生か、済まないが代わってくれ。私のリカバリー程度ではどうにもならん」

 ミリア先生は倒れている女生徒に魔法を掛けながらマシュー先生に対応を引き継ぐ。

「これは思ったより重症ですね。とにかく出来る事はしましょう」

 マシュー先生は一言二言女神への祈りの言葉を呟くと神聖魔法のヒールによる治癒に入っていく。

しかし、マシュー先生による神聖魔法での治療が続けられるものの女生徒の青白くなっている肌はそのまま変わらずに居た。

「すみませんが、皆さんで女神様にお祈り頂けますか? 私一人で祈るより皆さんでも祈って頂けたら女神様もお聞きになられるかもしれません」

 マシュー先生からの提案に女生徒に寄り添っていたガートルードはキョトンとしながらも頷くと彼女は女生徒の手を握りながら女神へ祈りを捧げ始めた。

(せ、精霊神様……どうか私のクラスメートの方をお救い下さい。森から離れてますし彼女は人間ですけど……どうか……どうかお救い下さい)

 女神に祈る様に言われたエリスフィーナだが、彼女が信仰しているのは地元の里に祀られている精霊神である。

 そこまで信心深い訳では無いが、ノリ

と勢いで他所の神様に鞍替え出来る程、エリスフィーナは無節操では無かった。

 しかし、なまじ精霊神の声を実際に聞いた事があるだけにこんな離れた場所から自分の声が髪に届くのかと半信半疑ではあった。

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