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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第三章 魔法学院編

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的当て授業

 魔法学院の授業内容は勿論魔法に関する内容が基本となるが、四大元素魔法を覚える前に全ての基礎となる無属性魔法を習得するのが第一歩となる。

 体内の魔力を集中して結集化、それを飛ばす事が出来てようやくスタートラインに立てたと言えるのだ。

 魔法を扱える事が前提のローランド王国の貴族であればこの辺りは出来て当然位の常識である為、物好きな商人の子弟等でなければ改めて授業でみっちりやる内容では無い。

 しかし、クラス内には魔法が初めてという者が決して少なくなく、どうしてもクラス全体としても基礎から授業しなければならないのである。

 入学から一週間、ひたすら魔力を集中させて結実化させる授業をしてきたミリア先生のクラス一同が、初めて校庭にて実技授業を行う日がやってきたのだった。



 ミリア先生に先導されてクラス全員で移動している最中

「あ〜、無属性魔法の的当てなんてお子様のお遊び同然よね〜。こんなのも出来ないなんて恥ずかしくて学校来れないんじゃないかしら〜?」

 イザベラが取り巻きを引き連れながら大きな声で周りにマウント圧を撒き散らしていた。

(…………)

 エリスフィーナの長い耳には聞きたくなくてもイザベラはおろか取り巻き達の陰口までしっかり聞こえてしまっていた。

 一方、うんざり気味のエリスフィーナとは違い前を歩くガートルードは少し浮かない表情をしていた。そんな彼女の様子が気になったエリスフィーナが

「ガートルードさん、どうかされました?」

 気遣って声を掛けてみると

「あの……今日が本番だと思ったら不安になっちゃって……」

 努めて明るく振る舞うガートルードからの返事が返ってきた。

「大丈夫ですよ。先生も皆が魔力の結実が出来てるって言っていたじゃないですか。後は飛ばすだけみたいですし……」

 魔法は魔法でも無属性魔法が初めてなエリスフィーナだが、ガートルードを元気付ける様に励ましの言葉を掛ける。

 魔力の集中そのものは精霊魔法でもやっていた為、その辺りは若干エリスフィーナに一日の長はあるがそこから先は全くの初心者である。

 彼女自身ガートルードを気に掛けていられる程の余裕がある訳では無いのだが、王女の護衛役としてはガートルードを放っておく訳にはいかない。

「それに……的当てって言っても最初から上手く当てられる事なんて期待されて無いはずですよ? 弓矢での練習の時もそうなんですから。自分の癖を見つけてそれを直していけば良いんですから、皆同じです」

 エリスフィーナは自分が得意としている弓矢に準えてガートルードを励ます事にした。少し自身はないが今の彼女に自説を補強する方法はこれしか無かった。そんなエリスフィーナに

「そうね……。せっかくの実技ですものね。実のある授業にしましょう」

 にこやかに応えた。どうやらエリスフィーナの励ましで少しは気が楽になったらしい。

 王女と言う事で余計な気負いがあったものの、エリスフィーナも自信がない事を抱えている事が分かって安心出来たのだろう。

(元気になったみたいで良かった……)

 校庭へ移動をしながらエリスフィーナはガートルードの気を紛らわせる事が出来て一人安堵するのだった。



 校庭の一角に設置されている的当て場は背後が硬い壁でガッチリと護られている場所に円形の的が並んで設置されている射撃場の様な施設だった。

 五つ並んだ的の前に五人の女生徒達が対面する。距離は大凡五十メートル程、もちろん異世界なので距離の単位は独自のものとなる。


ーズズズズズ……ー


 ミリア先生が土魔法にて的の後ろの壁との間の地面を盛り上げて土嚢の様にして流れ弾へのクッションとして生成する。

「よーし、これで幾らでも的を外して構わんぞ! さぁ、気楽に撃ってみろ!」

 並んでいる女生徒達はいずれも魔法初心者でありお互いに辺りを見合っている。すると

「射撃第一列、休め!」

 ミリア先生が的を前にした女生徒達に休めを指示する。訳も分からず女生徒達が其々楽な姿勢に移る。

「右手で目標に構え!」

 ミリア先生は自分でも右手を的の方向に翳して見せ、女生徒達に手本を見せる。

「こ、こう?」

「さぁ……?」

 見様見真似で手を的に向けた女生徒達はお互いに顔を見合わせて首を傾げている。

「よーし、魔力溜め!」

 ミリア先生の次なる指示は魔力の集中だ。この辺りまでは教室でも毎日やってきた事で


ーシュウウウゥゥ……ー


 どの女生徒も問題なく右掌に魔力を結実させていく。魔力が結実し緑色の光を放っているのが周りで見学しているエリスフィーナやガートルードからも確認出来た。後は集中した魔力を的に向けて撃つだけとなるのだが……

「次は詠唱だ。わが魔力よ、的を撃て……と魔力に念じながら詠唱してみろ。射撃準備が終わる」

 ミリア先生に教わるがまま女生徒達が短い詠唱を終える。

「最後が実際に魔法を放つトリガーとなる。マジックブリッツと名前を口にしろ」

 魔法の最後の締めとなる魔法の名称を女生徒達が半信半疑ながら口にすると


ーバシュウッ!ー


 翳した右手に結実していた魔力の塊が右手から放たれ一直線に的へと向かっていき


ーザシュッ!ー


 女生徒達が放った魔力の弾丸はいずれも的には当たらず土壁に当たって破裂する結果に終わっていた。

「この魔法がマジックブリッツ、無属性無誘導の初級魔法だ。皆成功だ、よくやった。次は二列目のお前等だ」

 ミリア先生は魔法が的に当たらなかった事は特に気にしていないのか、皆が魔法発動を成功させていた事を労うのだった。

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