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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。  作者: 大鳳
第二章 勇者パーティー編

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入学準備

 晩餐会から一夜開けて、エリスフィーナ達勇者パーティーの四人は普通に街の宿屋でヴァイス達と共に爽やかな朝を迎えていた。

 昨日の煌びやかな晩餐会場が夢だったのかと勘違いする位の落差だが、昨日の出来事は紛れもない事実であった。

 今日のエリスフィーナはガルドリックと共に魔法学院の制服の採寸の為に王都の仕立て屋に向かう事になっている。

 異世界に学校があるのも珍しい話だが、学生全員が同じ制服を着用するのは様々な身分の貴族の子弟や息女が集まる空間故の策だった。

 貴族の子供達は互いの持ち物や衣服ですぐに優劣をつけたがってしまい、服装を自由とさせるのはいらぬ軋轢を生んでしまうだけなのである。

 朝食を終えた後、訓練場に行くヴァイス達をメルティローズとクレスの二人に任せたガルドリックとエリスフィーナはガートルード王女から聞いていた街の仕立て屋に向かい街の目抜き通りを歩いていた。

「エリス、俺達はこの街で暮らしていく訳だから……いつまでも宿屋暮らしという訳にもいかないと思うんだ」

 並んで話すガルドリックの話にエリスフィーナはじっと耳を傾けている。

「いくら仕事とは言え、魔法学院に通う君にも通学生活するのに拠点は必要だろう?」

「は、はぁ……そう……なんでしょうか?」

 通学や集団生活の経験の無いエリスフィーナには学院での生活などまるで見当が付いていない。

「仕立て屋の後で街の商人ギルドに行こうと思うんだ。そこで手頃な空き家が無いか確認したい」

 ガルドリックはエリスフィーナが魔法学院に通学するのを契機として、このセレスティアに拠点を構え新人冒険者を手助けするクランを作るつもりであるらしい。

「君は魔法学院でガートルード王女の護衛と自身の勉学に専念してくれれば良い。冒険者としての仕事は俺達が処理する」

 そこまでガルドリックが語ったところで二人は目的の仕立て屋の前に到着していた。


ーカランカラン……ー


 ガルドリックがドアベルを鳴らしながら店の扉を開けると

「いらっしゃいませ」

 店主が穏やかな声で話し掛けてきた。後に付いて店に入ったエリスフィーナを見た彼は

「ガルドリック様にエリスフィーナ様でいらっしゃいますね? お話はお伺いしております。どうぞこちらへ」

 メジャー片手に鏡の前に来る様に話し掛けてきた。思わずガルドリックを見るエリスフィーナだが、彼は行ってこいと目で合図するだけだった。

「は、はい。失礼します」

 エリスフィーナは慣れない様子で鏡の前のスペースに移動する。

「すみません。鎧等の装備品はそちらの棚にお願いします」

 店主は採寸に必要の無いプレートアーマーを脱ぐように話してきた。店が高級衣類店だけあって鎧を着たまま来店する客は少ないのだろう。

 店内には貴族が着用する豪華なコートやジャケット等が木製の人形に着せられディスプレイされている。少なくとも冒険者が鎧の下に着る様な服は見当たらない。

(あれ……?)

 人間社会に疎いエリスフィーナの目にブレザーの様な男女一組にディスプレイされた制服のモデルが留まった。

 森暮らしのハイエルフな為、魔法学院の学生服など見た事が無いはずなのだが……

(あれ……?)

 心の中に不思議な感情が溢れ、何故か目に涙が溢れてきた。ずっと焦がれていたモノが近くにある様な……。

 そしてその気持ちは制服を着た姿を両親に見て貰いたい不思議な感情に繋がっていた。

「お、お客様? どうかなされましたか?」

 採寸に取り掛かろうとしていた店主が涙を流していたエリスフィーナにハンカチを差し出してきた。

「あ、す……すみません。なんだか……感激してしまって……ごめんなさい」

 エリスフィーナは店主から差し出された綺麗なハンカチを受け取り涙を拭く。

「はい。大丈夫です。採寸は終わりです」

 学生服の採寸は終わった様だ。エリスフィーナが受け取ったハンカチを手にそれをどうしたら良いのか戸惑っていると

「そちらのハンカチはそのままお使い下さい。制服の出来上がりには三日程頂きます。その後でお越し下さい」

 予定を伝えられながらエリスフィーナは鎧を着用しそのまま仕立て屋を後にするのだった。

 帰り際にディスプレイされている学生服を見たエリスフィーナは

(ママとパパにも……見て貰いたいな……)

 図らずも自分にとって訪れた節目の機会を両親に見せてあげられたら……と思うのだった。

 しかし、エリスフィーナの故郷は遠く離れたエルフの里、入学式まであまり間もない現状ではそれは叶わない願いだった。



 制服の手配を済ませた二人の次の目的地は街の商店についてを取り仕切る商人ギルドだった。

 冒険者にはあまり縁が無い業者だが、冒険者を引退して商売に手を出す時など都市部で暮らしていくなら繋がりは持っておいた方が良い互助組織である。

「あ、あの〜……商人ギルドってどんな感じなんですか?」

 人間社会にはさっぱりなエリスフィーナが隣を歩くガルドリックに尋ねる。すると

「商人ギルドでは街中に店を持ちたい新規の人間に物件を見積もってくれるんだ。俺がやろうとしているクランってのは冒険者相手の商売とも言えなくもないからな」

 ガルドリックは子供に説明する様に噛み砕いて説明してくれた。街中に拠点を持ちたいなら商人ギルドに顔を出しておかなければならないらしい事は分かった。

 人間社会で暮らしていくには知っておくべき事がたくさんある事をエリスフィーナは改めて知るのだった。

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