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歓迎の宴④

 朝の鍛錬を終えて皇后宮に戻ると、リディア達が待ち構えていて、有無を言わさず湯船に浸からされる。


「いかがでしたか?」

「うん。オスカー殿下と手合わせをしたけど、まだまだだなって痛感したわ。しっかり鍛錬を積まないといけないって…」

「無茶だけはしないでくださいませ」

「はーい」


 リディアがしっかりとアリーナを磨き上げ、騎士から令嬢へ変身させると、イリーナとカリーナが腕や足をマッサージしてくれる。

 そして遅めの朝食を摂ると、アリーナは足早にリオネッタの元へ向かった。


「遅くなりまして、申し訳ございません」


 アリーナが部屋に入るとすでにナナリーがリオネッタのそばに控えていた。


「大丈夫よ。まだ時間より早いわ」


 リオネッタの前にはすでに本日の講義予定のエメラルド皇国の歴史書やそれに関する書籍、そしてメモを書き留めるノートも準備されていた。


「今日も親衛隊の皆さんと鍛錬をしてきたのでしょう?」

「はい。思い切り体を動かせて、気持ちよかったです」

「ふふふ。さすがですわ!アリーナ様。私は朝少し体に疲れが残っていて…。かなりゆっくり過ごしてようやくといった感じですのに…」

「私もナナリーと似たような感じよ。食事もなんとか喉を通ったという感じだったわ…」


 いくら土竜の力を借りていても、たった1日半で、アメジスト王国からエメラルド皇国の皇都までの移動するのは、とても過酷なものだ。

 普段自家の私設騎士たちと訓練をしているアリーナでさえ、朝は疲れが残っていた。

 しかしそこは普段から鍛えているおかげか、体を動かしているうちに、疲れは吹き飛んでいた。


「まあ、姫さまの騎士になるべく鍛えておりますので…」


 そう言ってにっこり笑うと、リオネッタとナナリーが顔を見合わせて、ふふっと笑みをこぼした。


「頼もしいわ」


 リオネッタのその一言で、アリーナは朝の訓練の疲れがすっとなくなった感じがしたのだった。



「それでは、本日はここまでにいたしましょう」

「ありがとうございました」


 初日の妃教育は、第一皇妃による、エメラルド皇国の歴史の授業のおさらいだった。

 本来であれば、皇后の担当だったのだが、昨日の晩餐会の疲れが出たため、第一皇妃に代わったのだ。

 その知らせは朝早くにアリーナの元にも届いており、すぐリディアがリオネッタ付きの侍女とナナリー付きの侍女と話し合って、お見舞いの言葉と共に贈り物を届けておいた。


 第一皇妃は第三皇子と第一皇女の母で、エメラルド皇国の侯爵家の出身である。

 皇后に次ぐ地位にいるが、気さくな女性で、マナー講座の担当をしてくれている。

 もちろん、リオネッタだけではなく、アリーナとナナリーも共に学ばなければならない。リオネッタの後ろに2人も机を用意してもらって共に講義を聞いていた。


「さて、今日はこのくらいにしておきましょうか。皇太子殿下から、くれぐれも無理をさせないように、と仰せつかっておりますので…」


 ジークフリートのリオネッタへの溺愛ぶりはこんなところにまで浸透している。


「明後日、またお会いしましょうね」


 そう言って第一皇妃は部屋を後にした。


「ふう…。緊張したわ」


 普段からエメラルド皇国へ嫁ぐための準備はしているが、こうして実際に対面で妃教育を受けるのとでは、気持ちの疲れ方が違うのだろう…。

 大きく息を吐いて、リオネッタは腕を上に上げて伸びをする。


「今日は前回のおさらいでしたが、細かいところを忘れてしまっていました…」


 アリーナがそう素直に告げると、ナナリーも首を縦に振った。

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