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灰銀の戦乙女は、制服を知らない  作者: 最後に残った形


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第13章 第9話:卒業前夜


 卒業式の前夜、王立学園の廊下には布の匂いが満ちていた。


 講堂へ運ばれる白い布。


 壇上に掛ける深青の幕。


 椅子の背に結ぶ細い飾り紐。


 卒業生の名簿を包むための布。


 それらが、教師と生徒の手で運ばれていく。


 王宮深部で見た白布とは違う。


 声を奪うためではない。


 隠すためでもない。


 明日の式を整えるための布だった。


 リゼ・グレイスは、女子寮の自室で制服を前に立っていた。


 制服は椅子の背に掛けられている。


 上着。


 シャツ。


 リボン。


 式典用の襟飾り。


 手袋。


 靴下。


 靴。


 すべて整っている。


 整っている、はずだった。


 リゼはそれらを一つずつ確認した。


 上着、しわ少。


 襟、左右対称。


 袖口、問題なし。


 ボタン、欠損なし。


 靴、磨き済み。


 式典用襟飾り、装着方向不明。


 リゼは襟飾りを手に取った。


 銀糸で学園の紋が刺繍されている。


 戦場の階級章には似ていない。


 王宮の認識札にも似ていない。


 だが、胸元に付ける装飾という点では、配置を誤ると意味が変わる可能性がある。


 リゼは三度ほど向きを変えて確認した。


 結論。


 不明。


 扉が軽く叩かれた。


「リゼさん、入っていい?」


 ミリア・ファルネーゼの声だった。


 リゼは即答する。


「はい。入室可能です」


 扉が開き、ミリアが入ってきた。


 彼女は明日の式典用制服をすでにほぼ整えている。


 金色の髪は軽くまとめられ、手には小さな裁縫箱を持っていた。


 リゼの手元を見たミリアは、すぐに状況を理解したらしい。


「襟飾り?」


「はい。装着方向に不確定要素があります」


 ミリアは微笑む。


「こちらが上よ」


 リゼの手から襟飾りを取り、胸元に合わせる。


 手つきは慣れている。


 布を整え、角度を直し、鏡の前に立たせる。


「これでいいわ」


 リゼは鏡を見た。


 制服姿の自分が映っている。


 最初にこの制服を着た時、袖の余りや布の揺れを危険要素として確認した。


 靴の音。


 スカートの動き。


 襟の締まり。


 すべてが戦闘に不向きだと思った。


 今も、戦闘に向いている服ではないと思う。


 だが、それだけではないとわかる。


 これは、学園の制服だ。


 明日は卒業式。


 戦場へ向かう服ではない。


 誰かを守るためだけの服でもない。


 名前を呼ばれ、証書を受け取るための服。


 リゼは鏡の中の自分を見たまま言った。


「制服確認、完了」


 ミリアが笑う。


「卒業前夜に制服の確認をしているの、本当にあなたらしいわ」


「不備があると式典進行に影響する可能性があります」


「ええ。でも、たぶん一番大事なのは、あなたが明日それを着て壇上に立つことよ」


 リゼはミリアを見る。


「壇上に立つこと」


「そう。王宮の剣としてではなく、灰銀の戦乙女としてでもなく、リゼ・グレイスとして」


 その言葉に、胸の奥が少しだけ痛んだ。


 痛みは恐怖だけではない。


 緊張。


 安堵。


 期待。


 未分類の感情。


 リゼは言った。


「状態を確認します。胸部圧迫感、軽度。呼吸正常。緊張あり」


 ミリアは頷く。


「良好ね」


「緊張が良好ですか」


「ええ。卒業式前夜に緊張するのは、たぶん普通よ」


「普通」


「少なくとも、危険反応ではないわ」


 リゼは鏡の中の自分を再確認した。


 危険反応ではない。


 普通の緊張。


 その分類は、まだ慣れない。


 だが、少しだけ納得できた。


 ミリアはリゼの髪へ手を伸ばした。


「リボンも確認するわね」


「お願いします」


 青いリボンが解かれ、もう一度結び直される。


 戻るための目印。


 王宮深部でも、中央塔でも、医務室でも、学園長室でも、そこにあった。


 明日の卒業式でも、そこにある。


 ミリアの指先が、丁寧に布を整えた。


「よし」


 リゼは鏡を見た。


 青いリボンが、いつもの位置にある。


 式典用の襟飾りよりも、リゼにとってはそちらの方が重要に感じられた。


「リボン、良好です」


「それはよかった」


 ミリアは裁縫箱を閉じた。


 その表情は穏やかだが、少し疲れている。


 記録帳の整理、王宮への提出範囲確認、卒業式準備。


 彼女も休めていない。


 リゼは言った。


「ミリアさん、状態確認をします」


 ミリアが目を瞬いた。


「私?」


「はい。疲労が見られます」


 ミリアは少し笑い、椅子に腰掛けた。


「そうね。疲れているわ」


「休息が必要です」


「あなたに言われると説得力があるのかないのか、不思議ね」


「私も休息指示を受けています」


「実行している?」


「椅子に座る回数を増やしています」


「それは前進ね」


 ミリアは少しだけ肩の力を抜いた。


「明日が終わったら、少し眠るわ」


「明日まで待つ理由は」


「式典準備がまだあるから」


 リゼは考えた。


 任務継続に近い回答。


 だが、ミリアにとって式典準備は単なる任務ではないのだろう。


「手伝えることはありますか」


「今は、自分の準備を終えること。それから、少し休むこと」


「了解しました」


 ミリアは立ち上がる。


「アルトさんが少しだけ廊下に出るって。医師の許可が出たの。リゼさんも顔を出す?」


 リゼはすぐに制服から普段の上着へ戻るべきか考えた。


 ミリアが笑う。


「そのままでいいわ。アルトさんも明日の式服を見たいかもしれないし」


「式服としての確認ですか」


「友人としての確認よ」


 リゼは少し考えた。


「了解しました」


 二人で寮を出ると、廊下には卒業式前夜の気配があった。


 普段より人の声が抑えられている。


 けれど、静まり返ってはいない。


 誰かが花を運び、誰かが名簿を確認し、誰かが飾り紐を落として慌てて拾っている。


 学園は、戦いの後でも式を行おうとしていた。


 完全に整っているわけではない。


 壁にはまだ青印の薄い跡がある。


 門の近くには臨時防衛線の名残もある。


 医務室前の掲示板には、面会時間の制限が貼られている。


 それでも、卒業式の準備は進んでいる。


 廊下の先に、アルトがいた。


 車椅子ではなく、今日は短い距離なら自分の足で歩く許可が出ている。


 ただし、左右を支えられながら。


 右側にカイ。


 少し後ろに医師。


 左側は空いていた。


 リゼが来ることを見越して、空けられていたのだとすぐにわかった。


 アルトは薄い上着を着ている。


 式服ではない。


 医務室用の柔らかい服だ。


 首にはまだ布。


 左手首にも布。


 顔色は白いが、昨日より少し歩けている。


 カイは真剣そのものだった。


「段差なし。前方、飾り紐落下。回避します」


 アルトが小さく頷く。


「……はい」


 医師が後ろから言う。


「カイ君、報告は良いですが、緊張しすぎです」


「はい。緊張しています。でも転ばせません」


「よろしい」


 アルトがリゼに気づいた。


 視線が少し上がる。


 リゼは近づき、左側に立った。


「アルトさん。現在地、王立学園東廊下。歩行訓練兼短時間外出中。左側支援に入ります」


 アルトは、ほっとしたように息を吐いた。


「……お願いします」


 リゼは彼の左側に立った。


 触れる前に確認する。


「左腕または背中を支える必要がありますか」


「……手すりで……大丈夫です。でも……近くに」


「了解しました。接触なし、近接支援」


 カイが小声で言う。


「近接支援、かっこいいな」


 医師がすぐに言う。


「言葉に気を取られない」


「はい」


 ミリアとエリアナも合流した。


 エリアナは香草袋を持っている。


 庭の香草はまだ芽を出していないが、毎日見ているらしい。


 彼女はアルトを見て、柔らかく言った。


「歩けていますね」


 アルトは少しだけ照れたように目を伏せた。


「……少しだけです」


「少しだけは、大切です」


 カイが頷く。


「少しずつです」


 ミリアが笑う。


「カイさんが“少しずつ”を覚えたわ」


「覚えました」


 アルトはゆっくり歩き出す。


 一歩。


 廊下の木の床が小さく鳴る。


 二歩。


 リゼは左側で速度を合わせる。


 三歩。


 カイは右側で息を止めかけ、医師に背中を軽く叩かれた。


「呼吸」


「はい」


 アルトは小さく笑いそうになったが、歩行中なのでこらえた。


 窓の外には、夕方へ向かう空が見える。


 白い朝から続いた一日が、薄い金色になっている。


 庭の香草の花壇も見えた。


 まだ土だけ。


 だが、リゼにはそこが以前とは違って見えた。


 何もない場所ではなく、待っている場所。


 アルトも窓の外を見た。


「……まだ……ですね」


 エリアナが頷く。


「まだです」


 カイが言う。


「明日には出ますか」


 エリアナが少し笑う。


「そんなに早くはないと思います」


「そうですか」


「待ちましょう」


「はい。待てます」


 ミリアが感慨深げに言う。


「本当に成長したわね」


 カイは誇らしげだった。


 廊下の突き当たりに、小さなベンチがある。


 医師がそこを指す。


「今日はあそこまで」


 アルトは頷いた。


「……はい」


 数歩ずつ、ゆっくり進む。


 リゼは、アルトの足取りを確認する。


 右足、やや弱い。


 左足、安定。


 呼吸、浅いが維持。


 銀環反応、目視上異常なし。


 恐怖反応、軽度。


 本人意思、歩行継続。


 ベンチに着くと、アルトは慎重に座った。


 カイが支える。


 リゼは左側で待機する。


 医師が脈を確認し、頷いた。


「良好です。ただし、ここで休憩したら戻ります」


 アルトは少し息を切らしながらも、窓の外を見た。


「……廊下……」


 リゼが問う。


「廊下がどうしましたか」


「……長いですね」


 カイが笑いそうになった。


「歩くと長いよな」


「……はい」


 ミリアが言う。


「それだけ戻る場所が広いということかもしれないわ」


 アルトは少し考えた。


「……そうですね」


 しばらく、全員で廊下にいた。


 誰も大きな話をしない。


 卒業式の準備をする生徒たちが遠くを通り、アルトに気づいて会釈する。


 アルトは小さく頷き返す。


 そのたびに、少し疲れた顔をする。


 だが、目を逸らさない。


 生徒の一人が小声で言った。


「明日、出られそう?」


 医師が眉を上げる前に、アルトは短く答えた。


「……短くなら」


 生徒は笑った。


「待ってる」


 それだけ言って、去っていく。


 王の鐘の前で何度も届いた言葉。


 待ってる。


 今は廊下で、普通の生徒が言った。


 アルトは、その背中を見送った。


「……待ってるって……」


 リゼが確認する。


「反応」


「……怖くないです」


 少し間を置いて、アルトは言った。


「……嬉しいです」


 ミリアが記録帳を持っていないことを思い出し、少しだけ手を止めた。


 リゼが代わりに言った。


「記憶します」


 ミリアが微笑む。


「ええ。記憶しましょう」


 カイは言った。


「俺も記憶します」


 エリアナも。


「私も」


 アルトは小さく笑った。


「……ありがとうございます」


 帰り道は、少し疲労が出た。


 アルトの足が一度止まる。


 カイがすぐに支える。


「休むか」


 アルトは頷く。


「……はい」


 廊下の途中で短く休む。


 医師は怒らなかった。


「止まる判断、良好です」


 リゼも頷く。


「歩行中止判断、良好」


 アルトは息を整えながら言う。


「……止まっても……戻れますね」


 リゼは、その言葉を受け取った。


 止まることは、失敗ではない。


 立ち止まっても、戻れる。


「はい。止まることと、戻れないことは違います」


 カイが小声で言う。


「それ、すごく大事なやつですね」


 ミリアも頷く。


「ええ」


 医務室へ戻る頃には、アルトはかなり疲れていた。


 しかし、表情は悪くない。


 医師は寝台へ戻すと、すぐに体温を確認した。


「今日はここまで。夕食は軽め。面会も短く」


 カイが残念そうにしたが、すぐに頷いた。


「はい」


 アルトは寝台に戻り、深く息を吐いた。


「……歩けました」


 リゼは言う。


「はい。歩行距離、医務室から東廊下ベンチまで往復。途中休憩あり。本人判断で停止。良好です」


 ミリアが笑う。


「記録帳がなくても、完璧ね」


 リゼは頷く。


「重要情報です」


 エリアナは窓の外を見た。


 夕方の光が香草の花壇を照らしている。


「明日は卒業式ですね」


 その言葉で、部屋の空気が変わった。


 明日。


 卒業式。


 長い戦いの後に、学園が取り戻そうとしている式。


 リゼの卒業証書。


 アルトの短時間参加。


 カイの焼き菓子。


 ミリアの記録帳。


 エリアナの香草。


 すべてがそこへ向かっている。


 カイが急に真剣な顔になった。


「明日の焼き菓子の名前、決めました」


 医師が即座に顔を上げる。


「アルト君用ではありませんね」


「違います。卒業式で泣いても食べられる用です」


 ミリアが額に手を当てた。


「泣く前提なのね」


「泣かない可能性もあります。でも、備えは必要です」


 リゼが言った。


「備えは重要です」


 カイが嬉しそうにする。


「ですよね」


 医師が釘を刺す。


「アルト君用は別管理」


「はい。アルト用は、医師確認済み小片です」


 アルトが小さく言う。


「……名前……長い……」


 カイは真剣に頷いた。


「短縮案を検討します」


 ミリアが笑った。


 エリアナも笑う。


 リゼも、口元が少しだけ動いた。


 それをミリアに見られた。


「リゼさん、笑った?」


 リゼは考えた。


「表情緩和です」


「笑ったわね」


「可能性はあります」


 アルトが、寝台の上でかすかに笑った。


 医務室の白い壁に、夕方の色が映る。


 王宮深部の白ではない。


 医務室の白。


 そこに、焼き菓子の話と卒業式の話と、小さな笑い声が混ざっている。


 夜が近づく頃、リゼはアルトの医務室を出た。


 廊下には人が少なくなっている。


 式典準備もほぼ終わり、講堂の方からは最後の確認をする教師たちの声がわずかに聞こえるだけだった。


 リゼは窓際に立った。


 外は薄暗い。


 香草の花壇は、夜の中で静かに沈んでいる。


 芽はまだない。


 けれど、そこに種がある。


 背後から、扉が開く音がした。


 振り返ると、アルトがいた。


 医師とカイではなく、今回はミリアが車椅子を押している。


 医師も後ろにいる。


「短時間だけよ」


 ミリアが言う。


「アルトさんが、リゼさんと少し話したいって」


 リゼはすぐに近づいた。


「アルトさん。状態」


「……疲れてます。でも……少しだけ」


 医師が頷く。


「三分」


 カイが廊下の向こうから顔を出した。


「俺は待ってる。三分、守る」


 エリアナも小さく頷き、少し離れた場所で香草袋を持って立った。


 ミリアは車椅子を窓際へ止めると、リゼに目配せして少し離れた。


 リゼはアルトの隣に立つ。


 窓の外には、夜の学園がある。


 講堂には灯り。


 庭には小さな花壇。


 空には細い月。


 アルトは、しばらく黙っていた。


 リゼも待った。


 やがて、アルトが言った。


「……リゼさんも……帰ってきたんですね」


 リゼは、すぐには答えなかった。


 その言葉は、昨日から何度も自分の中で反響していた。


 アルトは学園に帰ってきた。


 アルトとして帰ってきた。


 では、リゼは。


 王宮深部から戻った。


 医務室へ戻った。


 学園長室で在学意思を確認した。


 制服を着る準備をした。


 明日、卒業証書を受け取る。


 それは、帰ってきたと言っていいのか。


 リゼは、青いリボンに触れた。


 戻るための目印。


 まだそこにある。


「はい」


 リゼは言った。


「戻りました」


 アルトは窓の外を見たまま、少しだけ笑った。


「……よかったです」


 リゼはアルトを見る。


「アルトさんも、戻りました」


「……はい」


「ただし、回復途中です」


「……リゼさんも……途中です」


 リゼは一瞬止まった。


 アルトは続ける。


「……僕も……戻りつつあります。リゼさんも……戻りつつあります」


 ミリアの記録帳の言葉。


 戻りつつある。


 リゼは頷いた。


「確認しました。私も、戻りつつあります」


 アルトは満足そうに目を閉じかけた。


 すぐに医師が言う。


「時間です」


 アルトは頷く。


「……はい」


 ミリアが車椅子へ戻る。


 カイもすぐに近づく。


「戻るぞ」


 エリアナも香草袋を持って近づいた。


 アルトはリゼを見た。


「……明日……」


「はい」


「……卒業式……出ます」


「確認しました」


「……リゼさんの……名前……聞きます」


 リゼの胸に、小さな緊張が走った。


 学園長が名前を呼ぶ。


 リゼ・グレイス。


 その瞬間を、アルトが聞く。


 ミリアも、カイも、エリアナも。


 リゼは頷いた。


「はい。私も、自分の名前を確認します」


 アルトは小さく頷いた。


 そして、医務室へ戻っていく。


 リゼはその背中を見送った。


 車椅子の車輪が廊下を静かに鳴らす。


 それは移送の音ではない。


 医務室へ戻る音だった。


 夜が深くなる。


 学園の鐘が、消灯前の時刻を告げた。


 遠く、柔らかく。


 アルトの肩が少し揺れたが、カイがすぐに小さく声をかける。


「学園の鐘だ」


 アルトの声が返る。


「……はい」


 リゼはそのやり取りを聞いた。


 怖いことと、大丈夫なことは同時に存在する。


 それを、明日もきっと確認する。


 リゼは女子寮へ戻った。


 部屋には、式典用の制服が静かに掛かっている。


 青いリボンは外さなかった。


 眠る時には外すべきか少し迷った。


 だが、明日は名前を呼ばれる日だ。


 戻るための目印は、まだ必要だと思った。


 リゼは寝台に横になった。


 天井を見る。


 王宮深部の白ではない。


 第二保管層の白でもない。


 学園寮の天井。


 ミリアの気配が隣の寝台にある。


 遠くで、カイが明日の焼き菓子の量について医師に再確認しているような声が微かに聞こえた。


 エリアナの香草は庭で眠っている。


 アルトは医務室で眠っている。


 リゼは目を閉じた。


 睡眠へ移行。


 警戒、低度維持。


 感情、緊張、安堵。


 現在地、王立学園女子寮。


 明日、卒業式。


 青いリボンは、結ばれたままだった。


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