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episode9.木の上の家

「此処は?」


「私の母から受け継いだ家だ。母が、作ったと聞いて居る。」

それは、大きな木の上に、食い込むようにして、これはまた、大きな丸い木の実の様なものが乗っていた。

更に、そこから、蔓が沢山下りていて、地面に読めない文字が書かれてある。


「・・・・これは、何?」

鳥籠の樹の蔓を持ち、前のめりになりながら、菩提樹ノ君に問うミルディア。


「何だ・・・見た事が・・・無いのか?」

心底意外だと言わんばかりの、その言葉に、ゆっくりと頷く。


「そうか。ならば良かった。見せがいがある。」

薄く微笑みながら、ミルディアが入っている鳥籠を引き、その読めない文字の上に二人で乗る。

すると、その文字が緑色に輝きやがて、周りの景色が変わり、何処か、温かみのある色合いの、広い部屋にたどり着く。


何もかもが木で作られていて、茶色ではあるが、その茶色はあの、砂漠の家での茶色とは違い、何処か、温もりのある茶色で、この家ですらも、やはり、切ったり倒したりするわけではなく、自然に任せて建てたと言う感じだ。

唯一木枠の窓にはきれいな水細工で施された花の絵が文字通り流れる様に描かれていた。その、透明な水の絵は形を変えることなくまるで小さな川がそこにあるかの様に、常に枠の中を流れ続けている。


鳥籠が解かれ、それと同時に、菩提樹ノ君と同じ様な独白の服を身に纏っていた。

それは、今まで、着た事の無い、豪勢な着物で、着せられていた。

その特徴は、袖は、彼と同じようにゆったふわりとし、更には綺麗な細い花弁のレースが裾の淵にあしらわれて居る。

襟元は、二枚重ね着し、胸元は、まるで大きな花弁がお洒落に胸を隠すようにあしらわれている。腰はしっかり絞られ、そこからまた足にかけて、ふわりと広がり、靴もまた、菩提樹ノ君と同じ様なつくりになって居た。


「素敵な服をありがとう。貴方は・・・。」


「名は、桜華(おうか)・・・。真名は、菩提上神桜華(ぼだいじょうしんおうか)=サンザーラ。だが、字は、静咲(せいさ)だ。」

すると、その真っ白い手がミルディアの頬を少し撫で更に言う。


「どれでも、好きに呼ぶと言い。最も、菩提上神桜華と言う呼び方は、お勧めしない。

長たらしい上に、まどろっこしい。」


「解りました。」

そう言いながら、再び、部屋に目を移す。


「この、国に入ってからも、思って居たけれど、改めて、思う。こんな素敵な場所、初めて。」


「窓から外を見て見れば良い。」

彼のその言葉とほぼ同時に、ミルディアは、足早に、水細工の窓を開けると、ミルディアが触れたと同時に、水細工は姿を消し外の美しい緑がミルディアの目に飛び込んでくる。


「すごい。」

それは、何処からどう見ても、先ほど自分達が見上げていた木の上だった。

そこから見る景色は、ミルディアにとっては初めての光景で、下から見る樹ノ国とは違う美しさを感じられた。

下から見たあの樹海も全て見渡せて、あの緑色の輝線も水の色の輝く線も今度は、上から下に流れているのが見えるだけでなく、すべての植物の脈動が伝わって来る。


「こんな・・・こんな美しい国があるなんて!」


「そなた。本当に何も知らないのだな。」

ミルディアのその顔を見て、薄く微笑みながら、ミルディアの隣までゆっくりと歩み寄る静咲。


「私の育った場所は一面砂漠だったから・・・。あっ。でっでも、夜の星は綺麗だった!」


「星?それは何だ?」

興奮しながら、言うミルディアに、更に微笑みながら、ゆっくりと問う。


「星を知らないの?夜になると空にいっぱい輝くの。そう、ちょうど、貴方のその瞳中にあるきらきらした揺らめき見たいに、美々しいの。」

そう言いながら、微笑むと、静咲は心底驚いた表情を浮かべると。

そうか。と、薄く微笑みながら、ミルディアの頬を再び、その白い指先で微かに触れる。


そのしぐさに、驚く暇もない位それは一瞬で、静咲は何も言わずその場を後にした。


「あっ。」

どうしよう。ラッドの事、何も聞けなかった。今のこの状況じゃ、聞いて回れないだろうし・・・。捕縛髏の誰かが知ってそうな感じはするんだけどな。

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