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episode5.樹ノ国の行き方

「ねぇまだぁぁぁ?」


「まだ。」


「ねぇねぇねぇまだぁぁぁ?」


「まだだって。」


「ねぇねぇねぇねぇってばぁぁぁぁ「だぁぁぁぁもぉぉぉ!まだだってば!」

旅立って一週間とちょっと辺りは、光に満ちて、砂に照り返し、砂からは湯気が出ている程に熱い。

そんな中を、一週間歩き続けて居て、五日目位から、ルーティのまだまだ攻撃が始まりだした。

最初は、やさしく、まだだよと言っていたミルディアだったが、いい加減苛々し始めそれは頂点まで登ろうとしていた。


「僕、重くって。ちょっと休もぉぉよぉぉ。ねぇぇってばぁぁぁぁ。」


「もぉぉぉぉぉ!だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁ!

荷物の持ってきすぎだって言ったでしょうが!

要らない物と居るもので分けて要らない物は、

ここに置いて行きなさい「いやだぁぁぁそれだけは絶対いやだぁぁ!」

ルーティは大きなリュックを降ろすなり、それを抱きしめ、首を横に思いきり振る。


「何で‼「だって。だって・・・。どんな所でもいろんな実験したいじゃない!

それに、何かあったらどうするの?何でも、持って居た方が安心安全だよ?」

そう言いながら実験用の道具を出す。


「これは、煮沸するための道具。これは小さな微生物でも観察できる道具。

これはサンプルを持ち帰る為の袋にぃぃ。

あっそれから、これは、もしも、ミルディアが躓いてこけた時につける薬。

これはミルディアが、獣に襲われた時につける薬でぇ。

あっこれはミルディアの顔に傷がついた時につける薬。」

それを聞きながら、頭を抱えるミルディア。


「ルーティ、ルーティ。一つだけ聞いていい?」


「ん?」

自分の荷物を自慢するように見せていた手を止め、

今正に、呆れた顔のミルディアを、顔を上げて見つめる。


「辛うじて!辛うじて、よ。前半あたりは解ったわ。

貴方は実験好きだし、それは理解して居るつもりよ。

後半あたりの私の薬らへんから、ちょっと意味不明になったけれど、それも、まぁ良いわ。

私が今一番気になって居るのは何故、リュックの中に更に大きなリュックが

5つも分担して入って居るの?」


「あぁ、これ?5分の4はミルティの為の薬だよ?」

その、ルーティの一言でミルディアは、そのリュックの中に手を突っ込むなり、

そのうちの二つをポイっと投げ捨てようとする。


「ぎゃぁぁぁぁっ‼」

ルーティは、そんなミルディアに半泣き状態で、しがみつき必死で叫ぶ。


「ミルティ。ミルティ。そんなサディスティックな事しないで。

僕、そんな趣味ない。」


「一つ目、誤解を招くような事を言うな。

二つ目、趣味の問題じゃない。三つ目こんな荷物要らん!」


「っううひっく、ぼっ僕はただ、、ミルディアの事を思って、、うぅぅ。

ミルディアったら、ちょっと乱暴「変な表現しないでよ。」

ウソ泣きをしながら瞳を潤ませながら、ミルディアに言うルーティに対し、即答するミルディア。


結局、荷物を整理させ、砂漠の砂の中に埋める様指示したミルディアに

ルーティはしぶしぶ従ったのだ。


そして、さくさくとそれを、埋めている中で、

ルーティは、真面目な顔をしながらミルディアに質問する。


「所で、ミルディア、本気で聞くけど、

後どれ位で、一体何処に向かおうとして居るの?」


「えっ?えっと。」

そのルーティの問いに、ミルディアの目が泳ぐ。


「まさか、あてもなく、一週間歩き回って、

居た訳じゃ無いよね?「ちっ違うわ!そっその樹ノ国に行きたくて、

行く為のフェミナーガの樹ノ国へ渡る川を探してるんだけど・・・。

でも、あの遺跡の反対側にあるとしか聞いてなくて・・・。」

ミルディアの言葉は口ごもり目は魚が、本当に泳いでいるのではないかと言う程、

泳ぎ、どう考えてもそれは、一週間無駄に歩き回って居る事を示していた。


「なぁぁぁんだ。」

今まで、砂漠の中に要らない物を埋めていたルーティは、自分の服について居た砂をはらい、手についてる砂も払うと、再び大量リュックをごそごそと漁り出す。

その姿は、どちらかと言うと、探すと言うよりも、リュックの中に入っている様な感じにも見える程に、リュックはルーティの身体をすっぽりとかぶって居た。


このまま足を掴んだら、ルーティはリュックに収まるだろうか。

一瞬そんな意地悪な事を考えてしまったのは後にも先にも決してルーティには言えない。


「あっ、あった、あった。これだ。」

その中から分厚い書物を出すと、ペラペラと捲り始め、それから出る埃も気にせずに、目的のページが見つかるなり、それを声に出してミルディアに聞かせる。


「古より伝えられし、

内海(ないかい)

外海(がいかい)

黒海(こっかい)

それが少しずつ、この浮遊大陸(フェミナーガ)を中心も含め巡ってる。

何故水が落ちてこないかって言うと、

内海(ないかい)つまり一番内側に流れていると考えられるこの海の更に内側に、

空海(くうかい)と言う空気の膜が包み込んでこの三つの海を支えているからなんだよ。

僕らが、これから目指そうとして居るのは、この空海と内海の間、空海の空気圧と内海の流れによって、船で下の大陸まで、下りる事の出来る場所ってわけ。

つまり、僕達が目指そうとして居る、樹ノ国は、正確には、ここのフェミナーガの、真下にあるって事になる訳だよ。」

そう言いながら、詳しい地図を砂漠の砂の上につらつらと書き始める。


「でも、この内海の水が干上がっちゃうと、次に樹ノ国に渡れるのは約一年後って事になる。」


「干上がるって言う事は理解しててって・・・じゃぁ早くいかなきゃ行けないんじゃ。」


「まぁそれもそうなんだけど、問題は空海と内海が一緒に並んでいるタイミングで船出をしなければならないと言う所さ。」


「どういうこと?」


「何方が欠けても船出ができないって事。」


「行ってみて内海が干上がっていたら、もう一年待たなきゃならない。仮に内海が辛うじて干上がってなかったとしても、もっと最悪なことがある。」


「何?」

ルーティは、更にその書物をペラペラと捲ると、あったと言う表情を浮かべ、ミルディアに説明し始める。


「この書物には、内海干上がるか干上がらないかの瞬間から半年は国と国とを繋ぐ周辺が空海の嵐になると書いてる。それに巻き込まれたら、外海・そして、死と運命の神が支配すると言われる、黒海へと一気に放り出されてしまうとも書いてある。

因みに黒海は、このフェミナーガを支え浮遊させる力を秘めていると言われている黒海。」


「ううん。ごめんルーティ。

私、ちょっと学者的な脳味噌を持ち合わせて無い者だから。簡単に言ったら、あまり良い事にはならないって事で良いんだよね。」

ミルディアは、ため息を付きながらその説明を聞いていた。


「まぁ、つまりは、こういう事さ、僕達は、干上がるギリギリの時に、船出しても、駄目って事。干上がった瞬間、空海の嵐に巻き込まれてしまうからね。だから、樹ノ国についてもある程度、その場から離れる位余裕がないと、やっぱり空海の嵐に巻き込まれちゃうって事かな。でも、後半あたりの、死と運命の神がってところからは迷信だとは思うけどね。」

ルーティは鼻で笑う。


「どうしてそう言い切れるの?」


「だって、この最後の部分が書けるって事は黒海へと言って戻って来て無いと、書けないだろう?」


「あっ・・・・。」


「それに、フェミナーガが浮遊して居るのは、空海と内海と外海のその回転する流れの強さで浮遊して居ると言われているんだから。でも、この書物の、前半の部分は信じていいと僕は思うんだ。

あれから一週間歩き続けて居るから、内海が干上がるまでそう時間はない。」

真剣な表情でミルディアを見つめ、ミルディアも眉間に皺を寄せる。


「そう・・・。ねぇ?ルーティ。」

ミルディアは、眉間に皺をよせルーティを睨みつける。


「え?」


「それ知ってるんだったら尚の事、余計なものを捨てて早く歩け!」


「もうこれ以上は、いやだぁぁぁぁ‼」

再び、砂漠に悲鳴が響くのだった。



ルーティが、説明してくれたおかげで、その場所へたどり着くにはそう時間はかからず、数日で辿り着く事が出来た、もし、あのまま歩いて居たら、ただ、砂漠の中を歩き回って居ただけで、何もならなかったかもしれない。


その場所は、入口から、草や木が生えて居て、まるで私達の村で言う水飲み場をかなり大きくした様な場所だった。寧ろ何故、村人達は、ここにも樹ノ国から輸入した木を植えたり、ここにある木の実等を取って来て食べないのか不思議な程だ。


更に奥へと進んで行くと徐々に水が流れている音が聞こえて来て、水の匂いも感じられて来た。ここも、やはり、この日中の光のせいで、水から湯気が出ている。もし、ひっきりなしに水が流れて居なければ、この光で干上がり夜はきっと、凍り付いてしまう事だろう。

「ここが。内海?」

見た事もない花、村の中では茶色一色だったのに、ここではまるで、ミルディアの宝玉こそが花になっている様で、一輪、一輪が単色で、花弁は丸だったり四角だったり三角だったり、かといって、刺々しく、触れれば怪我では済まない様な花弁もあったり、放射状に細い花弁が咲いて居たりしており、草や木も水の飛沫によってきらきらと輝いて見える。下には、苔が、まるで絨毯の様に敷き詰められており、砂漠だと、熱での照り返しで、裸足で等歩けないが、ここでならば、裸足で歩くと寧ろ気持ちいい位なのでは?と思うほどふわふわとした歩き心地だ。

更に、先を見ると断崖絶壁で、さらにその先は明るく虹色に染まる橋が何重も架かっていた。


「わぁ綺麗‼」

ミルディアは、まるでルーティの様に感情を露わにし、微笑むと、その虹色の橋まで走って行き、その橋に足をかけ様とする。


「わぁぁぁぁぁっミルティ‼ダメダメダメェェェ!」

ルーティは慌てながらミルディアの腰に腕を回し引き寄せる。


「ふぅぅぅあっぶない。」

ルーティは、大きくため息を付くと、二人は見合わせた後に、改めて、その光景を確認する。


ミルディアは足一歩最早浮いた状態で断崖絶壁を踏み出して居た。同時に、その虹色の橋はミルディアの足の裏を通り越し、足首に貫通しまるで、水の中に足をつけている様なそんな風だった。


「これって・・・どうして?」

ミルディアも、感覚で分かった。

どう考えても、地に足をつけて居る感覚が無いのだ。


「ミルティ。これはね。虹重幻(こうじゅうげん)って言って空海の空気と内海の水蒸気が交じり合って出来る、蜃気楼みたいな物なんだ。だから、橋みたいに見えるけど、渡る事は出来ないよ。」


「こんなに橋の様に、ちゃんと持ち手まであるのに?」

そう、ミルディアが、橋と思って渡りそうになるのも無理はなく、その虹重幻は、虹色だけでなく、両端にちゃんと銀色の豪華に装飾されまるで、植物の蔓の様な金細工の持ち手までついて居る豪華な虹色の橋に見えるのだ。


「もしかしたら、何人かミルティみたいな人居たんじゃない?」


「どうして?」

ミルディアが、ルーティに問うと、ルーティは、空いている手で崖の少し下を指さす。

そこには、朽ち果てた人の姿があった。


「まさかあれは‼「違うよ。違う。冷静になって。ミルティ。トラッドネスは、樹ノ国と金ノ国の戦乱に巻き込まれたんだ。こんな近くに居ないよ。それに、どう考えても、姿格好からして、女性だ。」

ルーティのその言葉に、不謹慎だがラッドでないことにほっとしてしまう。

だが、これで、納得が行った。村人達は、何故ここで木の実を取ったり果実を取ったりしないのか、そして何故ここを水飲み場としないのか。

虹重幻(これ)が原因だ。

こんな場所、ミルディアの民なら、きっと呪の地と呼び近寄る事は無いだろう。近寄るのは、それこそ、商人である、キリとラッド位だ。


「もしかしたら、あれすらも、かもね。」

ルーティは眉間に皺を寄せながらミルディアに言う。


「どう言う事?」

ミルディアは、首を傾げながら、ルーティに問う。


「はあまり近づきすぎて、長時間その蜃気楼を見続けると、良くないものまで見えてくるって書物で読んだ事があるから。

でも、逆にこれは好機だよ。

こんなに虹重幻が架かって居るって事は、内海は干上がってない。」


「じゃぁ、急いで船を探さなきゃ。」

意気込むミルディアだったが、ルーティがそれを制する。


「けれど、もしかして、船という形じゃないのかもしれない。」


「どういう事?」


「この書物によると、一種の大きな植物みたいなって表現されて。っ、何?」

ルーティが言い終える前に、ミルディアが書物にずっと目が行っているルーティの肩を叩く。


それは、目の前にとてつもなく、信じられない〝何か〟があるからで、それをルーティにも見て欲しいからだった。


「ルーティ。」

再び肩を叩くが、ルーティは書物から目を離す事なく、逆に「もっと調べなきゃ。」

と黙々と書物を読み込んでいる。


「ルーティ・・・あれ、

あれ・・・みっみて!」

ミルディアはすぐに見て欲しいと言わんばかりに、更に、ルーティの服の裾を引っ張る勢いが増す。だが、驚きも入り混じって居るせいで、最早、言葉がどもって居た。


「もぉ。何⁉」

ルーティは顔を上げ、読んで居た書物を落とし、それは、下にある苔により跳ね上がる。


「っまっまさか・・・。

こんなに巨大だ、何て。」

その植物は植物と呼ぶにしては、余りにも違って居た。見た目の色は色々あったが、統一していえる事は、金ノ国に生えて居そうな、硬い金属で出来て居り、切り倒すだけでもそれこそ、金ノ国の溶接技術が必要だと言える。おまけに、これを、船として、作るとなると、更に、人員が居る。

「凄い。どっちの、国から来た物なんだろう。植物だから、樹ノ国?でも、明らかに金属だから、金ノ国かな?古の時代からあるとすると、まだ、両国が滅ぶ前だったわけだから、関係ない植物かな?って、なると、この国独自って事になるよね。」

ルーティは、その場で、ボロボロの手帳を出すとそれを書き始めた。


「凄い。葉の形も、披針形、倒披針形、楕円形、卵形、あっ‼倒心臓形から、剣状まで‼」

何だろうか、全部呪文に聞こえるのは、私だけ?


ミルディアはそう思いながら、ルーティの手帳を覗き込むが。


「あっ。これだけはミルティでも駄目。見せらんない!」

そう言いながら、手帳の内容を隠す。


「それにしても、どうする?これ、植物にしても金属じゃあ・・・・。ねぇ?剣もこの通り・・・。」


カァン!


剣を差し込んで見るが、それは差し入れられる所か、弾かれ、剣は、その硬さ故に震える。やはり、溶接器具が居る様だ。


「ここで、足止めされちゃうのかな。」


「ううん。今から船を、造る訳にはいかないよねぇ。ちょっと待ってて。」

二人は、唖然としながらそれを見つめて居たが、ルーティが、再び書物のページをめくり、その表情が明るくなる。


「あっでも、その心配はないみたいだ。」

ルーティはそう言うと、走り出す。


「こっちだ。この書物によると、確かに、商人は、毎回これを解体するために早めに村を出てたらしい。でも、万が一の時の為に、別に一艘だけ作って残して置くんだって。それが、もし、空海の嵐に飲み込まれて無ければ・・・。ほら‼あった‼良かったぁ。」

ルーティは、安堵しながらその船に近づく。


その船は先ほどの銀や金、銅、赤銅、その他色んな色の金属が継ぎ接ぎになり、作られた船で、私達が乗るには大きすぎる、寝泊りできる場所まで供えられて居そうだ。おまけに、どう見繕っても、全長五百は優に超えて居そうだ。


「きっと、トラッドネスやキリはこんなのには乗りそうに、無いだろうね。」

口をあんぐりとさせながら、その船を見つめミルディアに言うルーティ。


「うん、だって、明らかに、大勢の人数専用に思えるよ。どうやって操作するの?私操作方法、知らないよ。第一、操作するにしても、かなりの人数が居るのではない?」


「それは大丈夫だと思うよ。

この書物によると、内海と空海が回る回転の仕方はここから降りれば、変な方向へ行くことなく、樹ノ国へ行けるはずだから。」


「貴方がそういうなら。

でも、そんな都合よく行くの?」


「物は試し!ここで作っている暇もない訳だしね。」

ルーティの、言うがまま、乗り込む。


すると、まるで、誰かが乗り込むのを待っていたかのように船は大きな川まで移動を始める。


「ルーティ見て凄い!

の中を私達通って居る!」

ミルディアは手を伸ばし、掴めないと言われたそれを掴もうとする。


船は確かに大きな川の中を通って居た。けれど、ただの川ではない。内海と空海が混ざった部分つまり樹ノ国にとっては空を通って居る様な物だった。

その為か、船が通った時に、船を中心に波紋が起きているのに、下には樹ノ国の一部が僅かに見えていた。先ほど足をかけようとした、虹重幻もぶつかるかと思いきや、体や、ミルディアが伸ばした手を通り抜けて行く。それが、だんだんと慣れて来ると、その美しさを堪能でき、思わず身を乗り出すミルディア。

「ミルディア。そうだね。こんなの、初めての光景だね。」

ミルディアは大興奮し、

ルーティは、が見られた事よりも、

ミルディアが嬉しそうにしている事に、

嬉しさを覚えていた。

「ルーティ見て、見て!下に沢山の緑が見えるよ。あれが樹ノ国かな?

頂上が深い緑色に光って居る。

あれは何かな?」

ミルディアは指をさしながら、

船から、身を乗り出す。


「駄目、駄目!ミルティあんまり覗き込んじゃ落ちるよ!落ちたら地面ってわけじゃないんだから‼」

子供の様にはしゃぐミルディアの服を掴み、落ちないようにするルーティ

その光景はいつもとは真逆だった。


所が。


「あぁぁまずいぞ。」

ルーティのその言葉に、下の景色を見ていたミルディアは、ルーティと同じ前方を向き、目を丸くする。


「ちょっ、ちょっと待って、この方向だと。」


「うん。間違いなくあの、

滝から落ちる感じだね。」


ミルディアの表現する

〝あの滝″は全てを飲み込み、

下に向かって只管、落ち続けていた。


それは、世界その物が落ちているのでは無いかと言う程、大きく、どこまでも果てしなく続いていて、それに、巻き込まれると、樹ノ国へ行く所か、外海通り越して、黒海へとそのまま行ってしまう雰囲気の滝だった。

何故なら、黒海は、この世界の最も下に位置して居ると言われ、フェミナーガのどの大陸の隅から、落ちても、其処へと誘われると言われているからだ。

神話では、そこには、死と運命カルマを司る神が居て、落ちて来た者の身体と魂とを分けて幽閉するのだと言う。

けれど、それは、あくまで神話で、子供たちに、大陸の隅には行かない為の教えでもある。だが、今は、正直、隅どころの問題じゃない。大陸の上にも居ない。まさに、落ちようとしている訳なのだから、話は別だ。このままでは神話所の話では無くなる。



「いやっまって。嘘!「嘘じゃなくて現実って言うんだよ。」



二人は互いに、焦りはじめ、お互い船の中に入る暇はなく、手を繋、空いて居る方の手で、手摺を思い切り掴む。


「こんな時に言葉を訂正しないで!」

その間にも、船は滝に近づき、やがてそこから落ちる。


「死にたくない!トラッドネス‼」

ミルディアは滝から落ちる時に思わず、

合いたい存在の名を口にした事は言うまでもない。


更に不幸な事は続く物だった。


「ちょっと!干上がってない限り、空海と内海の間は荒れ無いんじゃないの⁈」


「事実は〝書″より奇なりだったのさ‼」

お互い船の手摺につかまりながら、

大嵐の中皮肉を言い合う。


目を開ける事も出来ない程の風と滝の水が顔を叩きつけ。落ち続けて居るせいで、船に唯一付けられている身体の部分と言えば、手摺を掴んでいる手のみだった。これを放してしまえば、終わりかもしれない。そうとさえ思った。

船尾の方が重いのか、少し斜めに落ちて居る様に思え、手摺につかまって居る腕が掴まって居る筈なのに、逆に引っ張られている感覚に襲われ最早、腕が引きちぎられそうだった。


「あれからずっと落ちっぱなしで、何時、樹ノ国につくの?」


「もしかして、はもう干上がっちゃってて、僕達はに既にやられて、実は干上がって居るのを、干上がって居ない様に見てたりして!」


「そうだったら、ルーティ!

許さないんだから!」


「許す、許さない、の前に、

僕達死と運命カルマを司る神デイガーディアンに身体と魂を、幽閉されて永遠に出てこれなくなっちゃうよ!」


「だったら!そのデイガーディアンに、

ルーティだけ上げるから、

私だけ助けてって言ってやるんだから!」


「酷いよ!ミルティ!「嫌なら何とかしなさい!」


「天災天候は、僕には何とも出来ないってばぁぁ‼」


「もう駄目!」

ミルディアは、思わず手摺から手を放し、その勢いで、繋いで繋いでいた手も、風の勢いと水しぶきによりお互い放してしまう。


「ミルディア!」

ルーティは、ミルディアの名を叫ぶ。


ミルディアは、ルーティの視界から、どんどんと、消えて行き、小さくなっていくと同時に、ミルディア自身も意識を失いかけて居た。


このまま、私は、ラッドに合えないのかな。

約束も何も果たせないまま。


そんな思いが頭を過ったその時だった。


ぱっと視界が開け、目の前に緑が広がったのが見えた。


あっ。これが、樹ノ国なのかな?


でも・・・。このまま地面に落下しちゃうと、どちらにしても、助かりっこないよね。


そう思った矢先だった。

突然何か白いモフモフしたものが大きく膨らみ受け止められたのを最後にミルディアは、本当に意識を失ったのだった。

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